「中国人たちは、朝鮮(北朝鮮)にまでやって来て女性を買っていく。中国に行けば腹いっぱい食べられるという話を聞いて、中国に売られていく女性は多い」
今月22日午前10時ごろ、中国に隣接する東南アジアの国境地帯にある農村。窮屈に軒を連ねるバラックで会った脱北者のキム・ミヨンさん(24)=仮名、女性=の顔は真っ黒に日焼けし、痩せこけて骨が浮き出て見えた。キムさんによると、中国では急速な産業化に伴い、農村部の独身男性の結婚が徐々に困難になっていることから、中国の人身売買組織が北朝鮮に入り、北朝鮮の女性を脱北させて売り飛ばす事件が起きているという。
キムさんは「まだ20歳だった2008年6月、咸鏡北道会寧の市場で、中国人のおばあさんが“中国に行けば腹いっぱい食べられるが、行かないか”と言うのでついて行った。中国・ハルピンのある農家に3万元(現在のレートで約39万円)で売られたが、北朝鮮の家族の手元には1銭も入らなかった」「私が脱北した当時、わずか1カ月半の間に私の周りでも2人の女性が中国に売られるなど、大勢の女性が中国に売られていった」と語った。
本紙は今月21-22日に東南アジアのある国で、キムさんを含め、北朝鮮脱出に成功し東南アジアに到着したばかりの脱北者4人に対し、単独インタビューを行った。このうち、7歳の男児を含む3人は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去からわずか2カ月後の今年2月に脱北し、今月22日午後に東南アジアの韓国大使館に無事到着した。一行は、金総書記死去後の北朝鮮の状況や、中朝国境地域の状況などについて詳細に語った。
今月21日に東南アジアのあるバスターミナルで会った脱北者のイ・ソヨンさん(30)=仮名、女性=は、今年2月に7歳の息子と共に両江道恵山を脱出した。イさんは「昨年冬から、1日1時間しか電気が来なくなり、水道も出なくなったので、鴨緑江の氷を割り水をくんで飲んだ」と語った。恵山は、昨年夏の時点では1日に5-6時間は電気が来ていたが、最近になって経済状況が一層悪くなったということだった。またイさんは「(北朝鮮では)先生が月給をもらえないので、両親が先生に金を渡している子どもはストーブの近くに座らせるなど優遇され、私も毎月北朝鮮の金で3万ウォン(韓国ウォンで約9000ウォン=約660円)を渡していた」「(金総書記の死後)特別警戒令が下され、中朝国境地域では警備隊だけでなく、私服を着た保衛部員による警戒も厳しくなった。中国では、身分証がなければ駅の改札も通れない」と語った。
中国は最近、鉄道の切符にも身分証の番号を印刷して監視を強化したほか、チベット・ウイグルでの事件などを受け、中国と東南アジアの国境地帯での検問・検索を強化した。
現地で脱北者と会った朴宣映(パク・ソンヨン)自由先進党議員は「この人々は幸いにも韓国の懐に抱かれたが、北朝鮮が“脱北者は3族を滅ぼす”と公言して以来、北朝鮮に残る脱北者の家族が、命懸けで中国に渡って来るケースが2倍以上に増えたという。しかし、中国を脱出できず、再び捕まって北朝鮮に送還される脱北者の数が急増しているだけに、脱北者の強制送還阻止に向けて韓国政府や国際社会が努力しなければならない」と語った。