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最新話投稿です。

いろいろ言いたい事がありますが、後書きにて。
とりあえず、読者の皆さんご迷惑をお掛けしました。
小学生編(前期)
38ページ目
ο月□日

 今日から2学期開始。今日の俺はふとした事が切っ掛けで、去年の始業式より憂鬱な一日を過ごす事になってしまった。
 けれどまぁ、憂鬱な気分の原因はどうこうする事が出来ないのでいつも通りに今日の出来事を書いていこうと思う。

 今年も当たり前のように2学期の始業式は殺人説法こうちょうせんせいのおはなしで幕開けとなった。
 今年は例年よりも気温の高い猛暑だったため夏の残暑はやはり当たり前だが暑い。終業式の時の暑さに比べればマシな暑さになってはいるがやはり暑いものは暑い、体育館は立ち籠った熱と熱気でえらい事になっていたのだ。そのせいで終業式ほどではないが貧血で倒れる人間が続出した。
 何で周りの人間は事前に校長の長話を止めないのだろうかと思っていたら、今年教師になった聖祥のOBである先生がどこか懐かしい顔をしていたのが見えた。

 もしかしたら夏に行われる殺人説法こうちょうせんせいのおはなしによる被害者は毎年の恒例になっているのかもしれない。
 聖祥は恐ろしい所だ……。けど四年生以上が倒れている光景は滅多に見ないんだよな……もしかして耐性でも出来ているのかもしれない。

 殺人説法こうちょうせんせいのおはなしが2時間を越えようとしたところでようやく教頭先生が校長先生を止めに入ったのを見て、前世で俺が所属していた研究所の掃除のおばちゃんも校長先生のように話が長い人だった事を思いだした。
 掃除のおばちゃんを思い出すと連鎖的にシロちゃんとかたっちゃんとか親方とか前世の両親など前世で死に別れた人達を思い出してくるものだ。

 今日俺が憂鬱になった理由はそれが原因だった。
 転生した直後はもしかしたら会えるかもと思っていたが、生まれてからしばらくしてテレビで前世にはなかった学園都市の存在を知ってからはその思いが断たれることになった。学園都市の歴史から俺が過ごしていた前世の並行世界もしくは名称と環境が似通った異世界と言う結論が出たが、俺としては前者の並行世界説の方が確率的に高いと睨んでいる。

 つまりは型月の第二魔法でも使わないと会うことが出来ない積み状態ってわけだ。
 父さんが話した禁書目録聖省インデックスに所属する聖省十四救難聖人の1人……たしか虹のゲオルギウスって人は並行世界関連の魔術を使えたらしいが、対象を並行世界に分割して存在を抹消する魔術であって並行世界の移動をする事は出来ないらしい。
 しかもそのゲオルギウスさんはかなり前にトゥーレの1人を潰す任務で少数精鋭を組んで日本に来たのを最後に行方不明になったそうな、詰まる所は死んでいる可能性がかなり高い。更に言えば並行世界の移動手段を得ても俺が来た世界が分からなければ意味がないのでシロちゃん達に再会するのは99%不可能だ。

 俺は前世から今世に転生した事はある程度仕方がないと割り切っていた筈なのだが、父さん達に俺が転生者である事を打ち明けることが出来ないし、ふとした事で前世を思い出してセンチメンタルな気分になっしまうから、自覚していないだけで未練が残っているのだろう。
 俺が転生者である事を父さんと母さんに打ち明けたら俺は「俺」であった「新城衛」として生きて行く事になる。俺はそうなると前世の記憶を克明に繋ぎとめて置く事が出来なくなる気がするから、未だに「俺」で有りたいんだと思う。
 まぁ、自覚していないから具体的には分からないけれどな。

 そして今の俺と言う存在はハッキリと分からないところがある。
 具体的には、今の俺という存在は『「俺」の記憶を受け継いだ新城衛』なのか『「俺」の存在自体が新城衛』なのか分からないのだ、だがどちらにしろ俺が「俺」だった事を告白すれば「俺」ではなくなってしまう。
 別に今世に不満がある訳ではない、前世と同じくらいに楽しい毎日を送っているし死んだ事に対しても「俺」の人生に対しても何時も全力で生きていたから後悔を抱かなかった。けれどもやはり前世で死に別れた人達は別だ。
 けどこの世界と別れる代わりに前世の世界に行けますって言われても俺は迷うのだろう。

 この世界で得た絆も俺にとっては大切なモノだから。

 それでも俺は未だに「俺」で在りたいと思っている。99%の確率で会えないと理解していても1%以下の確率で再会できるかもしれないのだから。

 結論を言えば転生なんてするものじゃない……。
 俺と言う存在は確かに「俺」であったのだろうが俺は俺と言う存在がどんな存在なのか理解できずにいる。自分を証明できないのは怖い事だ、世界で独りぼっちになったように錯覚する事があるからだ……。
 正直な事を独白するのならばリニスと幽霊ちゃんには精神的に助けられている部分がある。俺が転生者である事を知ってくれているだけで俺は少しだけ自分が自分である事を証明できる気がするから、その点ではなのちゃんにも助けられているか……。
 俺が「新城衛」である事を誰よりも証明してくれているのはなのちゃんだ。生まれた時からずっと一緒に居るしな、いずれは違う道を行くとは思うが今は互いに一緒に居るのが当たり前の事なのだ。今の内にこの当たり前を享受しておこう。

 ぶっちゃけ科学者なんてやってなかったら転生についてここまで悩まなかったんだろうが、けどまぁ、俺は前向きに二回目の人生を楽しんで行こうと思う。後ろ振り返るのは簡単だけど取り戻せるものは思い出だけだしな。前を向いて取り戻したいものを取り戻す方法やら、新しい目標やらへの道を探した方が現実的だしな。

