12年度予算案が8日、衆院を通過し、民主党内では週明けから、野田佳彦首相が今月中の国会提出を目指す消費増税法案の党内手続きが始まる。小沢一郎元代表は消費増税の「阻止」を明言しており、首相が法案提出にこぎつけたとしても、国会審議では与党内と野党側から揺さぶられる苦しい展開が予想される。衆院解散・総選挙と引き換えに自民党から法案成立への協力を得る「話し合い解散」の動きも見え隠れする中、「消費増税国会」の与野党駆け引きが本格化する。
「年度内の提出を目指している。法案を提出した暁には速やかに審議をお願いしたい」
首相は8日の衆院予算委員会で3月中の法案提出を明言したが、民主党執行部は事前審査の場をどこにするかも決めかねている状況。政府はすでに税と社会保障の一体改革大綱を閣議決定しており、前原誠司政調会長は8日の記者会見で「大綱(の範囲)を出ていないものは、それほど時間をかけて議論する必要はない」と1週間程度で結論を得たい意向を示した。
「本気になって反対すれば阻止できる」
小沢元代表は8日夜、東京都内で会食したグループ議員に消費増税阻止の決意を披歴した。選挙基盤の弱い若手主体の小沢グループには解散・総選挙への恐怖心も広がるが、元代表は「このままならみんな討ち死にだ」とあえて危機感をあおり、野田首相への対決姿勢を強調した。
早期解散に追い込みたい自民、公明など野党側は、消費増税をめぐる民主党の内紛をあおって野田政権を揺さぶる構えを見せる。小沢グループ内では、政務三役を集団辞任させて法案の閣議決定に抵抗する案もささやかれるが、最終的には衆院採決時に野党と連携して否決することも視野に入れている模様だ。
そうした事態にまで至れば、民主党は分裂状態に陥る。首相が話し合い解散に踏み切る場合も「小沢切り」が前提になる。そのため、民主党内では首相と小沢元代表の会談による衝突回避を求める声が上がっている。元代表は7日夜の会合で「(首相に)自分の意見を述べるのはやぶさかではない」と語ったが、輿石東幹事長は8日の記者会見で「首相から要請があれば応じるということだろう」と慎重な見方を示した。【田中成之、小山由宇】
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◇当面の政治日程
3月中旬 消費増税法案の民主党内手続き
下旬 消費増税法案の閣議決定、国会提出
4月6日 12年度予算案の自然成立日
下旬 小沢一郎民主党元代表に対する東京地裁判決
月内 原子力規制庁が発足?
5月上旬 野田首相が訪米?
15日 沖縄本土復帰40周年
18、19日 米国で主要8カ国(G8)首脳会議
6月10日 沖縄県議選投開票
18、19日 メキシコで主要20カ国・地域(G20)首脳会議
21日 通常国会会期末
9月末 民主党代表、自民党総裁の任期満了
2012年3月
4月1日北リアス線田野畑~陸中野田間復旧
岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。