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今回も本編の補足説明を後書きにさせて貰います。疑問に思った方はぜひお立ち寄りくださいm(__)m
小学生編(前期)
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δ月α日

 エイプリルフール、それは1年に1度だけ嘘を吐くのが許される日。そして殆どの国民(主に子供)はその日に便乗し、嘘で満たされたお祭り騒ぎを行う。その結果ある者は笑い、ある者は泣き、またある者は怒りに駆られ嘘にまみれた復讐を行う忌々しき祭り、それがエイプリルフールだ。

 そんなお祭りに俺も便乗させて頂きました。お祭り騒ぎができる日に俺が便乗しないわけがないだろうが!! 毎日騒ぐのは年齢的に勘弁願いたいところだが、俺は基本的に日常の範囲内で騒ぐのは好きだ。ただし、疲労が半端ない運動会は例外です。
 あれで楽しそうに騒げるのは、1桁年代と10代の少年少女くらいで、大人はあの行事に参加したいと思う気力が湧いてこない。ただし、保護者は例外だ。
 むしろ親の方が子供を指し置いて運動会を楽しみにしている伏しがある。親子参加競技はその筆頭であり、保護者の気合の入れようにはヤバいものを感じる時が1度や2度ではない。父さんの気迫にビビった時があるし。
保護者はなぜあそこまで、運動会に意気込むのか俺には理解できない……。俺に子供ができたら分かることなのかもしれないがな。 

 そして今年もエイプリルフールのターゲットはなのちゃんだ。標的にした理由はてけとー。
 エイプリルフールに嘘を吐く相手を選ぶ理由なんて、意識するものではないし、理由なんて嘘を吐こうと思った時に相手がその場に居ればそれでよしだ。ただし嘘を吐く相手は分別がつく年齢になったら、ちゃんと選ばないといけないがな。

 「実は地球の崩壊が間近に迫っているんだ!!」と今年引いたおみくじに書かれた、信憑性皆無な嘘を吐いていみた。案の定なのちゃんは世界が滅びるなんて信じません。普通に信じられるわけがないよな、むしろ根拠がなしで信じたら俺の方が信じられない気持になる。ある意味なのちゃん、GJ。
 嘘を吐かれたなのちゃんは頬を膨らませて、「いくら私でも根拠がないと信じられないよっ!」とぷんぷん怒った。騙せると思ってないと言うと、真っ赤になって俺を追い掛け回し始めたので、昼飯ができるまで逃げ続けた。

 うん、改めて1日を振り返るとやっぱり今日のような毎日が続いて欲しいと思う。老後まで続いたら、その時は緑茶でも飲んで昔についてあれこれ思い出すのも、なかなか良いかもしれないと考えている。俺の日常的にはなんかすごいことに巻き込まれるとかはありそうだが、妄想くらいはしてもいいだろ。

 こんな平凡な日常がいつまでも続くといいなぁ……。漫画みたいなバトル展開に巻き込まれるのは御免だわ。この世界だと巻き込まれる可能性が少なくないから、本当に困る。



δ月ρ日

 八神曰く、おっぱいとは至高の芸術品であるらしい。だが俺が思うにおっぱいとは夢と希望を人間に散布する世界の中心だと思う。
 おっぱい。それは見る人間にとって見え方が変わるパンドラの箱なのかもしれない。八神とおっぱい対談をしているとつくづくそう思えてくる。

 春休み最終日、なのちゃんたちは塾の講習で不在だったため午後から図書館に向かった。目的は純粋な意味で本探し。特に八神に会おうと言う気はなく、そもそも今日はいつも会っている曜日ではなかったので、八神家の都合を知らないため電話をしなかった。
 なのに図書館に着くと八神にばったり。八神は俺を見つけた瞬間、「なんで電話しなかったんや」と言ってきたが、「お前の家の都合が悪いかもしれないから掛けなかった」と言い返したら渋々だったが納得した。

