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【大相撲】

白鵬 逆転V 優勝決定戦で鶴竜に本割の借り返す

2012年3月26日 紙面から

◇春場所<千秋楽>

(25日・大阪府立体育会館)

 横綱白鵬(27)=宮城野=が優勝決定戦で関脇鶴竜(26)=井筒=を上手投げで下し、貴乃花に並ぶ史上5位の22度目の優勝を果たした。白鵬は本割で大関把瑠都を寄り切って13勝目を挙げ、優勝決定戦に進んだ。直接対決を除く千秋楽での逆転優勝は2004年夏場所の朝青龍以来。鶴竜は自力での初優勝が懸かった本割で豪栄道に寄り切られ、優勝決定戦でも苦杯をなめた。

 「特別な日」に始まった場所の「特別」な優勝だった。鶴竜に1差つけられ迎えた千秋楽。白鵬は「自分の力ではどうにもできない」状況の中でも、集中力を高めていった。鶴竜が豪栄道に敗れる波乱。思ってもいなかった。

 「ヨシッ」。テンションをさらに高めて、結びで把瑠都を寄り切る。勢いそのままに優勝決定戦では鶴竜を上手投げで転がした。場所前から声を大にして掲げてきた貴乃花と並ぶ22回目の優勝。1差つけられた千秋楽での逆転は白鵬にとって初めての経験だった。

 「ハァー、フー、疲れたあ」。支度部屋では息を整えるのに時間が必要だった。「どうなるかと思ってました。こういう優勝は初めてですね。ここまでくると思わなかった、正直」。9日目に負けた鶴竜にも「借りを返せたかな」と横綱の意地も見せた。

 東日本大震災からちょうど1年。27歳の誕生日でもある3月11日が初日だった。6日目の嘉風戦で左足首を痛め、古傷の左足親指も悪化させた。「どうなるかと思った」。弱気になりかけたとき、慰問した被災地のことが頭に浮かんだ。

 「逆に勇気をもらいました。感謝の気持ち。ありがとうと言いたい。千秋楽までいい相撲を取りきることが大事だと思った」

 横綱と力士会の支援で津波の被害にあった岩手県・山田町に建設中の土俵が4月30日に完成する予定となった。千秋楽までに屋根を支える四本柱も立った。建設費は999万5千円。横綱はそのうち600万円を個人的に寄付した。関係者は「震災当初はほかにも土俵があればとおっしゃっていた」と言い、今後も増えていくかもしれない。

 この日、支度部屋へ姿を見せた紗代子夫人は「先場所痛めた親指がよくなくて、また痛いと言ってました。先場所は優勝を逃したので、横綱としての責任を果たしたい、星を落とせないと言ってました」と、今場所を振り返った。決して諦めず苦しさを乗り越えた白鵬は、さらなる高みへ上がった。(岸本隆)

 

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