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小学生編(前期)
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∮月∨日

 遅れてやってきた……と言うか消え失せてもう来ないであろうと思っていた、思わぬゴロゴロウィークに現在ヒャッハー状況であります。だがしかし、病室から余り抜け出せないので激しく暇であった1日でもある。
 取りあえずそんな暇な一日の日記を書き記そうと思う。

 今日は起床してすぐに、看護師さんから外科の診察時間を何時にするかを聞かれた。何でも昨日の夜勤の先生が外科の先生ではないので怪我の様子を外科の先生に改めて診察して貰い、入院期間を決める為の診察をする必要があったらしい。
 昨日の帰り際に母さんが午前中に入院に必要な着替えとかを持って来ると言っていたので、母さんが立ち会った方が良いとのことなので午前の診療時間終了ギリギリの12時半に予約を入れて貰って置いた。
 
 それから朝食が運ばれて、朝から味気のない病院食を食うことになった。食事の感想としては、美味しくはないが不味くもない、実に健康的な食物バランスが取られた食事だったがコレが3食1週間続くとなるとゴロゴロできるのに早くも帰りたくなって来るから不思議だ。不味くはなく特に不満と言う訳でもないんだがな……。

 朝食を食べ終えて大体2、3時間が過ぎた10時くらいに妹を背負った母さんが面会に来た。土産と言わんばかりに、2週間分はある入院中の用の着替えを持ってきて。
 着替えを持って来すぎじゃないかと言ったら、入院期間が分かってないのにこの蒸し暑い6月の梅雨の中を何回もかさばる荷物を持って家を往復したくないからと言われた。だがもう少し自重して欲しかった……、主に着替えの置き場所的に考えて。

 その後に母さんに入院期間を決める診察が入っていることを言って一緒に来てくれるようにと伝えておいた。
 リニスとポコたんが来れないのは仕方ないとして、何故かその2人に混ざって来ていない父さんはどうしたのかを母さんに聞いたら、翠屋を桃子さんに任せた士郎さんと一緒にデビットさんからの迎えと思われる黒塗りリムジンに乗りこんで嬉々としてどっかに出かけたらしい。いや……、家のバカ親父に限らず何やってんの親父どもは? 母さんは何処に行っているかは知っているが、まぁ行きたくなっても仕方ないと思うからという理由で許可したらしい。
 前から思っていたが、母さんって何だかんだで父さんに甘い気がする。エロゲを視界に入れるとその場で制裁は食らわせるけど何だかんだで処分しないしな……。代わりに新しいエロゲを見つけたら制裁と言う名の処刑だけど。

 俺は診察までの時間に母さんから千円を貰ってテレビカードを買いに行ってから、部屋のテレビで暴れん坊将軍を見ていた。
 松平健が演じる吉宗TUEEEを見てから、水戸黄門と同じく絶対にこんな悪党だらけの江戸時代には住みたくないな~と母さんと幽霊ちゃんの3人で話した。ほぼ、話数=悪党の数と言えるし、水戸黄門の農民達の苦しめられ方が現代社会の不景気の比じゃないとか本当に半端なく嫌な世界だ。

 診察は結構簡単に終わり、入院期間は1週間になった。長すぎないかと思ったが、慣れない内に片腕が動かせない状況で日常生活を送るのは難しいのでそのためには妥当だとか。俺の場合は肩に負担を掛けない為に反対側の肩で腕を吊るしているので、肘から下しか腕を動かせないのも起因しているらしい。まぁ、鉛中毒の可能性とかはないのでそこら辺りは安心して言いそうな。
 ただし、退院してもしばらくは風呂に入浴するのを禁止されて、プールは完治まで絶対に入るなと言われた。夏に入浴とプール禁止ってなんて拷問だよ……。

 診察終了後、母さんは妹と共にまた明日来ると言って1週間分の着替えだけを置いて帰宅。
 俺は昼飯を幽霊ちゃんとまったり話ながら食べていたのだが、このタイミングで看護師さんが来たらかなりヤバかったと思う。主に精神科行きとかそっち方面で。
 飯が食べ終わった後は暇だったので幽霊ちゃんと雑談していた。幽霊ちゃんはその後に気になる事があるからと病院探索に行ったのだが今でも帰って来ていない。学校探索の時で懲りたんじゃなかったのか……。まぁ、あの時とは違って俺の場所を幽霊ちゃんは知っているし問題ないとは思うがな。

 ぼけーっと過ごしていたら、見舞いになのちゃんとあーちゃんとすずちゃんが参上して、学校からのプリントを届けに来てくれた。先ずは1週間で退院できると3人に教えて置いたら心底安心したような顔をされた。そんな3人の顔を見てから暇で困ってると言ったら、じゃあ明日から毎日来るとか言いおった。別にそういう意味で言ったんではないけれども来てくれるのならばありがたい。

 それはともかくとして、昨日のなのちゃん様子が気になったのでさり気なく気にかけていたら、少しだけ眠そうな顔をして若干だが疲れている様だった。昨日が昨日なので、もしかしたら誘拐された時の事を思い出して眠れなかったのかもしれなので話題には出さないで置いた。
 何時もの解散時間の4時になってから3人は帰ったが、やはりというか、なのちゃんが大丈夫か気になるな……。俺の気にし過ぎだったら良いんだけど……。

