ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
小学生編(前期)
34ページ目
ν月α日

 今日からいつも通りの日常に復帰したと思ったのだが、どうやら微妙に普段の日常とはまだ違っている様だ。具体的には朝の御神の鍛錬が怪我をして居るため無いのとかが挙げられるが、代わりにその時間を現代魔術の研究に当てて過ごしていた。しかし入院生活で身体は鈍っていたので早朝のロードワークだけは何時も通りにする事にした。
 だがそのロードワークも結局は怪我が完治するまでに体力を取り戻すのと維持するのが目的なので、怪我の身体に無理が出ない様に何時もの距離より少ない5 キロしか走らないで置いた。なんと言ってもロードワークする上で大変だったのは、いつもの3分の1程の距離だったが、走る速度も加減して何時より若干遅くなるくらいにしとかないと、早くしても傷に響くし遅くしても傷に響くので上手く加減して走るのに苦労したことだ。具体的にいえば、上手く調節するのに要した距離は1キロくらいだ。

 まぁ、そんな感じで四苦八苦した5キロ程のロードワークを終えて家に帰ったのだが、俺が家に到着したのと入れ違いで、なのちゃんが高町家から出てくるところだった。低血圧のなのちゃんが早起きなんて珍しいので疑問に思いつつ声をかけると挨拶を返してくれた。なんで珍しく早起きしていたのかを聞くとランニングをしに行くために起きたとなのちゃんは答えた。
 早起きの理由は分かったのだが、氷解した疑問の代わりに今度は何でランニングなんてしようと思ったのか疑問に思ったので聞いてみると、此処のところ毎日走って身体を鍛える目的で走っているらしい。まぁ、その鍛える目的とは運動会とかバンドの為だったりする。
 ただ少しなのちゃんに関して不思議に思ったことがあった。なのちゃんにランニングの目的を聞いて身体を鍛えると答えた後に、更に俺が深く理由を訊いて運動会とかバンドに関する理由を話し始めたが、普通は『運動会とバンドのために身体を鍛えようと思って』と答えると思うんだが……。まるで俺にはなのちゃんが『身体を鍛える行為』自体を目的にしているように感じれたが、それは恐らく考え過ぎなのだろう。
 なんか気に掛けているというよりも、疑心暗鬼になっているように思えてきたので、なのちゃん関連で深く詮索するのはもう止めておこう。

 家に帰ってからは久しぶりの現代魔術の研究をやった。と言うかこの前からずっと、物体解析→魔術変換→物体への接続の流れまでに掛かる時間の短縮化ばっかりやってるんだけどね! どう頑張っても接続までの流れが二分以上に短縮できません、本当にありがとうございます。
 コレの短縮に成功したら工事現場とかの戦闘時で無人の特殊車両を使って不意打ちで殺せないまでも、足止めとかは出来そうなんだがな……。最初はハッキングとか出来るかなと思ったので作って実験してみたら、電子機器はあたり前で車まで操作できた時は驚いた。既存の現代魔術まじパネェ。
 これは俺が凄いんじゃなくて、現代魔術が凄いんだよな……。俺は単に解析した物体に接続できるように転路呪語コードを変換する仕組みを作っただけだから、あくまで電子機器や車を操作しているのは既存の転路呪語コードだ。まさか此処まで出来るとは思わなかった。

 そして朝飯を食べてからなのちゃんと一緒に登校した。なぜか学校に行くのは、俺よりも幽霊ちゃんの方がテンションが高かったが、幽霊ちゃんのテンションが当事者である俺よりも高くなるのは何時もの事なのでスルー。久しぶりにスクールバスの迎えまでの道をなのちゃんと喋りながら歩いて、スクールバスに乗ってからはあーちゃんとすずちゃんに朝の挨拶を交わした。
 だが1週間ぶりに入った教室で、顔を合わせるなりいきなり「兄貴、お勤め御苦労さまでした!」とクラスメイトに言われたんだぜ! なんで刑務所から出所したヤクザの出迎えみたいな事を言ったのかを聞くと、俺が怪我で入院した事は担任から聞きたのだが、制服兄貴である俺が怪我をして入院する→普通では考えられない→ならば普通では考えれない事が起こったんだ!→きっとそれは兄貴が正義の味方の様に悪党を倒して怪我をしたのだろう、兄貴はそういう人だ!→ならば帰って来た時に俺達が労わって挙げなければ。
 と以上のように脳内変換したらしく、この場合のお勤めとは怪我をして入院することを指したらしい。とにかくクラスメイトの連中が俺の事をどういう風に見ているのか本気で気になった。いや、当たらずも遠からずなんだけど、正義の味方は俺の柄じゃないんだが……。クラスメイトの俺に対する純粋な気持ちが本気で怖いと思った1日だった。俺はどれだけ美化されてるんだ……?