 正直楽しめるところは楽しまないとやってられないんだよな。

P.S そういや父さんって、現代魔術師なのに異端の魔術狩りをする禁書目録聖書インデックスの内情にやたらと詳しいところがあるよな。
 普通は所属する組織の人間が就いた任務は、幾ら組織内では行方不明扱いにされているからと言って任務って基本的に機密事項の筈だ、しかも聖省十四救難聖ならばそれなりに大掛かりな任務となり、当たり前だがそうそう外部に公開するような事はしない筈だ。
 それなのに任務の内容を知っていた父さんってマジで何者だよ……。



ο月α日

 さて、そろそろ運動会と聖祥祭が迫って来た。今年のなのちゃんは気合を入れ運動会に向けて1学期の終わり辺りから特訓をしてたので、今年はもしかしたら1位に届くかもしれない。
 運動会の方は俺達の中で組が分かれた訳でもないので去年と同じ感じで事態が進んでいるが、我らがMANASU9――バンドの方には問題があった。

 聖祥祭で出し物舞台に参加する生徒は担任の先生に自己申告しておく必要があるため昼休みになってから申告をしに職員室に行ったら、「制服兄貴と愉快な仲間達は今年もバンドをやるのか」と担任の先生に言われた。
 俺が先生からも制服兄貴と認識された事を初めて知り少しだけ落ち込んだ。隣に居た幽霊ちゃんは何で俺が落ち込んだのか理解できなかったようで首を傾げていた。

 しかし何故俺は制服兄貴で固定されているのだろうか……、そんなに去年の聖祥祭で俺だけが制服なのはインパクトがあったのか……?
 ……あったんだろうな、俺があの場で浮いている事は自分でも認識できたもん……。

 先生に「制服兄貴と愉快な仲間達」は訂正して「AMANASU9」と呼ぶようにと言ったら、「なんだ、その品種改良した結果甘くなった茄子みたいなバンド名は?」とか言われたので自覚はしていると言い返しておいた。
 先生は「理解できない名前のバンド名だがまっいっか……」と小さく呟いてから「分かったから帰っても良いぞ」と言って先生は昼食を始めたので俺も屋上で昼飯を食べることにした。
 屋上に弁当を持って参上したら、俺が先に食ってっていて良いと言った筈のなのちゃん達は、俺が来るのを待っていてくれたらしく俺を確認すると手を振って座っている場所を教えてくれた。俺はなのちゃん達の居る場所についてから職員室での報告をすることにした。

 もう「制服兄貴と愉快な仲間達」って認識されていた事を報告したらなのちゃん達は絶望的な表情をした。
 それの気持ちはよく分かる、愉快な仲間とか言われているし俺なんかその愉快仲間の中心人物と思われているんだもん正直やってられっかっ! て言いたくなる。取りあえず今年は「制服兄貴と愉快な仲間達」という認識を「AMANASU9」にすることを目標にしよう。

 そうすれば俺に付けれられた制服兄貴の称号も……。

 屋上でなのちゃんが出し物舞台の話が出た時ため息を吐いていたが、そんなにアレを歌うのが嫌なのか? 『みくみくにしてあげる』のなのちゃんバージョン『なのなのにしてあげる』を歌うのがそんなに嫌か。
 中学生とかなら痛い感じもするが、小学生低学年ならあら可愛いで終わってしまいそうな気がするがな……。



ο月λ日

 我ながら自分の一点突破の才能に、何と言うチートと思うことになる1日だった。 
 今日は土曜日なので午前中は御神の鍛錬を行った。今までは修行は小太刀の基礎と体力作りと御神の体術を習っている俺だったが、今日士郎さんから小太刀の基礎がある程度完成してきたから本格的に『斬』などの御神の攻撃法を練習しないかと提案された。俺としては士郎さんの意見に異論などなく賛成した。

 道場に俺が空けた大穴は相変わらず直っていない為、外で『斬』の練習をすることにした。『斬』は本来は防御向けの小太刀で戦闘を行う御神が、攻撃や奥義などの技を行使するために必要な基礎中の基礎である「引き千切る」攻撃だ。
 当たり前だがパッとやってパッとできる訳もなく、しかも御神の剣術はほぼ反射的に『斬』を出来るようにしなければならない。攻撃全てが『斬』なのだから当たり前では有るがな。

 午前中の時間を全て斬の稽古に費やして全くできないできなかったが、士郎さん曰く、それが普通なので気にするなと言われた。しかしここからが俺が何このチート性能? と言いたくなる話になるが、『斬』が出来ないのに冗談半分で士郎さんから教わった『徹』は素手限定で使用する事が出来たのだ。
 その場に居た全員が唖然となった中で、最初に我に返った士郎さんが俺に小太刀を握ってからやってみてくれと言ったので、実際にやってみたが出来なかった。

 素手限定だと俺は攻撃法の体得が異常なまでに早いらしい。本当にそれなんてチートだよ……。


どうも、豹炎です。

最新話投稿しました。
前書きにも書きましたが、読者の皆さんご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした。

特に前の方で感想を書いてくれた方は特に申し訳なく思います。自分の記憶が正しければ感想数61件でした。
書いてくれた皆さん、本当に申し訳ありません。

そして小説をネットの海からサルベージしてくれたあお。さん、本当にありがとう御座います。
どうお礼をしたらいいのか分からないので、責めてもの誠意のつもりで公共の場でのお礼させて貰いました。

新規投稿の方で感想をしてくれた方は、全て返信できずに申し訳ありません。投稿後に返信させて貰います。

では、今回の後書きはこの辺りで。

これからも平々凡々リリカル日記をよろしくお願いします。
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