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小学生編(前期)
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ο月ζ日

 運動会の予行練習が非常にかったるく感じた今日の学校。そろそろ運動会が間近に迫って参りました。

 運動会が近づいてくるのは、予行練習日の前日に全校生徒が授業を合法的にサボれるがために歓声を上げるので本当に分かりやすい。
 但し去年同様になのちゃんは例外だったみたいだけど。やる気はあるんだけど嫌なのものはやはり嫌なのだろう。なのちゃんの運動嫌いは難儀なモノだと思う。精神がオッサンな俺も運動会の予行練習は非常に嫌なんだけどね……。

 去年と変わらずに大玉を転がしたり、10メートルばかり延びた白線先横切るゴールに向かってすずちゃんと並んで走ったりして面倒なモノだと思ったりはしたが、3、4年生の学年別競技である綱引きを見ていたら綱引きをやるよりは精神的な面ではマシかと考えるようになった。
 考えてもみろ……俺とすずちゃんが同じ組で綱引きとか、人外小学生が居ない限り白組オワタだぞ。いくら俺でも気が引けます。

 予行練習した玉入れもちまちま入れるのがめんどくさいので玉を纏めて入れてしまおうかと思ったが、よく考えれば玉入れの玉を纏めて入れるって結構効率が悪かったりする。
 まず時間をかけてかき集めた玉がダンクシュートの要領で入れても、どうしても幾つかが的である籠の小ささで零れ落ちてしまう点が一つ。次に玉入れが団体戦のため、玉を1人の人間が集めると地面に落ちている玉の数が少なくなってしまうので、かき集めて入る確率を上げてから投げるよりも1人1人が的に向かって投げる方が命中率も高い上に投げる玉に困らないため効率的な点が一つ。
 そして最後に、纏めて入れるのを確実にしたいならば何か包めるもので包んでから投げいれた方がより確実になるのだ。

 以上の事から玉入れで纏めて投げいれるのは非常に効率が悪いと判断したので俺はちまちまと玉を投げ入れていた。前世の運動会の時はその方が良いのだろうと思い纏めて投げれ入れていたが、今考えると効率が悪かったんだな。
 ちなみに昔の俺と同じ考え方をしたと思われる同級生が居たが俺はそれに対しては何も言わないでおいた。まぁ……、あれだ人が誰しも一度は通る道だと思ったから。

 それはともかく、一度帰宅してから今日も幽霊ちゃんと一緒に走りこみに行った。やはり去年の赤組の敗退した時みたいに、なのちゃん達には泣かれたくないのだ。
 主に俺の負担的に考えて。

 それなのに徒競争の1位争い相手が去年同様に同じ組であるすずちゃんってどんな皮肉なんだろうか?
 そして今気付いたが、走りこみに行っても徒競争の相手がすずちゃんだったら意味がないじゃん……。何と言う無駄な走りこみ……。



π月ε日

 運動会に向けての練習ばかりして根を詰めるのも悪いと思ったので今日は図書館に行った。今まであまり行った事のない図書館に行った理由は、読書の秋って言うし息抜きにちょうど良いかなと思ったからだ。そして何よりなのちゃん達が揃って塾だったのでものすごく暇だったのだ。

 そういや、何でか忘れたけど海鳴の図書館は一回行ったきりで全く行かなくなったんだよな。たしか天敵……というか犬猿の仲になった狸が図書館に住み着いて居るからだった気がするが、いかせん3年も前に一度会ったきりなので人物の名前が出てこない。
 後で日記を読み返えそう。

 今日図書館に行ったけれど狸(仮称)と遭遇する事もなかったし、常識的に考えれば凄く図書館が好きな人でも毎日の図書館通いは家の都合とかで出来ないだろう。まぁ、その考え方でいくと毎日のように図書館通いをしたらエンカウントしてしまうため、今後しばらくは行かない事にしよう。
 余計な論争は疲れるだけだからな。……相手の事は殆んど忘れかけているのに、ポニテ巨乳属性の重要性について言い争いをした事は憶えている俺って……。

 うん、自分の変態性に落ち込んだりしないで、さっさと日記を書き上げてしまおう。

 図書館に行って主にしていた事は、最近手づまり気味になった現代魔術の研究資料に役立つ書物がないか探していた。今の仕組みでは1分半までは短縮できたがこれ以上の時間短縮は無理がある。
 殆んどごり押しと言って良いほどの時間の短縮だが9月に入っからは1秒も時間を縮められてない。基本的な現代魔術の構造として無理なのだろう。そもそも時間が掛かっても良いのなら現代魔術師相手の場合は行使が出来ない訳でもない。戦闘用の現代魔術を行使しながら敵の階差導機サーバーに働くハッキング系の現代魔術も使う事は出来るのだ。