P.S 1日のまとめを書き終えた今頃になって幽霊ちゃんが帰って来た。何をしていたかを聞いたら、親切な人達と知り合って話をしていたらしい。
 とっても優しい女の人とお爺さんなので今度俺にも紹介してくれるとの事。今世は女性の知り合いばかりなので、男性の知り合いが増えるのは素直に嬉しいモノがあるのだが、なんか肝心な事を忘れている気がしてならない……。思い出せないけど、まぁ良いか。



∮月*日

 病院の談話室って言うのは実に多種多様な本が揃っていることを今日知った。余りにも暇だったので病室から抜け出して談話室にあった地獄先生ぬ~べ~を読んで今日は過ごしていた。
 最初は少年漫画のホラーなんて怖くないだろとたかを括っていたところに6巻を読んだら最後の話でトラウマになった。あの見開きは幾らなんでも反則だと思う。しかも8巻の子守り幽霊も怖すぎるし、暇つぶしなのに読むのを挫折しかけた……。そして俺に取り憑いている幽霊が幽霊ちゃんで本当に良かったと、ここまで思った事はないだろう。

 その後も読み続けたが、寄生虫と27巻の後ろ三話もガチでトラウマレベルです、本当にありがとうございます。ぬ~べ~は面白いんだけど、小学生が読むとトラウマ製造機だな……ゴーレムの話も小学生は高い確率でトラウマになっちまうよ。
 それからもぬ~べ~を読んで紫の鏡とかテケテケとか口裂け女とか懐かしのを思い出して昔は怖かったな~と感傷に浸っていたのだが、隣の幽霊ちゃんが俺の読んでいるぬ~べ~を覗き込んで怖がっているのを見て感傷が吹き飛んでしまった。幽霊が化生の類を怖がるって……、まぁ良いんだけどね。

 取りあえず、コレから暇な時は談話室の本を読む事にした。そして母さんが妹を連れて今日も見舞いに来てくれたのだが、肝心の昨日は用事で見舞いに来れなかった父さんは、今日はどうやら母さんに埋められて来れなかったらしい。ナースさんマジ天使とか言ったばかりに庭に埋められた様だ。何と言う馬鹿親父……。
 そんな理由で今日も父さんは見舞いには来なかったのだが、それはともかくとして幽霊ちゃんは今日も“親切な人達”に会いに行ったらしい。いや、その親切な人達って本当に誰なんだろう……?



ν月μ日

 月が変わった今日、本当に世の中って知らなくても良い事ってあるものだと身を持って体験することになった。

 今日は午前中に見舞いがなく俺が余りにも暇そうにしていたらしので幽霊ちゃんが“親切な人達”に紹介してくれたのだが、当たり前なんだんが幽霊ちゃんが見えるのは霊感がある人間か幽霊な訳で今回の幽霊ちゃんが言う“親切な人達”は後者である幽霊の方だったのだ。ここまでは良い、俺も日常(笑)の住民なのだから幽霊が今更1人や2人増えようが、OK把握したで終わる。
 だけどね、そんな俺でも投身自殺したと思われる頭が割れて脳味噌剥き出しで目玉が飛び出した女の人の幽霊と、首に紐を括りつけて顔を真っ青にさせたお爺さんの幽霊とかもうアウトです。グロには耐性あるけど、明らかに死んでいるとしか思えない外見の人間が半透明だけどリアルで動いているとか怖すぎるんだよ……。
 しかも部屋に入って来た時は扉からじゃなくて、天井と床から這い出て来るように現れるとかマジでホラー過ぎる、気絶するかと思ったもん……。

 そしてしばらくして俺の恐怖が収まってから、同じ幽霊なのに幽霊ちゃんとの外見にここまで差があるのか気になったので、幽霊ちゃんと幽霊のお2人に訊いてみた。
 話を聞くと幽霊ちゃんも昔は死んだ時の姿でいたらしい。だが死後五十年ぐらい経ってから未練は残ったものの、自分の死を受け止める事ができてからは生前の姿に戻ったらしい。様は死んだ時の姿の幽霊は自分の死を受け止めて居ないのが殆んどで、俺が見ていないエキストラさんに囚われていた幽霊の中にはそんな死んだ時の姿をした幽霊も居たらしい。
 ただ生前の姿をした幽霊が居るのはものすごく稀で、殆んどの幽霊は自分の死そのものが未練なので受け入れた場合は成仏してしまうからだそうだ。

 つまりは幽霊ちゃんも昔は釜茹でされて死んだ時の姿だったのか。そして幽霊ちゃんは分かっていた事だが、あの幽霊お2人の先輩と言うことか……。外見年齢は幽霊ちゃんが一番年下だったんだけど、幽霊は外見年齢じゃ分からないもんな。
 幽霊ちゃんは見た目は16、7だけど200年以上は幽霊をやってるて言ってたもんな。うん、言い方は悪いがロリババァ何だよな幽霊ちゃん……。その割には幽霊ちゃんの言動が外見年齢以下の時もあるんだが、それは俺も一緒か……、前世と合せた年齢が40目の前の人間がやることとは思えない事をする時があるしな……。