P.S ヤバいヤバいヤバい。最近マスターに影響されてきているせいか、現代魔術の事を書いた時に不意打ちを殺害前提で考えている俺がいる事に気がついた。まぁ、不意打ちは殺したり負傷させて戦闘を有利にするのが目的だとか、その不意打ちをもっとも完成させたのが狙撃であるとかマスターからは教わったけどね。
 俺の思考回路が物騒に成り始めてるな……、取りあえずこれだけは書いておこう。

さようなら、俺の人としてのまともな思考回路。

 さて、俺は次に何とお別れすることになるのかな~?



ν月*日

 今日1日のまとめ。夏は死ね! 氏ねじゃなくて、死ね!
 ……よし落ち着こう俺。いきなり上記の様なまとめを書きたくなるほど、今日という夏の1日に殺意が湧いた経緯を冒頭の様にはしょり過ぎずにクールダウンして書いていこう。

 今日は何時も通りに登校し、いつも通りに授業が終わり帰宅した。そう、いつも通りに授業があったのだ、夏の授業であるプールも当然の様に時間割に組み込まれて居やがったよ! もう殺意がヒシヒシと湧きまくったわ、だってクラスメイトとかが屋外プールで泳いでいる時に、俺はそれを黙って見学してたんだぞ? しかも今年最高気温である猛暑日の中でただ1人外で見学していたのに、プールで涼んでる姿を見せられてなんとも思わない筈がない。
 見学仲間すらいなかった俺の怒りはそんな訳で夏の暑さに向かった、と言う訳だ。

 まぁ、その腹いせに思いっきり幼女達の水着を見る事にしたのだが、残念ながら幼女の水着は正直見てもつまらなかったので途中でやめることにした。はぁ……、あと10年過ぎていれば見学も天国になっていたんだがな……。
 それから特にやることもなく、汗だくになりながらも殺意を出してひたすらに見学に徹していたのだが、自由時間になってからなのちゃんたちが手招きしていたので行ったら、3人が足元に水を掛けてくれた。もうね、癒されて今までの辛さなんか吹き飛んだ、やはり持つべきものは友達だよな……。だが夏…テメェは一切許さん、改めて言う、夏の猛暑は死ね! 俺個人としては、経済効果で潤うよりも人間の熱中症の解決が優先だからな!



ν月¥日

 夏は死ね、とか書いた日から3日、相変わらず最高気温の記録を更新しそうな猛暑日が続くとか、夏は俺の怒りの叫びに対してムカついからこんな仕打ちをしているのか? そこん所どうなんでしょう……、そうだったんなら謝るんでこの猛暑をどうにかして下さい、お願いします!!
 
 よし、謝罪タイムを終えたことなので今日のことを書き記すとしよう。今日のマスターとの鍛錬……と言っても殆んどが勉強みたいなものだが、いつも通りに行われた。だが今日の鍛錬は実質のところはマスターが入院時の見舞いに来た時に宣言した通りに誘拐時の反省会みたいな内容が9割を占めており、実技訓練は怪我をしているので行われなかった。
 訓練は最初に誘拐時の俺の行いについての反省だった。誘拐時の戦いは救出戦を前提として考え、戦力差から奇襲を行った上の電撃戦が最善の選択だ。ここまでは良いが、次に相手の制圧の仕方の反省が始まった。

 最初にあーちゃんを襲おうとした下種男の制圧方法だが、これはマスターから90点を貰えた。露出した男性の急所を狙うのも良かったし、喉を潰して援軍を呼べない様にしたのも良い判断で最後に援護されない様に気絶させたのも良かったと言われたが、ただし両目は男の場合は潰す必要が無かったと言われた。
 男の急所は一般人が本気で攻撃しても、痛みで意識を朦朧とさせる事ができるので気絶させるまでの間なら射撃を意識する必要はなかったらしい。ただし女だった場合は股間の弱点を飛び道具だと狙いずらいので、両目を潰すのが正解のため90点だそうだ。だが根本的な話になるけど、女だったら襲撃なんかしなかったんだよね……。

