【社説】税金を納めない人や前科者も国会議員を夢見るのか

 来月11日に行われる国会議員総選挙で、小選挙区からの立候補を届け出た927人のうち、年間の納税額が100万ウォン(約7万3000円)にも満たない候補者が245人(26.4%)に達し、過去5年間に税金を1銭も納めなかった候補者も23人いることが分かった。また、104人(11.2%)の候補者は過去5年間に決められた額の税金を支払わず、滞納した前歴があった。昨年1年間の一般国民の平均納税額は490万ウォン(約36万円)だった。税金を1銭も支払っていない候補者や、年間の納税額が100万ウォンに満たない候補者が、選挙管理委員会(選管)に立候補を届け出る際には1500万ウォン(約110万円)の供託金を預けたが、この金は一体どうやって調達したのだろうか。

 国会議員の任務の中で最も重要なのは、法律を制定することや、国民の税金から捻出される予算が適切に使われているか監視することだ。税金を1銭も支払っていない人や、一般国民の納税額の20%しか支払っていない人が国会議員になったところで、国民の税金がどれだけ貴重なものなのか分かるのだろうか。今回の総選挙で、与党セヌリ党は75兆ウォン(約5兆4500億円)、野党・民主統合党(民主党)は165兆ウォン(約11兆9800億円)規模の福祉に関する公約を打ち出した。その巨額の資金を、かつかつの生活を送る国民の税金から調達するということを認識して、公約を打ち出しているのか疑問だ。

 国会議員や秘書たちの年俸、カンパ、各種の政治活動費などを合わせると、議員1人が1年間に国民の税金の中から受け取る金は平均8億ウォン(約5800万円)に達する。今年、各政党が受け取る国庫補助金は約1113億ウォン(約80億7900万円)に上る。このように国から巨額の金を受け取るのは、予算の使い道をきちんと監視し、国民の税金を大切に使ってほしいという意味が込められているからだ。しかし、税金を納めたこともない人が、国民の税金を大切に使おうという考えを持つことができるのだろうか。

 また、立候補者のうち、前科がある人は186人(20%)で、前回の総選挙(13.7%)のときよりも増えた。前科がある立候補者が全体の29%を占める民主党は、該当する候補者たちが「民主化運動や労働運動に関与する中で、国家保安法や「集会および示威(デモ)に関する法律(集示法)」、労働争議調整法などに違反したものだ」と釈明した。だが、該当する候補者たちの前科の多くは、金泳三(キム・ヨンサム)政権以降の文民政権下での犯罪行為によるものだ。その前科を、まるで「民主化運動の勲章」のように仕立て、国民をだましていることになる。候補者の中には、政治資金法違反や放火未遂、詐欺、脅迫、暴行などの前科がある人物も少なくない。

 有権者たちは、選管のウェブサイトや各家庭に配付されるパンフレットで、候補者の納税や兵役、前科、資産などに関する記録をきちんとチェックし、少なくとも前科者だけは国会に送らないよう審判を下すべきだ。

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