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小学生編(前期)
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∬月〒日

 新学期開始。今日から俺も小学二年生になったわけだが、正直な話、前世から数えた実年齢が四十近い俺としては、小学一年生が二年生になってもあまり変わった気がしなかった。
 だが、そんな俺とは違って純粋な少女のなのちゃん達は後輩が出来たことに喜んでいたりしてたので、端からみていたら微笑ましい限りだった。

 久し振りに聞いたからなのか去年は懐かしく感じたが、今は陰鬱にしかならない校長の長話(凶器)を聞きながら入学してきた一年生達に同情しつつ乗り越えて、二階の今年の教室に移動。
 ちなみにクラス替えは奇数の学年への進級時だけ行われるため、クラスはそのままで学年だけが変わった。

 そして当たり前の如く、間違えて前のクラスに行ったと思われるクラスメイト達が数人ほど慌てて教室に入ってくる光景も見ることが出来た。
 その中には、なのちゃんとあーちゃんが入っていて、部屋を間違えた恥ずかしさからか真っ赤な顔をして教室に入ってきた姿は可愛かったと書いておこう。

 今日は新学期の挨拶で解散し、なのちゃん達と喋りながら帰宅した。話の内容は今年のゴールデンウィークをどう過ごすかであった。
 取りあえず気が早いんじゃないかと意見を出しておいたが、女の子は三人ともそんなこと聞く耳持たん状態で話を継続。
 仕方がないので、ゴールデンウィークはゴロゴロして過ごすのがいいんじゃないかと意見したら何時ものオヤジ思考は止めろとグーパンを食らわされた。そう思ったのなら話を振らないで欲しいと思う……。

 女の子三人で話し合った結果、家族全員で温泉旅館に泊まり掛けに行こうぜと言う結論になった。
 ちなみに決定した旅館は動物同伴と温泉への入浴も可能と言う日本全土を見渡してもかなり貴重な旅館だった為、ポコたんとリニスも連れていくことが可能であった。
 取りあえず、家に帰ってから父さん達にゴールデンウィークの予定について話してみたところ行くのは大丈夫だそうだ。リニスもマスターに頼んだらバイトシフトは空けられるので大丈夫とのこと。

 取りあえず今年のゴールデンウィークの予定は定まってしまったようだ。さようなら、俺のゴロゴロウィーク。

P.S 幽霊ちゃんが何か寂しそうにしていたので声を掛けたら拗ねていた。何で拗ねてるのかと思ったら、唯一ゴールデンウィークの旅館に行くのに声を掛けられなかったのにいじけていたらしい。

 んなこと聞かなくても俺が行くなら取り憑いてる幽霊ちゃんは自然と一緒に行く形に成るんだから聞く必要ないじゃんと言ったら、「一人だけお留守番しとけって意味じゃなかったんですか?」と言ってきたので、家族なんだから仲間外れにする様なことはする訳ないだろうと言っておいた。

 そしたら幽霊ちゃんは少し固まりしばらくすると、やたらと機嫌が良くなっていた。
 いったい何が幽霊ちゃんの中であったんだろう?



∬月÷日

 さて、今日はかなりデンジャラスな一日だった。何しろマスターの元で午後から訓練したから当然だ。

 マスターは日曜に猫萌え天国を休みにして居るので、父さんに連れられてマスターの自宅へ向かうことになった。
 マスターの自宅は以外にも“外装だけは”大きめだが普通の一回立ての和式住宅で、中は普通の家にも関わらず、すずちゃんの家にも負けず劣らない猫屋敷だった。

 猫達はぐたーと、猫萌え天国同様に寛いでおり教育されているのか庭で寝ていた猫達は庭の外に出ようとする様子も泣く猫も居なかった。
 取りあえず、父さんが玄関のイターホンを鳴らしたら出てきたのは髪が腰辺り迄ある、身長百四十半ばの、ぱっと見た感じは小学六年生くらいの女の人だった。
 最初はマスターの娘さんかと思っていたが、父さんのことを君づけで呼んだりしたり、父さんの「出たな……、合法ロリータ!」と言い、ややひきつった顔をしながら発した言葉からマスターの奥さんじゃないかと予想したら、自己紹介されて見事にビンゴだった。

 まさか、ここまで見事な合法ロリータが存在するとは思わなかったので驚いていたが、更に父さんとは幼馴染みでもあるらしい。マスターとは父さん経由で知り合い結婚したとのこと。
 ちなみにお約束の如く家は隣同士で高校を出るまでは同じ学校に通っていた生粋の幼馴染みだったと言う。
 父さんに俺のことリア充なんて言えねぇじゃないかと言ったが、「好き勝手に振り回された挙げ句に、宿題写させてくれって毎晩の如く俺の部屋に不法侵入して来てた幼馴染みが居ることの何処がリア充だ!」と言い返された。
 俺もグーパンとかが似た様なもので何処がリア充だ!と言い返したいが父さんなら何かしらの因縁をつけそうなので学習する俺は黙っておいた。

