∮月∮日
今年も梅雨入りして、雨がうっとおしくなり始めた今日この頃。
毎年の如く梅雨入りの時は陰鬱な気分になるのだが、その梅雨入りの時の陰鬱な気分が吹き飛ぶくらいに嬉しい出来事があった。妹が俺のことを「にぃちゃ」と呼んだのだ!
ちなみに「にぃちゃ」は妹が初めて発した単語だ。喜びのあまりに涙とか鼻血とかを垂れ流してしまいそうになったが、なんとか堪えて妹を抱きしめた。
なんか妹の成長が激しく嬉しいのだが、もしかしたら世話をしている内に精神年齢から子供の成長を見守る父親の心境に近いものになっているのかもしれない。本当に思考回路がオッサンだ……、俺……。
妹が俺のことをにぃちゃと呼んでくれたことが嬉しかったので、俺と同じく時々妹の世話をしてくれたしてくれるなのちゃんに、妹が単語を話したことを報せに高町家に行ってから、なのちゃんと一緒に家に帰ってきたら、鼻血を垂れ流して倒れている父さんが母さんに引き摺られていく光景が見られた。
その場に居なかったので分からないが、恐らくは、妹の可愛さにやられてしまい、出血多量に陥ったのだろう。倒れた時の父さんの心情を容易に想像できた……。
なのちゃんは妹がにぃちゃと俺が呼ばれていることが羨ましいらしく、俺の方をいいな~的な目でみていたら妹がなのちゃんの方を見てしばらく、あ~とか、う~とか言ってからなのちゃんのことをねぇちゃと呼んだ。
なのちゃんは感激したらしく、半分涙目になり妹の頭を撫でてから、直ぐにハッとして何かに気が付いたらしく「私がお姉ちゃんっていうことは、つまりはしーちゃんのお兄ちゃんであるえい君とは……」と、いった感じで、何を考えていたかは知らないが、恐らくは、なのちゃんが考えていたのであろうことが言葉となって俺に筒抜けになっていた。
そのことをなのちゃんに教えてあげようとしたら、熟れた林檎のように、顔を真っ赤にしたなのちゃんが俺の方にがばっと振り向いたかと思ったら「恥ずかしいから、こっち見ないで!」と言われてグーパンを食らわされました。
いや……、俺はなんでグーパンされたんだ? 俺に知られると恥ずかしいことでも、なのちゃんは考えていたのだろうか?
まぁ、考えてもいつものようにどうせ分からず仕舞いだろうから、考えるのは止めておこうと思う。
∮月⊃日
妹がかわい過ぎる為、学校についてから、妹が単語を喋ったことをあーちゃんとすずちゃんに話して自慢した。我ながら、既に重度の部類に入るシスコンだと思う。
俺のことをにぃちゃと呼んだことや、なのちゃんのことをねぇちゃと呼んだことを話すと、あーちゃんがやたらと危機感を抱いた顔をしたのだが、何に対して危機感を抱いたのかがいまひとつ分からない。
困惑したのですずちゃんに、どうしてあーちゃんが危機感を抱いた顔をしているのか聞いたところ、「分かるんだけど、今回ばかりは危機感をなぜ抱く必要があるのか分からない……」と、理解できないモノを見る目で呆然とあーちゃんを見ていたすずちゃんは印象的だった。
放課後は我が家に集合して、いつものメンバーで妹と遊ぶことになった。理由は、妹自慢していたら、あーちゃんが唐突に「じゃあ、衛の家に行ってその自慢の妹と遊びましょうよ」と、言い出したので、俺の家で遊ぶことになった。
主にやったことといえば、妹がポコたんと戯れている様子を観察したり、妹のガラガラで妹の遊び相手をしたりといった、およそ小学生がやることとは思えないことを地味に第一次解散時間の四時までやっていたりしたのだが、今思うと四人でやることではなかった気がする……。
妹の遊び相手はポコたんで務まっていたしな……。
