グーグルが提供するサービスのプライバシー管理をめぐっては、これまでも度々議論となってきた。国内の検索エンジンのシェアを事実上独占しているだけに同社のサービスは強い情報拡散力を持つものの、識者からは「検索エンジンに法的責任を負わせるのは難しい」との指摘も出ている。
ネット上で町並みを閲覧できる同社の「ストリートビュー」では、ベランダに干した洗濯物を無断でネットに公開されたとして、女性が慰謝料を求め、訴訟に発展したケースもある。
また、3月から導入された個人情報保護に関する新指針では、同社の複数のサービスの利用履歴などを、顧客IDに基づき一元管理。利用者から「情報が筒抜けになる」との懸念が続出し、総務省などが個人情報保護法などを順守するよう同社に要請している。
今回、申し立てをした男性の代理人の富田寛之弁護士は「(サジェスト機能の)予測キーワードで絞られるせいで、中傷記事に行き着く面がある」としているが、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「ネットサービスに責任を求めるのは筋違い」と指摘。「技術開発にブレーキがかかりかねない」と指摘する。
甲南大学法科大学院の園田寿教授(情報法)も「検索サービスは違法行為の助長を意図しておらず、現状で法的責任を問うのは難しい」と話す。一方、仮処分が認められたことで「ネットの利便性とプライバシーのバランスをどう保つかという議論が活発になる可能性がある」としている。