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【サッカー】

大野 控え組に猛ゲキ なでしこ宮城合宿

2012年3月28日 紙面から

笑顔でボールを追う大野

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 ロンドン五輪に向けた強化試合のキリンチャレンジカップ(4月1日・米国、5日・ブラジル戦)に臨むなでしこジャパンは宮城合宿2日目の27日、午前、午後の計約3時間で、9人対9人の紅白戦形式の練習などを精力的に消化した。佐々木監督の狙いで全メニューが主力と控え組に分けられた「対立構図」にあって、主力組のFW大野忍(28)=INAC神戸=は、アピール意識の欠ける新顔たちに対し「淡々とやっているだけでは何も得るものはない」と、激辛の猛ゲキを飛ばした。

 佐々木監督は「一人一人は本当にうまい」と及第点を与えたが、大野からすればもどかしさといら立ちだけだった。ガチンコ勝負であるはずの実戦メニューで、控え組・新参陣はレギュラー陣の前に文字通り、沈黙した。やる気はあるのだろうが、コンセプトやプレーの判断に迷って力を出し尽くせない。それ以上に、徐々に士気までしぼんで、声さえも出せない“惨状”が許せなかった。

 「新たに入ってきた選手がもっと『自分』を出してもいい。本当に静かですよね。ただ、淡々とやっているだけでは何も得るものはないと思う。思い切りもやらず、ただ淡々とやっていることに納得はいかないですね」。脳裏に渦巻くなぜ? 大野はどうしても黙っていられなかった。

 「なでしこ」には、脈々と受け継がれてきた伝統がある。サバイバルが当たり前の女の戦いにあって、新参者に救いの手を差し伸べたりはしない。自力ではい上がって、追い落とせ−。代表通算37得点のエースは「伝えなくても感じてくれ、という思いはある。自分たちもそう学んできたし、それは変えたくない」と指摘。「自分たちから言ってやらすよりも、自分で考えてやった方がいい」とあえて突き放した。チームの底上げ、新陳代謝はその必要条件かもしれないが、「五輪まであっという間。自分もアピールしないと生き残れない」と大野。自戒も込め、同志に向けた言葉。生存競争の厳しい「なでしこの流儀」こそが、悲願への近道になる。 (松岡祐司)

 

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