帰り際に妹は、自宅が遠いため早期帰宅をするあーちゃんとすずちゃんに手を振りながら「ねぇちゃ、バイバイ」と、別れを済ませたらあーちゃんはやたらと嬉しそうな顔をしてから妹に笑顔で手を振り返してから家に帰っていった。しかし、あーちゃんの考えることは本当に最後まで分からずじまいだった。
P.S なんかなのちゃんが、妹があーちゃんとすずちゃんに対して「ねぇちゃ」と言った辺りから、激しくテンパっていた。
なぜテンパっいるのかを聞いても、涙目で「あぅあぅ」と呻いてから「えい君がハレームになっちゃた……」とか訳のわからないことを言い出した。とりあえず、なのちゃんの想像力が激しく豊かであることだけは辛うじて理解することは出来た。
おっさんは、なのちゃんの将来が激しく心配です。
∮月Υ日
単刀直入に書こう。拳銃で左肩を撃たれて入院しました。
バドゥーン……早速さようなら、俺の今よりは平穏だった日常。
さて、現実逃避は程ほどにして日記を書いていこうと思う。拳銃で撃たれたにも関わらずポジティブ思考ができている自分に吃驚しているが、まぁ、普段が普段なので慣れの一言で済ませてしまえる環境にも改めて吃驚だ。
なぜ俺が拳銃で撃たれたかと言うと、現代兵器の訓練をしてくれているマスターはまったく関係はなく、ぶっちゃけた話が頭に血が上って誘拐犯に後先を考えずに喧嘩を売ったからだったりする。
ただし、その誘拐犯達は頭に血が上った俺が加減できずに半殺しまでに追い込んでしまったらしい。我ながらとんでもないことをしたものだと思う……。
喧嘩を売った経緯だが、なのちゃんとあーちゃんが帰りの道で、俺の目の前で誘拐されたのが理由の一つ目の原因だ。余りにもいきなり過ぎたので頭が事態に追い付けず、我に返った時にはなのちゃんとあーちゃんが車の中に入れられて車のドアが閉められて既に車は走り始めていた。
事態を理解した時には、無駄とは分かりつつも必死に車を追い掛けだが、結局は引き離された。だが車のメーカと色と種類が分かったので、後ろから俺を追ってきたすずちゃんに車の詳細を教えてから、警察に連絡するように頼んで俺は車を探しに行くことにした。
警察への連絡を頼んだのは保護者に連絡は行くし、大体の高確率で昼寝かエロゲをしているであろう、父さんが動き出せば誘拐犯程度なら何人居ようが殲滅程度なら容易いと踏んだからでもある。
あーちゃんだけなら士郎さん達も動けるかもしれないが、巻き添えとしても俺とすずちゃんをスルーしてなのちゃんだけを巻き込んだ理由が分からなかったので、もしかしたらなのちゃん自身にも誘拐をする価値があったのかもしれないと俺は考えた。
そして、なのちゃんとあーちゃんを連れ去った車を探しながら、少しでも早く動いて貰いたかったので父さんに電話してなのちゃんとあーちゃんを探すのを手伝って貰うように頼んでから電話を切ろうとしたが、何時になく真剣な声の父さんが「お前は家に帰って大人しくしてろ!」と電話の向こう側で父さんが叫ぶ声が聞こえたが、俺はそれを無視して電話を切り、ついでに電話を掛けられると場所によっては拙いので携帯電話の電源を切った。
二時間ほど海鳴中を探し回って、ようやく誘拐犯が根城にしている町はずれにある廃ビルを見つけることが出来た。ビルの周りを哨戒していると思われる、足にホルスターをとりつけて拳銃を装備した男たちが居たことと、誘拐された時に使用された車と同種のものがあったので確定できた。
俺は携帯の電源を入れて父さんに誘拐犯の根城を見つけたことを報告してから、なのちゃんとあーちゃんの安否確認してくるといってから、再び電源を切った。
電話を切る際に電話の向こう側から、父さんの怒鳴り声が混ざった静止の声が聞こえた。そして、今まで黙って俺に憑いてきたくれた幽霊ちゃんにも流石に危ないから止めろと言われたが、自分の危険よりも俺にとっては目の前に居ながら攫われたなのちゃんとあーちゃんに対して責任を感じていたし、安否に関してもとても気がになって仕方がなかった。