 結局のところは俺も幽霊ちゃんも似た者同士なのだろう、成仏できない理由なんかまさしく似た者同士だ。話してみればグロテスクな見た目に反して良い人だった、幽霊お2人は昼には恐らく自分が死んだ場所と思われるところに帰って行った。できれば今度来る時はちゃんと部屋から入って来て欲しい……。

P.S 消灯時間になったが、こっそりテレビを見ていたら幽霊お2人が床と天井から急に出てきて吃驚して死ぬかと思った。余りにもいきなりだったので何でこんなことをしたのか幽霊お2人に訊くと、幽霊ちゃんに頼まれてやったと白状してくれた。
 矛先を黒幕の幽霊ちゃんに変えて問いただすと、俺が消灯時間を過ぎてもテレビを見ているから頼んだと自白した。たしかに消灯時間は守ってさっさと寝ろと幽霊ちゃんは毎日言ってたけど、消灯時間って眠りやすいように電気を消す時間であって、全員が眠る為の時間ではないいんだから問題ないんだろと口答えをしたところ、「夜勤の看護師さんの大変さも少しは考えてあげなきゃダメです!」と叱られてしまった。

 幽霊お2人も夜勤の看護師さんは眠気との格闘で大変なんだと、幽霊ちゃんを援護射撃するので俺は何も言えなくなった。だが消灯時間になってもテレビを点けているの俺だけじゃないから、俺だけ脅かすのは理不尽じゃないかと訴えたらそれもそうだと言ってから、幽霊お2人は扉からどっかに行ってしまった。
 ベッドに付いている蛍光灯を点けて追伸を書いている俺だが、隣で幽霊ちゃんが睨み始めたのでもう寝る事にしよう。……退院まであと2日の我慢だ。



ν月√日

 今日は退院日。つまりはあの不味いとも、美味しいとも言えない病院食から脱出したんだぜ! これを喜ばないで居られるわけがないんだぜ!
 ……よし、嬉しいんだけど、このままのノリでいくと文が支離滅裂に成りそうだから、落ち着こうか、俺。

 昨日の内に退院の準備は終えて居たので、退院は案外あっさりと終わった。父さんが入院費用を払って1週間ぶりに病院の外に出たのだが、帰り際に何処かで会った気がする車イスに乗った女の子とすれ違った気がしたが、何処で会ったか思い出せない上に車イスの知り合いは俺の中では心当たりがなかったので声はかけなかった。それに向こうは俺に気付いた感じはなかったし、俺の気のせいだったと思う。

 退院した今日は平日だったが、学校は明日から行くとして今日は1日自宅待機して、幽霊ちゃんは俺から1日中離れて久々の我が家を満喫していた。自宅待機は暇だったけど、久しく遊んでなかった妹の遊び相手をしたりポコたんと感動の再会をして、それなりに久々の我が家は楽しくもあった、だが何より風呂に入りたかったな。退院時に後2、3日はシャワーすら浴びるなとか言われて、本当に拷問だよ……。濡れタオルで体を拭いても良いと言われているのがせめてもの救いか……。

 そして昼飯は1週間ぶりに母さんが作った美味い飯を食べれて、思わず泣きそうになってしまった。別に大げさに言っている訳じゃないんだけど、微妙に味の薄い病院食よりやっぱり食べ慣れた家庭の味の方が俺としては良い訳なんだよ。と言う訳で1週間ぶりに母さんが作った飯を食べれただけでも俺としては最高の 1日とも言える。けれどそれだけじゃくなくて、俺のおやつにと買って来てあったチョコレートを食べれて、もう俺の気分は一気にヘブンになったね!

チョコレート最高! カカオちゃん愛してる!

 それはともかく、夕方に一旦家に帰ってから私服に着替えたなのちゃんが家に来た。この前は様子が変だったため心配だったので俺の部屋に入れてさり気なく様子を探っていたが、特におかしいところはなく何時も通りのなのちゃんだったので安心していたら、しばらく俺の顔を見つめたかと思ったら、不意に涙を零し始めて驚くはめになった。
 なのちゃん自身は泣いていた事に気づいていなかったらしく、俺が指摘してから慌てて服の裾で顔の涙をぬぐってから笑顔で、「おかえり」と言ってくれた。不思議なことに父さんや母さんにも既に言われて居た筈なのに、そのなのちゃんの一言で家に帰ってきた気がするだから、幼馴染み歴=年齢はすごいと思う。ある意味でなのちゃんも俺の中では家族なんだな……。

 その後、何で泣いていたかは聞けない内になのちゃんは帰ってしまった。それからなのちゃんと入れ違うようにリニスが帰宅して、久々に見る晩飯の準備をする光景で、家に帰ってたんだと安心できた。一家全員揃うのは本当に良いもんだ。

 さて、また明日から何時通りの俺の日常(笑)を再開しますか。


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