家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について
調査の目的
- 一般家庭の日々の食事に含まれる放射性物質の量について、生協組合員の関心が高く、その実態を科学的に調査すること。
- 被災地を中心に広く生協組合員の協力を得て、実際の食事と使用した食材に関する情報や食事に対する意識を調査することで、実情を把握すること。
- 調査結果や関連情報を広く消費者の皆様へ分かりやすく提供していくことで、現状を正しく理解するための一助とすること。
調査の概要
- 実施時期:2011年11月14日~2012年3月23日
- 実施数:237件(内、福島県 96件)(【表1】参照)
(2012年3月23日現在の検査終了数)
- 対象地域:岩手、宮城、福島、群馬、栃木、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、新潟、長野、山梨、静岡、愛知、岐阜、三重、福岡の18都県
- 方法:各家庭の2日分の食事(6食分と間食)を1サンプルとして、すべて混合し測定
- 測定器:ゲルマニウム半導体検出器
- 検出限界:1Bq/kg
- 測定物質:セシウム134、セシウム137、ヨウ素131、カリウム40
- 検査機関:日本生協連、東海コープ事業連合、コープこうべ、コープ九州事業連合(エフコープ)の検査センター
調査結果の概要
結果について
- 食事1kgあたりの放射性セシウム・放射性ヨウ素の量について
- 237サンプル中226サンプルからは、検出限界以上の放射性セシウムは検出されませんでした。不検出が全体の95%にあたります。
- 1Bq/kg以上の検出が見られたのは11件でした。都県別には福島県10件、宮城県1件です(【表1】参照)。
今回の調査は福島県では96件、宮城県では11件実施しています。
- 放射性ヨウ素の検出はありませんでした。
- 1年間あたりの食事からの内部被ばく線量について(放射性セシウム)
- 今回放射性セシウムを検出した11家庭のサンプルと同じ食事を1年間継続して食べたと仮定した場合、食事からの内部被ばく線量は、0.019 mSv~0.136 mSvと推定されました※。これは、4月施行予定の基準値の根拠である「年間許容線量 1mSv」に対して1.9%~13.6%にあたります。(【表2】・【図1】参照)
※セシウム137が検出され、セシウム134が検出限界未満の場合は、セシウム134が検出限界ぎりぎりの1Bq/kg含まれていたと仮定しました。
- 放射性セシウムを検出した11サンプルの中央値は1.40Bq/kg(【表2】No.6参照)で、上記同様に求めた1年間の内部被ばく線量は0.023mSv、「年間許容線量 1mSv」に対して2.3%でした。
- 2日分の食事を測定した237サンプルの平均重量は3.73kgでした。仮に、「検出せず」の食事3.73kg中に検出限界(1Bq/kg)と同じ量のセシウム134と137が含まれていた場合、食事からの1年間あたりの内部被ばく線量は平均で0.022mSvになります。検出限界(1Bq/kg)の半量の0.5Bq/kgとした場合は0.011mSvになります。
- 放射性カリウムについて
原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)は、すべてのサンプルから検出されました。結果は15~56 Bq/kg 、1年間の内部被ばく線量は0.05 mSv~0.38mSvでした(【図2】参照)。
〈参考〉厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会が、2011年10月31日に公表した「食品摂取による被ばく量の推定結果」は、年間およそ0.1mSvでした。また、同年12月22日の同部会で食事からの放射性物質の1日摂取量推定結果が示され、放射性セシウムの摂取量(年間)は、福島0.0193mSv、宮城0.0178mSv、東京0.0026mSvでした。


今回の調査の特徴と2012年度の予定
- メンバーシップ組織の利点を生かし、全国18都県の組合員の参加により、200世帯以上という大きな規模で、食卓と検査を結びつけたこと。
- 参加者に対して調査の意義や調査結果の見方を、事前・事後に丁寧に説明・質疑応答し、放射性物質に関するリスクコミュニケーションを行ってきたこと。
- 2012年度も摂取量調査を継続し、全国の生協・組合員と情報や課題を共有し、更なるリスクコミュニケーションを図っていきます。
- 国に対しては、現状を正しく分かりやすく伝えることや、新しい基準に対応した地方自治体での検査体制の強化などを引き続き要望していきます。
日本生協連での商品・原料の検査について
- 新基準に対応した検査体制を確立し、商品・原料の検査についても継続して実施します。
- 2012年3月22日までの集計では、全国の生協で3万件以上の放射性物質検査を行いました(内、日本生協連商品検査センターで約3千件の検査を実施)。今後、これらの結果の集計・解析に取り組み、摂取量推計値の試算なども実施する予定です。