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小学生編(前期)
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◯月#日

 運動会も終わったので、今日の合同練習から本格的に聖祥祭の出し物舞台に向けてバンドの練習を開始した。
 体育館でやる予定の曲はエ〇ヤの独自アレンジを加えたものである。

 当たり前だがFateが発売されていない為エミ◯の楽譜があるわけではなく、そもそもまだ作曲されているのかすら怪しい時だが、前世でのあのイメージの強い曲は耳に残っていた為夏休みを丸々使い、作曲の練習がてらに父さんの力も借りてみんなでなんとか作り上げた曲だ。

 だが、やはりそこは素人なのと原曲もないせいで、エ〇ヤの二割も再現出来ず時間も二分もないくらいで、エミ〇を原型にした別の曲になってしまったがそこは仕方がないと思う。 そもそも、曲を作った当初は曲を公衆の面前で演奏する予定はなかったのだが、やることになった以上は本番に頑張って演奏をするだけだ。

 練習時になのちゃんが発声練習しているので、何をしているのか訊いてみたところ、逆に歌詞は出来てるのかと聞き返された。
 出し物のバンドの原曲はエ〇ヤなので当然歌詞など作っておらず、何のことか分からなかったので首を傾げたら作詞の担当は俺じゃなかったのか、と見当違いのことを聞かれた。
 確かにそうだけど、そもそも今年はボーカルはいらないバンドをやるんだから、作ってなくても問題なくないか、と言ったらなのちゃんは呆然とした後に「紛らわしのー!」と叫んでグーパンを食らわせてきやがった……。

 どうやらなのちゃんは、出し物舞台で歌うものだとばかり思っていたらしい。いや、俺は確かにあの時、初舞台も決まりみんなそれぞれの楽器に余裕が出来たからついでに、ボーカルも決めようって流れだったはず何だが……。まぁ、紛らわしいっちゃ紛らわしがな。

 「私の努力は無駄だったの……」と床に両手を着いて項垂れていたが、来年の出し物舞台でバンドのボーカルをする時には無駄にならないから大丈夫だ、と慰めて置いた。

P.S 今日、父さんがなのちゃん達を見る目が、獲物を見る獰猛な肉食動物の様な目に見えた。
 そして、手元に置いてあるスケッチブックとなのちゃん達を見比べてから笑いはじめ「俺の創作意欲は完璧だ―!!」と叫び、スケッチブックをしまったので激しく不気味だ。

何をするつもりなんだ……。



◯月〇日

 三ヵ月近く、マスターのインパクトのヤバさから忌避してきた猫萌え天国に久しぶりに行ってきた。
 理由は簡単。リニスが昨日さりげなく呟やいた、マスターが会いたがってますよの言葉が俺には眉間に銃口を突き付けられて脅された様な気分になったからだ。

 なのちゃん達も塾でバンドの練習は無かったので店に来店したら出迎えたのはリニスで営業スマイルでいらっしゃいませ~と言った後に喫茶店のカウンター席に連れていかれた。
 取りあえず注文はチョコレートパフェにしたら、カウンターの奥からマスターがチョコレートパフェと頼んでいないオマケの紅茶を持ってきてくれた。
 俺の隣にいた幽霊ちゃんは、最初マスターの巨漢ぶりに驚いて怯えたがしばらくすると慣れて何時も通りになった。
 ちなみに幽霊ちゃんは断じてマスターの格好に怯えたのではなく、マスター巨漢ぶりに怯えたのだ。念のために書いておこうと思う。

 マスターに仕事は良いのか訊いたら今日は猫を連れたお客さん居ないので、猫の料理を担当しているマスターは忙しくないので多少の雑談は問題ないらしい。
 ちなみに人間の食べる料理を作っているのはマスターの奥さんらしい。奥さんが居たんだと意外に思った俺は悪くないと思う。

 マスターとそれとない事を話してから暫くして、マスターは俺の現代魔術の進行状況はどうか聞いてきた。
 現代魔術を知っていた事に驚いたが父さんと戦場で知り合ったと言っていたから知っていたのだろうと思い納得し、何でそんなことを聞くのかを聞き返したら、父さんの持つ現代魔術理論を教えられるだけ教えて貰い終わったら、マスターの元で現代兵器と武術関連の事を師事して貰う事になっているのだそうだ。初耳過ぎて、俺、呆然。

 帰宅後に、最近部屋に篭って何かしている父さんと親子喧嘩をしたのは言うまでもないが、マスターに何でそんな事になっているのかを訊いたら父さんが親バカなんだろうと訳の分からない事を言ったので首を傾げることになった。