 次に2人目の制圧は40点と低評価だった。足を蹴り転ばせてから顔面を蹴る、この判断は良かったが手が空いているのだから3人目に石を投げつけた方が好手だったらしい。そして手に風穴を空けた事だが、この判断自体も気絶が確認できない中では良かったものの、やはり1アクションは3人目の攻撃の一手を入れてから行うべきだったと言われた。
 そしてあたり前だが、3人目の制圧は2人目の制圧の評価から分かるように10点と最低評価だった。ちなみにこの10点は、撃たれた俺が下手な恐怖を持たずに拳銃を構えた男を制圧した上で、その後に全員を制圧したことに楽観視せず状況を冷静に判断して隠れたことに対する評価らしい。ただし、マスターから厳重にお叱りは受けた。まぁ……、相手の拳銃がシングルアクションだったとか、運の要素が絡んだ部分があったから当たり前なんだがな。

 マスターとの反省が終了してから、マスターに今回の事件に御神流やマスターから師事して貰った現代兵器の技術が殆んど役だってないことが指摘された。全く役に立たなかった訳でもないのだが、銃刀法の法律がある日本で武器を常時持ち歩く訳にもいかないからある程度は仕方がないことなのだ。だが、いざという時に学んだことが生きないのはかなり痛いモノがある。御神も体術はあるけど剣術が基本だしな……。
 物体転送系の転路呪語コードは作っておくべきかな、やっぱり……。



ν月ω日

 現実は非情だ。そんなことは分かっていた筈なのに、きっと俺は全てを理解していなかったんだ……、だから無駄と分かっていつつも俺はあんな意味のない事をしてしまったんだ。
 ……まだ猛暑日が続いているんですけど、いい加減にどうにかならないですかねぇぇぇぇ!? と言うか今年の夏はどれだけ暑いんだよ、気温の四十度台突破が三日以上続いたせいで海鳴がテレビのニュースにピックアップされてたんだけど。
 そして今更だが、この前の俺は何を考えていたんだ……。夏に謝罪したって猛暑が下がる訳がないに……。改めて言おう、夏の猛暑は死ね! 風呂に自由に入ることの出来ない、全ての人間の叫びだぁぁぁぁ!!
 
 よし、書いたら落ち着いた。風呂ももうすぐ解禁なるし、季節にキレても仕方がないんだからもう日記に怒りの叫びは書かないぞ。
 さて、今日は終業式だった。明日から夏休みだぜと浮かれていたが、その夏休みが訪れる前に最大の難関を越えなければいけなかった。終業式って単語からお察しの通り、殺人説法こうちょうせんせいのおはなしだ。ルビが逆なんじゃないのか、という突っ込みは受けつけません。アレはもう、『こうちょうせんせいのおはなし』という皮を被った政府公認の殺人兵器なのですよ。
 今回の被害はマジで洒落にならなかった。今年の猛暑と相まって、いつもの1.5倍という尋常ではない被害者が生まれてしまった。だがばたばたと次々に倒れる生徒を見て、首になるかもしれないのにリスクを省みず、途中で話を中断させた子供思いの教頭先生には是非とも今度花束を贈りたい。最後まで行われていたら確実に小等部の生徒は全滅していた……、それだけ今年はヤバかったのだ。頼むからは校長はいい加減に自重してくれ……、2時間はガチでやばい。

 そして終業式恒例の成績見せタイムは相変わらず、いつも通りだったので以下省略。帰り道で夏休み中になのちゃんは俺の元に国語の宿題を持って来るように釘を指しておいた。去年は宿題が本当にヤバかったのだ、俺のじゃなくてなのちゃんのが。
 自分以外の夏休みの宿題でひやひやするのは、金輪際御免なので、なのちゃんには都合が良い日はできるだけ毎日俺のところで国語の宿題をして貰うことにしよう。うん、幼馴染みだからできる特権はフル活用させてもらう。例えなのちゃんが「うにゃぁぁぁ!!」と猫みたいな悲鳴を上げようがね。

 そういや今年の夏休みは当麻が海鳴に来る予定になっていたな……。あーちゃんとすずちゃんにも当麻のことを明日にでも話しておくか。


小説家になろう 勝手にランキング


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。