 八神も今日は童話を探しに来たらしいので、おっぱい談義の内容を書き記している中二の書は持って来ていなかった。仕方ないので今日はおっぱい談義を書き記さずに談義をしただけだ。
 司書の人は俺と八神の組み合わせを見ると溜息を吐きたくなるらしい。だが3年前のようにお互いヒートアップせず、他人に迷惑を掛けない範囲で論議を行っているので追い出したくて追い出せないようだ。傍から見たら奇妙な組み合わせに見えるんだろうな、俺と八神って。

 中二の書がなかったからか、はたまた今日の目的が本だったからか、おっぱい談義はそんなに盛り上がらなかった。俺が料理本を探していたことから代わりに料理の話へ移行。
 八神は意外なことに料理が作れるらしい。必然と覚える必要があったから料理が作れるようになったと言っていたため、恐らく共働きか片親なんだろう。始めて会っていた日に送った時も親が在宅していなかったみたいだしな。
 親のことを聞こうかと思ったが、それを聞くのはデリカシーがないので止めておいた。片親だった場合は聞かれるのが嫌だって人もいるし。

 普段はどんな料理を作るか聞いたら、八神は基本的に和洋中の料理に対応していて、和食に関しては関西料理と関東料理のどちらも作れるらしい。つまり家で作れるものならなんでも作るとのこと。3年前から料理を始めて俺と同じくらいレパートリーがあるのは素直にすごいと思う。俺が自炊しだしたのは大学就業直後だったから、20年以上は経験積んでるのに……。
 代わりに専門料理は作れないと言うが、十分すぎるくらいに八神は主婦の才能があるだろ。俺は日本食が好きだけど、自炊を慣れ始めたころにアメリカへ行ったせいか洋食の方が得意だから、和食を東西分けて作れる八神が少し羨ましいわ……。それに俺が和食を作ると関東系の味付けになっちまう。

 八神は意外にも家庭的な女の子なんだな、器量もいいし将来男にもてるタイプだ。ただしおっぱいに関しての話は、男の前で話されると引かれるからやめた方がいいと思う。大きくなって男にモテなかったら、それは高確率でおっぱい談義が原因だ。
 既に行き遅れ的な意味で八神の将来が心配になってきた。

 ……余計なお世話か。



δ月β日

 最悪という言葉しか思いつかない今日。色んな意味で今年の学校生活が不安になってくる始業式だった。というのも、俺だけなのちゃんたちとクラスが違っているだけではなく、担任も去年と同じなのだ。
 先行きが不安でならない。つうか、なぜ俺だけピンポイントで3人から引き剥がされたのか、全員バラバラとか2人は一緒とかなら分かるんだが微妙に納得したくない。
 いや、俺だってバラバラの可能性を考えてなかったわけじゃないから、何もなければそれで納得した筈だ。だが担任が嫌らしく笑った時点で陰謀の可能性を疑いたくなってきた。俺をカラかっている可能性も考えらるがな。まぁぐちぐち書いても仕方がないから、新しいクラスを満喫しよう。

 相変わらず新学期早々に殺人説法こいちょうせんせいのおはなしが俺たちに洗礼を与え、そして相変わらず教頭先生は殺人説法こうちょうせんせいのおはなしを長引かないように適当なところで止めに入る。教頭先生は相変わらず良い仕事をしてくれる。流石は俺たち生徒の味方。
 
 始業式が終了後は、教室に移動して明日以降の授業について担任が軽く触れて解散。解散後なぜかクラスメイトたちが一斉に俺のところに寄ってきて、「制服兄貴、制服兄貴!」と俺にいろいろ話しかけてきた。そういや俺って学年では有名人だったんだよな。
 とりあえず全員の相手をして、質問に答え終えるころには腹が鳴ったので校門を出たらなのちゃんたちが俺を待っていた。

 待っていてくれたことに礼を言って、それからみんなで帰路を歩きながら新しいクラスのことについて話始める。なのちゃんたちは1年ころの担任が再び担任になったらしい。羨ましい話だ、俺なんぞ人の争いを笑いながら観戦している教師だぞ。
 本当に俺の担任はどうやって教師の採用試験を合格したのか不思議でならない。性格が悪いなんてレベルじゃないぞ……。教師としてはすばらしいんだろうに、なんであんなに人をからかうのか……。

