空中で相手選手と激しく競り合うグランパスの巻(左)=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで(木村尚公撮影)
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名古屋グランパスは26日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで控え組が関学大と練習試合を行い、4−2で勝った。今シーズンからDFへ転向した巻佑樹(27)が昨季までプレーしていたFWとしてスタメン出場。豪快ボレーで先制点を挙げた。エース・ケネディのコンディションに不安があるだけに、FWとDFの“二刀流”を使いこなす巻が、大きな助けになりそうだ。
得点感覚はさび付いていなかった。キックオフからわずか5分後、左サイドからMF三都主が上げたクロスを待ち構えていたのは、今季グランパスに復帰して初めてFWに入った巻。「本当は頭でいこうかと思ったけど、それじゃあディフェンスと重なる」。得意のヘッドから瞬時に右足ボレーにシュートを切り替え、逆サイドへ突き刺した。
ムードメーカー・巻のゴールに見守っていた主力組はやんやの大喝采。巻は「ほとんどアレックス(三都主)のクロスのおかげです」と照れ笑いした。
巻のFW起用の背景にあるのは苦しいチーム事情だ。25日の新潟戦(瑞穂陸)で1得点したケネディは、腰の痛みで十分に動けていなかった。加えて、キャンプから好調をアピールしてきた2年目のFW田中輝も右足首の故障で戦線離脱。新潟戦のベンチにはFW登録の選手が一人もいないという異常事態だった。
巻はFWとしてプロ5年間で公式戦通算11ゴールを記録している。「監督からは特に何も言われていませんが、そういう(FWもできるようにしておけという)メッセージだと思っています。困ったときにチームを助けられるような存在になりたい」と巻。“二刀流”へ意欲的だ。
関学大戦ではDF新井の故障により前半途中でDFへシフトしたが、センターバックとしても堅実な守りを見せた。FWとDFをこなすマルチな才能が、グランパスの“奥の手”になりそうだ。 (木村尚公)
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