自衛隊の個人情報収集“違法”3月26日 16時40分
自衛隊がイラク派遣に反対する集会などを監視し、参加者の個人情報を集めていたのは違法だとして、集会の参加者らが監視の差し止めと損害賠償を国に求めた裁判で、仙台地方裁判所は、自衛隊が行った情報収集は、人格権の侵害に当たり違法だとして、原告の一部に対し、合わせて30万円を支払うよう国に命じました。
この裁判は、自衛隊で外部団体の情報収集などを担当する情報保全隊が、イラク派遣に反対する集会などを監視し、参加者の個人情報を集めていたのは違法だとして、集会の参加者ら東北6県の合わせて107人が、監視の差し止めと1人当たり100万円、総額1億700万円の損害賠償の支払いを国に求めていたものです。
26日の判決で、仙台地方裁判所の畑一郎裁判長は「原告のうち5人は、名前や職業に加え、所属政党など思想信条に直結する個人情報が収集されており、人格権を侵害されたと言うことができる。被告の国は、情報収集の目的や必要性について具体的な理由を何ら主張しておらず、情報保全隊が行った情報収集は違法とみるほかない」と述べ、自衛隊による情報収集は、人格権の侵害に当たり違法だとして、原告のうち5人に対して合わせて30万円を支払うよう国に命じました。
一方、監視の差し止めについては、どの行為を差し止めの対象としているか特定していないとして訴えを退けました。
原告の弁護団は、判決のあと記者会見し、「個人情報の収集や保有による人格権の侵害を認めて自衛隊の情報収集行為を違法と判断した画期的な判決だ」と述べました。
また、原告の1人で賠償が認められた宮城県大河原町の松井美子さん(67)は「全国からの支援に感謝しています。差し止めが認められなかったことは納得できない」と話していました。
記者会見で弁護団は、ほとんどの原告の賠償が認められなかったことや、情報収集活動の差し止めが退けられたことから、仙台高等裁判所に控訴する方針を示しました。
一方、判決について防衛省は「こちらの主張について一部、裁判所の理解が得られなかった。今後の対応については判決内容を慎重に検討し、関係機関と調整のうえ適切に対処していきたい」とコメントしています。
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