 なのちゃんたちの話を聞くかぎり、今年のクラスでも上手くやってけそうだから良かった。俺的には結構心配しているところだったから。
 まぁそこまで子供ってこともないか。



δ月ε日

 海鳴市は今日もカオスです。もうローマ字で読んでUMINARISIと呼びたいくらいにカオスだよ。本当にあり得ないくらいにカオスで世界にカオスを発信してんるんじゃないかと疑ってしまうくらいカオスだ。

 あんまりカオスカオス言うとゲシュタルト崩壊しそうだから、なにが起こったか書く。道端に落ちている石くらいの大きさの隕石が空中で軌道を曲げて、俺の方に襲いかか――じゃなくて落ちてきた。
 “感”があったから避けれたんだけど、俺が避けたら代わりに後ろにいた幽霊ちゃんに隕石が墜落して幽霊ちゃんがその場で倒れた。

 ……日記書いてる今ですらカオスに輪をかけたカオスな出来事過ぎるカオスな状況で俺の脳内はカオスでヤバい。しかも隕石に激突した肝心の幽霊ちゃんは俺のベッドで布団の感触を味わっているというカオス。そう布団の“感触を味わっている”んだ。さっきは夜食を“食って”たし……幽霊なのになんというカオスな状況。カオスカオスカオスカオスカオスカオ



 リニスと幽霊ちゃんにチョップを貰って落ち着いた。冷静かつ、具体的かつ、単刀直入に書く。
 幽霊ちゃんが受肉した。

 なにが原因か予想はついている。原因は墜落してきた隕石だ。
 いや、もう隕石が墜落してくる時点で突っ込みたいけど、なんで空中で軌道がねじ曲がって俺の方に落下してきたのかを隕石に小一時間は問いただしたい気分だ。突っ込みどころはそれだけじゃないんだけどな。

 経緯を順当に書いていこう。早朝4時、いつもより若干早くに起きて、リビングで眠気覚ましにコーヒーを飲もうとしたのだが、コーヒー豆が切れていたので幽霊ちゃんと近場の自動販売機まで缶コーヒーを買いに行った。今思えば普段しないことはするべきではなかった思っている。俺の場合は普段通りでもヤバいのに、普段通りの行動から逸れたことをすると大抵とんでもないことに巻き込まれるからだ。
 そして巻き込まれた俺。いつもより早めに起きたり、コーヒー豆が切れても眠気を覚ますための缶コーヒーは二度と買いに行かないと誓ったわ。

 缶コーヒーを買った帰りに悪寒を感じて空を見上げると隕石が聖祥の方に向かって落下していく光景が見えた。それだけなら隕石が見つかったと明日のニュースで報道される程度で済む。
 なのにだ、隕石はあろうことか俺の方に無理やり軌道をねじ曲げて落下してきやがった。悪寒がしていた時点で薄々気がついてたけど、かなり性格が悪い隕石だ。
 俺が視線を向ける前から目を付けてだろうに、おまえが俺を見たのが悪いと言わんばかりに、視線が向いた瞬間あからさまに俺を狙いやがって。わざわざ人の方に当たりに来やがるとは本気で腹立たしい……。
 で、落ちてきたのを避けたら、避けた先に居た幽霊ちゃんに追突して幽霊ちゃんが意識を失った。まさか物体と接触するとは思わなかったので、慌てて幽霊ちゃんに駆け寄って体に触れたら、俺の右手の甲にローマ数字で13と描かれたルーンらしきものが現れて魔力を半分近く奪われ、一瞬恐ろしいほどの疲労感に襲われ、そして次の瞬間には体を持った幽霊ちゃんが居て、俺の右手に刻まれたルーンらしきローマ数字もその時には消えていた。
 なにがなんだか今でも分からねぇ……。しかも全裸だ。ZE☆N☆RA!
 とにかくラマーズ呼吸法で自分を落ち着かせてから幽霊ちゃんを抱きかかえ即座に我が家に帰還。帰宅早々母さんに幽霊ちゃんに何をしたのか聞かれた。なんで俺が原因扱いされたんだろうな……。

