福井県の原発に関して技術的な助言をする「県原子力安全専門委員会」の委員12人中4人が、関西電力と関わりの深い業界団体「関西原子力懇談会」(関原懇)から06~10年度に研究助成金として計790万円の寄付を受けていたことが分かった。同委員会は、県が関西電力の原発再稼働を判断する際、助言する立場にある。
関原懇によると、寄付があったのは▽泉佳伸・福井大教授が30万円(10年度)▽西本和俊・大阪大教授360万円(06~08年度)▽三島嘉一郎・元京都大教授300万円(06~07年度)▽山本章夫・名古屋大教授100万円(09~10年度)。
関原懇の会長は主に、関電の原子力担当の役員が就任。関電は法人会員になっている。関原懇は「原子力や放射線利用の振興に貢献があり、有望な研究をしている先生の研究助成のため寄付している。関電の意思で活動しているということはない」と説明している。
同委員会の開催要領には「学識経験者の中から知事が就任を依頼する」などの記載しかなく、県は委員を選任する際、原子力業界からの寄付などについて報告を求めていない。一方、国の原子力安全委員会は審査の中立性を確保するため、審査委員に電力事業者などとの利害関係を自己申告させている。
同県は全国最多の原発14基を抱え、現在は全て停止している。このうち関西電力大飯原発3、4号機は、原子力安全委員会が23日、再稼働の前提となる安全評価(ストレステスト)の1次評価を了承した。政府が近く地元説明に入る見込みで、県の判断が焦点になる。
NPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸共同代表は「原子力推進の側から寄付を受けていれば、いくら委員が否定しようと『推進に都合の良い意見を言っている』と思われても仕方がない。寄付を受けた人は委員から外すような仕組みを作るべきではないか」と指摘している。【安藤大介】
毎日新聞 2012年3月25日 21時59分
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