世界基督教統一神霊協会(統一教会)に献金や物品購入を強要され財産を奪われたとして、福岡県内の50代女性が教会に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、福岡高裁(木村元昭裁判長)は16日、約8160万円の支払いを命じた一審・福岡地裁判決を変更し、約3億9千万円に増やす判決を言い渡した。
原告側代理人弁護士によると、個人で統一教会を相手とした訴訟の賠償額としては過去最高という。
一審判決は教会側の一部の勧誘行為を不法行為と認めたが、教会創始者の言葉を記した「聖本」10冊を計3億円で買わされた勧誘は、不法行為は成立しないとした。一方、二審判決は、3億円の勧誘は養母が重い心臓病で入院中の原告の不安に乗じたものと指摘。信者の足の痛みを聖本で治す様子を見せるといった演出も使って「聖本」を買わなければ母親を助けられないと信じ込ませたもので、「社会的相当性を逸脱し違法だ」と断じた。
教会広報局は取材に対し、「信者の信仰に基づく献金との主張が認められず誠に遺憾。判決文を検討し、今後の対応を決めたい」との談話を出した。