それに正直な話をすれば男複数に小学生の女の子が二人だと、最悪の可能性の一つとして殺害されなくても凌辱される可能性も考えられたので、幽霊ちゃんにその事を話したら渋々だがなんとか納得して貰えた。
それから、手頃な石を十個ほど飛針代わりにポケットの中に入れて、ビルの周りを哨戒していた男達の目を盗み見て、ビルの内部に潜入することができた。ビルの内部を一階から順当に探して行ったが、特にビル内部に見張りなどは存在せずあっさりとなのちゃんとあーちゃんがいる部屋まで辿り着けたが、やはりと言うか部屋の中で二人を監視する男が三人ほどいた。
とにかく先ずは中の様子を知る必要があり、静観していても問題がないのであれば俺は警察が来るまで動かないつもりでいた。
部屋の中をこっそりと覗き込むとなのちゃんとあーちゃんは手を背中にやられて縛られており、その時は知らなかったがクロロホルムを吸わされていたらしく、ぐったりした様子の二人が確認できた。
男の一人が他の二人と何やら話をしており話し終えてから、何をするのかと思ったらあーちゃんの前に行きズボンのベルトを外し始め、何をするのか理解した瞬間には俺は既にぶち切れてズボンを脱いでいた男の股間に石を思い切り投げつけて、続いて男の両目を潰すための石を立て続けに投げつけて、悲鳴を上げられて外で見回りをやっている男達に来られても困るので、喉を潰すための石も最後に投げつけた。
男が痛みにもがいている時には、既に俺は痛みでもがいている男の懐に入り、男を俺の全力を込めた右腕の薙ぎ払いで払い飛ばした。
肉塊が壁に思い切り叩きつけられたような音が部屋に響いたが音の発信源の方は確認はせずに、俺は次の男を無力化することに取りかかっていた。
一番近くにいた、もう一人の男の元に俺は行き、全力の蹴りを足に食らわせたら男の足からボキッと足の骨が折れる音が響き足の骨を折った男が倒れたので、目の前に来た顔面を思い切り蹴飛ばしてから、念のために拳銃が撃てないようにするため、俺は石を顔面を蹴飛ばした男の両手に投げつけて両手に石をめり込ませ拳銃を握れないようにしてから、最後の男を無力化しようとしたが近くに居たあーちゃんに銃口を向けられて手を出すことができなかった。
男に石を捨てるように指示されてから、両手を頭に組んでから背中を男の方に向けるように言われ、あーちゃんが撃たれるのは嫌なので、俺は男の言われた通りに石を捨てから、頭に手を組んでから背中を向けようと思ったらなのちゃんが俺の方へと向かってきたのだ。
たぶんだが、クロロホルムを吸わされたせいでおきた、頭痛とか吐き気でまともに状況を理解できていなかったのかもしれない。
だが状況が最悪過ぎた。なのちゃんが逃亡するとでも思ったのか、男は銃口をあーちゃんから、なのちゃんの方へと向けたのだ。拙いと思って、後先考えずに俺はなのちゃんの元に生き、肩でなちゃんを突き飛ばしてなのちゃんへ向かう凶弾は防げたが代わりに俺が食らってしまった。
当たり前だが目茶苦茶痛く、一瞬、意識が霞みかけたが意識を失う訳にはいかないので何とか痛みを食いしばって意識を保った。
男を無力化させるために、もう一発弾丸を食らう覚悟はしていたのだが、運が良いことに男が持っていた拳銃は回転式のシングルアクション式のニューナンブM60だったので撃鉄を起こす僅かな時間で男の元に行き、拳銃を持っていた方の腕をへし折ってから右胸を思い切り殴ったら、血を吐き出しながら男は壁にぶつかって意識を失わせたので少しだけ状況が良くなったことに安堵することができた。