 今度から二週間に一回、猫萌え天国には行くとしようと思う。その内師弟関係に成るのなら今のうちに慣れておかなければ成らないだろうからな……。

P.S 食事時にマスターの奥さんがどんな人か父さんとリニスに訊いたところ合法ロリータと返ってきた。

 合法ロリータと言うと見た目は母さんより若い中学生くらいに見えるのだろうか?
 流石に見た目小学生な大人なんて居ないだろうしな……、マスターの性癖がロリコンだとヤバイので念のためになのちゃん達を連れていくのは改めて止めようと思った。



◯月Ω日

 朝っぱらから父さんがハイテンションで最近、篭っていた部屋を飛び出したかと思ったら即刻なのちゃん達を家に呼ぶんだ!!と叫んで食卓に乗り込んできた。
 何を言っているか分からないと思うが、父さんの奇行の理由はしょうもない事が殆どなので、もしこの日記を読んでいる人が居るのならば、気にしなくて良いと思う。実際にしょうもない理由だった。

 取りあえず母さんが、父さんの顔面にスクリューパンチを入れて落ち着かせてから朝食を取り事情を聞いたら、なのちゃん達の舞台衣装が完成したらしい。
 例のゴシックでポップで萌え萌えでキュートな衣装だっけとか言ったら「ポップで、萌え萌えで、ゴシックで、キュートな衣装だ!訂正しろ!!」とか言ってきて、ムカついたので右ストレートを食らわせておいた。だって単語の順番と間を置いただけの差って言う、個人の変な拘りを押し付けられてムカつかない人は居ないと思う。

 当たり前だが、今日は学校が会ったので放課後に我が家で父さんの言うポップで、ゴシックで、萌え萌えで、キュートな衣装をなのちゃん達が試着したらサイズはピッタリだった。
 なのちゃん達は自分のサイズピッタリの服にどうやって作ったのか不思議がっていたが、父さんが作ったと言うとみんな納得してそれ以上の質問はしなかった。

 激しく今更だけど家の父さんって……。



◯月÷日

 最悪だ……。今日はバンドの本番だったがクラスメイト全員から変なあだ名を付けられて、激しく鬱だ……。

 出し物舞台は午後の始めに行われ、それまではなのちゃん達と聖祥祭を満喫していた。
 クラスの出し物を回って見たりしていると、カップルらしきペアもちらほらと存在していてかなり怨めしかった。
 一般参加者の男の人が俺の居る方向を見てワナワナ震え「あんな子供がリア充なのかよ…リア充爆発しろ」と言う呟きが聞こえたので後ろを見ると小学生カップルが居た。
 一般参加者の人には激しく同意する。一見エロゲ環境にいる様に見える俺だがイチャラブ何てないし、あるのなんてグーパンだけだなんだぞ? まぁ、イチャラブするつもりもないんだがな。
 公衆の面前でイチャイチャしているリア充は爆発すれば良いと思う。

 そして、昼飯を食い終わり本番前の準備に取り掛かっている時にあることに気付く。
 なのちゃん達は衣装を着て、俺は衣装を作って貰っていないので当然ながら制服でバンドをやるわけだが、俺だけ激しく浮いて居るのではないかと。

 当然ながら、激しく浮いて目立っていた。只でさえ、女三人の中に男一人の上に先生がクラスメイトを呼んだらしく、クラスではクラスメイトの面倒を見ている内に兄貴分扱いされる様になっていた俺はかなり注目を浴びていた。
 そして蛇足だが、なんか観客の中にブルーレイカメラを構えて妹を背負いポコたんを連れた父さんが混ざっていた。
 後で聞いた話なのだが、仕事とかで来れない母さん達に見せるために撮っていたらしい。

 ちなみにバンドは大成功で、再現率は低かったが原曲の良さもあってか、体育館全体の客はかなり盛り上がっていた。
 一日目の聖祥祭の終了後に教室に帰ってから先生が言ったことだが、聖祥祭が始まって以来あそこまで出し物舞台が盛り上がったの始めてらしい。

 成果が出たことに四人で歓んだのも束の間。誰が言い出したか、俺がクラスメイトの間では兄貴分扱いされていることと、今日の出し物舞台のバンドで唯一人、制服を着用してバンドをしたことを掛け合わせて制服兄貴と呼ばれるようになってしまった……。

何だよ…そのカッコ悪い兄貴は……。Fateのランサーを彷彿させる青タイツ兄貴の方が変態っぽいがまだカッコいいぞ…。

 幽霊ちゃんに苦笑されながら慰められたが、何か今日は色々疲れたのでもう寝よう。

明日には制服兄貴のあだ名が消えています様に。



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