 騒ぎを聞いて起きてきた父さんはリビングで幽霊ちゃんを見た瞬間に舞い上がり、母さんに処刑を執行された。気持ちは分かるが無茶しやがって……。
 5秒で処刑を終えた母さんは意識を失っている幽霊ちゃんをお姫様だっこで2階に連れて行き、服を着せに行ったらしい。らしいというのは手伝いをするためについて行ったリニスから聞いたからだ。流石に心配だからと言って様子を見に行くわけにはいかないし。

 それからしばらくして母さんがリビングに帰還、そして特に何か言う訳でもなく朝食を普段より1人分多く作り始めた。幽霊ちゃんが肉体を持ったことに対して、なにも言うことはないか聞いて見たら、「朝食を作り始める前で良かったわ」とのこと。もういろいろ突っ込めよと思ったのは書くまでもないだろう。
 ただ日課の御神の鍛錬に行く前に、学校から帰ったら家族会議と宣言された。家族会議の内容は経緯説明だったので省く。

 学校から帰ったら現代の洋服を着た幽霊ちゃんが凄い機嫌よくしていた。久々に200年ぶりくらいに食事できたのが嬉しかったようだ。
 根性がねじくれ曲がった流れ星に叶えて貰った願いだが、幸せを感受できているなら良かった。

 幽霊ちゃんがここまで嬉しそうなら少しは根性の悪い流れ星に感謝しても良いかしれない。

P.S とか思った後に、真面目に考えたらいろいろヤバい事態になりそうなことに気がついた。
 冷静に考えなくてもこれって死者蘇生じゃん……!! しかも幽霊ちゃんの戸籍がないし、いきなりポンと我が家に現れたら不審だらけじゃないか!?

 ――家族会議を今すぐ再開だ!!



δ月ε日の補足説明をさせて頂きます。

・幽霊ちゃんの受肉について

幽霊ちゃんは正確には死者蘇生はしていません。肉体は既に朽ちているので、今の幽霊ちゃんの体は魔力で体を構成された生命体です。
ジュエルシードが感応した擬似的な使い魔ですが、人間と使い魔どちらかというと人間に近い使い魔モドキであり、幽霊としての側面も健在しています。

ジュエルシードの内蔵魔力の三分の二で体を構成し、周りの魔力素と近くに居た主人公にラインを繋いで体を維持しています。ちなみに主人公もジュエルシードに幽霊ちゃんを伝って寄生されているので、いつ死亡フラグが回収されるか分からない状態です。

なぜ肉体を得たかについての説明ですが、無印第1話と2話に登場したジュエルシードの暴走体が人間の思念で構成された存在であったこと→似たような存在の幽霊でも可能ではないのか?
無印の第4話で子猫の願いが方向性を間違っていたモノの暴走した様子がなかった→雑念の混ざらない純粋な願いであればジュエルシードは暴走することなく願望成就させるのではないか?

と、以上のような自己考察から幽霊ちゃんは体を得ました。ちなみに幽霊ちゃんの願望は『衛と同じような形で過ごし、同じ瞬間に最期を迎えたい』です。
ぶっちゃけると幽霊ちゃんのみ、一方的な運命共同体状態になっています。

幽霊ちゃんがそういう願望を抱いた経緯の方は又いつか別の機会で。

・ジュエルシードが1個だけ空から落下し軌道変更をした理由。

これの詳しい理由を話すと新城衛の根幹にかかわるので、今はなしで。
ちなみこれは既に主人公が他の形でも発揮しています。

それでは長々と書いた説明に付き合ってくれてありがとう御座いました。
また次回の更新でm(__)ノシ

次回はジュエルシードが飛来する1日前の挿入話です。
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