だがしかし、発砲音を聞きつけて外を哨戒していた男が駆けつけてくるかも知れなかったので、零れた血で後をつけられない様に制服の袖を破って傷口を縛り止血して、俺はなのちゃんとあーちゃんを担いで上階に行き隠れた。
しばらくしてから、下から悲鳴が聞こえたので幽霊ちゃんに様子見を頼んで、戻ったきた幽霊ちゃんに状況を聞いたら、きょー兄さんとみゆ姉さんが誘拐犯達を殲滅したらしいので二人を背負って俺は階下に行くことにした。
俺を見つけた二人は肩の怪我を見て、慌てた顔で119番に電話していた。
俺が無鉄砲に突っ込んだ理由は、ズボンを半脱ぎ状態で股間を潰された男を見て把握したらしい。だからなのか、突っ込んだことに関しては二人からは何も言われなかった。
病院に着いてから弾丸の摘出を終えた病室で高町家とバニングス家の両夫婦から礼を言われたが、遅れてやってきた父さんからは拳骨を食らわされて、母さんからはアイアンクローを食らわされた。怪我人の息子に対しての行いが理不尽だ……。
父さんがなぜ来るのが遅れたのか気になって聞くと、父さんの代わりに母さんが教えてくれたが、誘拐犯に援助していた輩を探し出してからボコして警察に突き出してきたかららしい。なんでボコしたりしたのかを聞いてみたら、「俺の息子に怪我を負わせた奴をタダで警察に突き出す理由がないからな」と父さんに言われた。
父さんにそれは死亡フラグだと茶化したら「なんで死亡フラグなんだよ!」とキレたが、実のところは俺の照れ隠しだったりする。
うん、普段がアレな分だけ俺の為に憤りを感じていたくれたことにうれしかったりしたのだ。……アレ、俺ってツンデレだっけ?
父さんと母さんが帰った後に体調を治して、医者から帰宅の許可を貰ったなのちゃんとあーちゃんが病院から帰る前に俺に礼を言って来た。二人とも元気がなく、なのちゃんに至っては顔色が真っ青だった。
とりあえず、俺の雄姿を聞いたツンデレがデレたということですね、分かりますと茶化したら「誰がツンデレよ!」といつものあーちゃんの調子に戻ったので良かった。
なのちゃんも苦笑していたが、やはり何時もの調子に戻っていなかったので、余り俺が怪我をしたことに関しては気にするなと言っておいた。なのちゃんは頷いて笑顔を見せてくれたが、やはり少し気になりもした。だけど俺にはどうしようもないので、気にかけるくらいはしておこうと思う。
それはともかくとして、明日から数日の入院生活が始まるわけだが、話し相手も幽霊ちゃんしか居ないので激しく暇になる……。さてと、明日からの暇つぶしはどうしたものか……。
P.S ちなみに俺が半殺しにした男達は、最初に襲った順に、声帯の損傷と両目の失目と背骨の骨折と局部の去勢、左足の骨折と眼底骨折と鼻の骨の骨折と両手の平に風穴、右手の骨折と肋骨三本の骨折と肺が少し破れたせいでの一時的な心肺停止。
とりあえず、幾ら誘拐犯とはいえ半殺しにしてしまった後者の二人には謝罪したい気分だ。眼底骨折と心肺停止に関しては、俺も頭に血が上り突っ込んだが、死にたくない上になのちゃんとあーちゃんを助けたいために必死だったからとはいえ……、いや、頭に血が上って突っ込んだからこそ本当に謝りたい。つうか、惨状を知った時は罪悪感からなのか、胸が気持ち悪くなったぞ、特に一時的な心肺停止を聞いた時だ。
だが、あーちゃんに手を出そうとした、ぺド野郎だけは一番酷い状態だが自業自得なので知らん。ロリコンはまだ許されるが、ぺドは犯罪者だからな。
そう言えば、今気がついたが、みゆ姉さんのことを日記に書くのが入学式以来だ……。影が薄くて気が付かなかった……。
みゆ姉さん、すいませんでした……。
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