 研究のスランプ期に突入し始めたのか、ここ最近は時間に拘らなくても良い気がしてきた。けれども一度やり始めたのだから中途半端は良くないと思って研究の役に立つ書物を探していた訳だが中々見つからないので適当なところで切り上げ、久しぶりに童話でも読もうと思って童話コーナーで適当に本を探していたらグリム童話の初版の内容が書かれた本を見つけたので読んで過ごした。
 幽霊ちゃんにはドロドロして過激な内容が多いから読まない方が良いと言ったのだが、俺に子供扱いしないでくれと言うと俺に顔を寄せてから本を読みだした。幽霊ちゃんは本を読む内に見る見る顔が青くなって半泣きになってしまったので、俺の顔に寄せていた幽霊ちゃんの顔を取りあえず引き剥がしてから読書に集中した。

 やはりというかグリム童話が万人の子供向けに成る前のものは鬱になる。『白雪姫』なんか白雪姫を殺そうとしたのが継母ではなく実母な上に最後は母親は死ぬまで焼かれた靴を履いて踊っていたとか、『シンデレラ』は姉達が靴に愛を合わせるために踵と爪先をそれぞれそぎ落としたとか想像しただけで痛いのに結婚式の時は目を潰されてるし踏んだり蹴ったりだ。
 『子供たちが屠殺とさつごっこした話』も精神的にこたえる話だ。ごっこ遊びで人1人殺しちゃうって何なの? 童話の内容が子供向けじゃなさすぎる……。まぁ、子供が読んでも大丈夫なものもあったけど。
 大人が見るとそれなりに楽しめたりはするんだけど、グリム童話の初版は絶対に子供向けじゃない。話が過激すぎる……。

 まぁ、そんなこんなでグリム童話を読んでいたらあっという間に夕方になったので家に帰った。家に帰ってからも幽霊ちゃんが受けたグリム童話の衝撃が大きかったのか、俺の部屋に籠ると「踵や爪先をそぎ落として……」とか「実母を焼いた鉄の靴で……」と部屋の隅で現在に至るまでかなり精神的ショックを受けている模様。
 そうは言うけれど、日本昔話も鬱な話が多いと思うんだけどな……。瓜子姫なんか地方によっては、瓜子姫の生皮を剥いだ天の邪鬼は生皮を着被って瓜子姫に成り澄ましお爺さんとお婆さんに瓜子姫の肉を調理して振舞うって話もあるからなぁ……。

 どこも昔は自重なんて無かったんだろう。童話も民話も子供たちへの戒めとしての意味合いがはるかに強かったみたいだし。

 幽霊ちゃんのフォローをしてから寝るか。踵や爪先をそぎ落とすとかぶつぶつ言われていたら夢見が悪いしな……。



ρ月×日

 幼馴染み達3人に勝利を奉げるために全力全開で頑張った今日。何かなのちゃんの口癖を真似てしまった気がするが、そんな事は気にせずに今日はもの凄く疲れたのでさっさと日記を書き上げて就寝してしまおうと思う。

 やはりというか今年もあった親父どもによる観客席争奪戦は凄まじかった。担任の先生は去年担任だった先生より達観しているらしく、「アレだけの競争が行われていながら、千切っては投げの闘争にならないのが毎年不思議でしょうがないねぇ……」と教卓に座りながら、校庭で親父どもにより行われていた新幹線並みの競争を見つめてぼやいていた。
 そうなると思うのなら、呑気に高みの見物をしてないで校門にでも『観客席の争奪戦は人の域を超えない様にして下さい』とか注意書きの張り紙でもしておくべきだろと提案したら、「んなことしたら楽しい闘……伝統の競争が見れなくなっちまうだろう」とか笑って言いやがった。

 ダメだ……、この教師早く何とかしないと……。
 と言うか海鳴市には一般常識を持ち合わせて人間は居ないのだろうか……。
 俺もたいがい人の事を言えた義理じゃないけどさ、俺の知っている常識人てリニスくらいだぞ……。常識人が猫の上に異世界人(?)って、俺も前世から大分遠い場所に来たモノだとつくづく思う……。
 まぁ前世も一部の人間はかなりぶっ飛んでたしな……、シロちゃんとか掃除のおばちゃんとか掃除のおばちゃんとか掃除のおばちゃんとか。
 たっちゃんや大学の連中と非モテ童貞魔法使い候補同盟を組んでた頃が懐かしい……、同盟結んだのに結局魔法使いになったの俺だけだったけどさ……、ヤバい思い出したら凹んできた。