 マスターの奥さんに連れられてマスターの部屋に到着すると、まず真っ先に部屋に溢れる猫グッズが目に入ってきた。
 そして猫グッズが溢れる部屋の中央で猫を抱いて、にゃんこ大好きと刺繍されたジャケットを春の室内にも関わらず着ているマスターが居た。

 にゃんこ大好きジャケットはスルーすることにして、マスターに挨拶してから銃の訓練場に行くことに。
 父さんも一緒に付いて行こうとしたが、笑顔のマスターの奥さんに引き摺られて助けを求めながら居間に連行れされていった。マスター曰く、何時ものことなのでほっといても構わないのだと。

 取りあえず、マスターから先ずは改めて教わることを一から整理して教えて貰った。
 先ずは現代兵器の訓練。これは現代兵器と総じているが、コンバットナイフから重火器に手榴弾等の爆弾、対戦車ロケットランチャーであるRPG7に軍用ヘリコプターに搭載されるガトリング砲である機関銃(M134)等の制圧射撃用の武器まで、とにかく学園都市製以外の兵器の知識を叩き込むとのこと。
 因みにM134は総重量百キロ越えだが、俺の母さん譲りの怪力ならバラせば持ち運びが可能なので組み立ても叩き込むとのこと。…激しく鬱だ……。

 他にもビルごと敵を殲滅するのに役立つ発破解体技術とか極地に放り込まれた時に生きていけるようにするためのサバイバル技術とか、変なクセがつくかもしれないので士郎さんと話し合って鍛練時期を決めて中国拳法全般を基本において柔術とか関節技も叩き込むとか、聞いただけで死ねる……。
 だが、発破解体技術の習得だけはマシなのだろう。何しろ勉強すればそれだけで済むのだから、他に比べれば大分マシに思える。

 とにかく、マスターに連れられた訓練所はマスター宅の地下に設けられていたので、どうやってこんなのを作ったのかを訊いたら父さんに手伝って貰ったらしい。それだけで、ものすごく納得できる俺は今更だがマトモな感覚がぶっ飛んでいると思う。

 基本的な銃の扱いを教わってから渡されたのはアメリカ軍の軍用拳銃に採用されているベレッタM92Fだった。
 銃刀法違犯って言葉を知っているかと訊いたら銃刀所持の許可を国から貰っているから問題ないと返答されたので何も言わない事にした。

 教えられた通りに9mmパラべラム弾を15発詰め込んだマガジンを装填してから銃の安全装置(セーフティー)を外して、マスターに後ろから姿勢などを文字通り手取り足取り教えて貰ってから、最初の一発はマスターに標準を合わせて貰い、ついでに引き金も一緒に引いて貰ってターゲット撃ち抜いた。
 その後、今度は一人でマガジンに装填されていた残りの全弾でターゲットを撃ち抜いてからマスターに感想を聞かれたので、思ったよりも発砲した時の反動がなかった事と人を殺せる鉄の塊を持っていると思うと一キログラムに満たない筈なのに本来の重量よりも重く感じると答えた。

 マスターは銃が人を殺せる道具であることを認識して持っている事は良いことだと言ってから、訓練所の一角にそびえる武器倉庫と思われる場所からM92Fより一回り以上もでかく倍以上の重量を持つデザートイーグルを渡してきた。
 しかもデザートイーグルの中でも最強と言われているAE50でした。

 取りあえず、さっきと同じ様に撃ってみろと言われたので女性や子供が撃ったら肩が外れるんじゃないのかと聞き返したら、それは誇張なので射撃体勢にさえ気を付ければ女性でも撃てるから気にするなと言い返された。
 女性に対しての言及はあったけど子供に対しての言及がないってことは子供は撃てないんじゃないかと思わなくもなかったが、どうせ言ってもどちらにしろ撃つハメになりそうなので黙って撃つことにした。
 さっきよりも銃撃音も反動も凄かったが軽く受け止められる様な反動だとマスターに言ったらそうかと言ってデザートイーグルを回収した。

 最後にM92Fを投げ渡されたので取り落とさない様に握ったら、銃身をマスターの手で掴まれて銃口をマスターの体の方に向けたまま固定されてしまった。その時マスターにどう思っているか聞かれたので、間違って撃ち殺して仕舞うんじゃないかと思うと心臓に悪いと答えた。