 何かいつの間にか話が逸れてしまったので運動会の事に話を戻す。先ずは俺達2年生の玉入れからプログラムが始まった。
 開始早々に俺は足元にあった玉を幾つか拾って数メートル離れた籠に向かって投げ入れて置いた。すずちゃんも同様に開始早々俺同様に玉を投擲し、俺達は遠距離からひたすらに籠に投擲を繰り返していた。
 理由としては離れていても投げ入れられた事、そして籠のまわりにやたらと群がっていたのでとてもじゃないが近づけなかったのだ。玉入れの籠の周囲は本当にエラい事になっているのだから困る。

 玉入れの結果は赤組の勝利、白組との差は約50個程。ちなみに最初は赤組が負け気味だったが俺のクラスの玉を数えたら20個くらい優勢になりそこからは逆転劇の開始だった。

 そして徒競争、今年も異常なまでに気合が入っているバニングス家と月村家のお2家族、すずちゃんが俺の隣で嫌な顔をしていたが俺は顔を逸らして柔軟運動をした。「あからさまに顔を逸らさないでよ……」とかすずちゃんは言ったが、何かの拍子に月村家が所持するカメラの幾つかが同じ列に並ぶ俺に向くかもしれないのだ。そりゃ顔も逸らしたくなります。いや、なんたって忍さんですから、俺にカメラが向かない可能性がないなんて言いきれないもん。
 幸いカメラは運動会中すずちゃんの方を向いていて俺がターゲットになる事はなかった。すまん、すずちゃん……あの大量のカメラ達に狙われるのは俺には無理だわ。

 ちなみに今年の徒競争は俺が僅差ですずちゃんに勝利した。まぁ、伊達に毎日鍛えられていないので加減の仕方も自然と憶えたのであろう。正直なところ力の配分を考えた上で上手にやっていかなければ、3ヵ月に1回鍛錬成果の確認として行われる士郎さんとの模擬戦で避けられないカウンターを食らって終わるからな。
 まぁ、最近は模擬戦をする度にカウンターを食らってるんだけど、いつの間にか力の配分が上達していたから吃驚だ。

 徒競争終了後すずちゃんに、「来年は負けないからね」と宣戦布告された。来年は負けないと言われても、同じ組になったら無駄な争いじゃないかと思わなくもなかったが、まぁそこは純粋な徒競争勝負には関係がないのだろう。
 俺はお手柔らかにとだけすずちゃんに言っておいた。

 ちなみに今年の徒競争の順位は俺1位、すずちゃん2位、あーちゃん1位、なのちゃん1位と今年はなのちゃんが超頑張って1位をとった。毎日努力していた成果が実ったのだろう。
 まぁ、なのちゃんの去年の敗因は体力面だったし夏休み前から運動会とバンドに備えているって言っていたから、頑張ったなのちゃんを祝して頭を撫でて上げた。やはり子供への一番の褒美は褒める事ですので。
 その証拠になのちゃんはかなり嬉しかったのか頬を赤らめて大人しく撫でられていたしな。なのちゃんを撫でている最中あーちゃんが俺を睨んでいた気がしたが恐らく気のせいだろう。すずちゃんは俺と顔を合わせるなりに何故かため息を吐かれたが。

 そして全てのプログラムが終了しそれぞれの組の獲得点数の発表する時になった。去年同様に得点表示板の数字は運動会の発表前ではお約束である???になって点数が分からないようになっている。???って気がついたらなっていたりするから、高学年くらいになると運動会のプログラムそっちのけで得点表示板をガン見し続けて、危うく自分が参加するプログラムに遅れそうになったりする人っているよね。……俺だけじゃない筈だ。……きっと、……多分、……あるよな?

 結果は俺達赤組が勝利した。嬉しかったのか、なのちゃん達は俺に抱きついて喜んだがそれはスルー。その後、開幕式同様に殺人説法(こうちょうせんせいのおはなし)を聞いて終了した。教頭先生の苦労人プリは相変わらずだった事を彼が確かに聖祥にいた証として書き記しておこうと思う。

 運営で疲れ果てていた筈なのに教頭先生、無茶しやがって……。教頭先生は犠牲になったのだ、校長の放つ殺人説法(こうちょうせんせいのおはなし)の犠牲にな……。

 取りあえず明日は日曜日で学校も休みだろうし、教頭先生がゆっくり自宅で休めることを祈っておこう。お疲れ様、教頭先生。


寒くなってきた今日この頃、指がヤバいです。
具体的にはキーボードを押す指が寒さで固まってスムーズに動きません。

さて、ようやく投下出来ました。
次回は狸娘が参上の予定です。

では、また次回の更新でお会いしましょうm(__)m
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