 マスターは「そうか」と呟いてからさっき使いきって弾切れにしたのだから安心しろと言ってから銃身から手を離した。
 よく考えればマスターが投げ渡したM92Fは俺がターゲットを撃ち抜いた銃だったので弾がなくて当たり前だった。
 最後にマスターから「コレからは今抱いた人として当たり前の“人間を殺すかもしれない恐怖心”を抑えて、自衛のためとは言え人間を殺す方法を学ぶということを覚えておけ。そして、もしも人間を殺す様な事があっても人間を殺すことに慣れることにはなるな。人間を殺すことに慣れて、何の感情も抱けなくなったら“ソレ”は人とは言えないくなるからな」と大切なことを言われて初日の訓練は終了した。

 訓練所から帰ろうとしたら、視界の端の方で幽霊ちゃんがへなへなと腰を抜かして座り込んでいた光景が見えて、その時に始めて幽霊ちゃんが俺とマスターのやり取りに吃驚していたことに気が付いた。
 最近、幽霊ちゃんが黙って俺に取り憑いてる時とかもあるから空気になってるのも当たり前だから腰を抜かしていても気が付かなかったぜ……。

P.S 家でも知識を得る様にとマスターから手作り現代兵器辞典を貰ってマスター宅を出た、帰りの車の中で父さんの口から魂が飛び出ていた。

 話し掛けても放って置いてくれと言うだけだった。帰ってから母さんに確認したところ、マスターの奥さんは父さんを無自覚で精神ダメージを与えられる父さんの天敵と言える存在らしい。
 やはり思うのだが、父さんの周りの人間は個性の強い人間ばかりだ……。合法ロリータで父さんに精神ダメージを与えれる人って凄すぎる。



∬月∧日

 妹が初めて掴まり立ちをして、一気にひとり立ちも出来るようになった……! 一生懸命、壁に掴まって俺の方へ向かってくる姿など鼻血噴出ものなのだろう。主に父さんが鼻血を噴き出して倒れた姿を見て考察した辺りで判断すればそうなるのだ。

 俺も父さん程ではないが妹の可愛さに俺も悶絶してしまい、将来シスコンになってしまう未来が見えてきた気がする。
 将来の義弟が婿に来るときは父さんの壁がめちゃくちゃ高いと思うので、援護することを誓いながら壁に掴まって俺の元にやってきた妹を抱っこして頭を撫でた。

 取りあえず、その後になのちゃんにも妹が掴まり立ちをしたことを報告して、一緒に妹を観て名前を呼んだりしたら壁から手を離し歩き始めて「クララが立った…クララが立ったよ!!」な感動が我が家に訪れた。
 つうか、妹の学習速度が早すぎる。掴み立ちしてから二、三時間で普通に歩き始めるって……。
 俺にとってのオアシスでもお前もやはり我が家の住人なんだな妹よ……。まぁ可愛いから良いけどね。

 我が家の住人は例外なく魔窟に相応しい人間であることを確認した一日だった。



∬月√日

 現代魔術の研究対象が決定した。題材は現代魔術の転路呪語(コード)をプログラムへ変換することで階差導機(サーバー)以外の機械や端末等への現代魔術のハッキング。これの利点は現代魔術師ならウォールなどをぶち抜いて好き勝手にデータコピー以外のハッキング行為が行える点だ。

 ちなみに思い付いたのは月村宅に、今日遊びに行った時に忍さんが自室でプログラミングをしてゲーム作っている光景を見て閃いた。
 基礎理論の骨組みは速攻で出来たが結構な量の穴がまだ有りそうだったので、遊びそっちのっけで現代魔術の存在を知っている忍さんと部屋に篭って討論していたら二時間後に討論が終わり部屋から出たら、なのちゃんとあーちゃんから鼻血が出るほどに強力なグーパンをいただきました。
 すずちゃんはその光景を見てため息を吐いてから正座するように俺に言って、一時間程レディーの扱いと言うものに対しての講義をされた。

 取りあえず現代魔術の話に戻すが、先ず必要なことはハッキングする対象を解析する転路呪語(コード)を作り上げることが一つ。
 そしてその解析する転路呪語(コード)からハッキングする対象の現代魔術のハッキング経路を確保して、更に階差導機(サーバー)に存在する転路呪語(コード)をハッキング対象に応じたプログラムに変換する転路呪語(コード)を作り上げる事が一つ。
 そして最後に上記に挙げた二つの転路呪語(コード)を同時に二つ行えるようにすること。前の二つは多分なんとかなるが最後のだけは鬼畜並みの難易度だ。
 現代魔術の並行処理は父さんクラスの現代魔術師だとできるがそれでも最初の現代魔術の発動から二、三十秒のタイムラグが生じるらしい。

 取りあえず、当面はこの問題が一番の壁だと思う。さて……、久し振りに面白い課題にぶつかったから、昔の血がみなぎってきた。

 明日から前世よりはマシ程度に研究に没頭するか。学校とか鍛練とか色々スケジュールが濃いしな。


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