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#月◎日
二学期開始でわ~い。
喜んでいたのは俺以外のクラスメイトと幽霊ちゃんで、俺はまた義務教育を過ごす日々が始まったか程度にしか思わないでいた。
そして、幽霊ちゃんなのだが、何故か俺に憑いて学校に着いてきた。
ただ、その幽霊ちゃんは学校に目を輝かせてから張り切って学校探索に行ったきり帰ってこないので、少し心配だがお腹が減ったら帰ってくると思うし放っておくことにしようと思う。
さて今日の事だが、クラスメイトとの挨拶は久しぶりだったが、なのちゃん達とは夏休み中は結構な頻度で会っていたし昨日に花火大会をしたばかりだったから、何時も通りにおはようで済んでしまった。
なんつうか……、こう言うとこで幼なじみで有ることを染々と感じた。
体育館に校長先生の話を訊きに行った時には既に、幽霊ちゃんは探索に行くと言って何処かに消えてしまっていた。
それはともかく、校長先生の話は相変わらずの凶器で終業式の日よりは暑さがマシだったお陰なのか、貧血を起こした生徒こそは居なかったものの俺自身は暑さで頭痛がするくらいにまではなった。
マジで、校長先生の長話を凶器認定する法律を作れよ。日本政府。
校長先生の長話も終了して教室に戻る時、生徒の大半の口から怪しい物体が出ていた気がするが気にせずにホームルームを終えていざ帰る時になって幽霊ちゃんが居なかったので、なのちゃん達に少し待って貰って探したが幽霊ちゃんは見つからなかった。
そして現在に至るのだが、当然母さんにも幽霊ちゃんが何処に行ったのかを訊かれたが学校探索に行ったきり帰って来ないとしか言えなかった。
しかし、考えてみれば腹減ったら帰ってくると言う考えは幽霊である幽霊ちゃんには当てはまらない事に今更だが気付いた。
いや……、帰りたくないから帰ってこないだけかもしれないけど、もしかしたら学校探索中に成仏したのかもしれない。
居候が居なくなって寂しいが本人も成仏したがっていたし、もしも成仏したのならそれで問題ないのだろう。
まぁ……、放置して置こうと思う。
P.S とんでもないことに気づいてしまった!
幽霊ちゃんの成仏条件は処女喪失……とか言う、いっけん幽霊には絶対に不可能な成仏条件。分かりやすく言えば〇〇〇〇をすることだ。
学校探索中に成仏してしまったのなら、つまりは……、幽霊相手に欲情し〇〇〇〇を行う事のできる変態、もしくは幽霊ちゃんと同じ男の幽霊がいるかもしれないのだ!!
不味い……、明日から学校はなのちゃん達に注意を払っておこう。幽霊だった場合はともかく、人間だったら不味い。実在したら、美少女とは言え幽霊に欲情する相手なのだ……。
幼女に欲情して襲い掛かっても可笑しくないからな。
#月⇔日
今日も幽霊ちゃんの音沙汰はなかった。日に日に変態実在説は濃くなっていき、俺は警戒を強めなくては成らなくなる一方だ。
そんな中バンドの初舞台にする場所が決まった。
十月末に行われる、聖祥祭だ。この聖祥祭は二日間だけ聖祥学園の中等部と高等部で行われ、初等部の生徒と大学部の学生は主に参加だけと言った形で、その間の授業と講義は休みとなる。
そして、初等部は聖祥祭の最中は体育館で出し物が行われるらしい。参加は初等部から大学部まで参加は自由で、出し物も勿論自由らしい。
ただし、飽くまでメインは中等部と高等部なので、こちらは盛り上がりには欠けるとらしい。
まぁ、初舞台には妥当かなと俺は思ったが、あーちゃんは「盛り上がりに欠けるなら盛り上げてやろうじゃないっ!!」と異常な程にやる気だった。
子供はスゲェ……。このテンションの高さはオッサンには無理だ。
初舞台も決まり、みんなそれぞれの楽器に余裕が出来始めたのでボーカル決めをしてなのちゃんに決まった。
ちなみに決定方法だが誰も立候補しなかったので、先ずドラムとキーボードである俺とすずちゃんがアイコンタクトでなのちゃんかあーちゃんがボーカルをする計画を練り、それに気付いたあーちゃんが計画に参加し、なのちゃんがボーカル(生け贄)となった。
ちなみに決定した方法はなのちゃん以外が立候補して、ボーカル権争いを演じて仲間外れに感じたなのちゃんが参加した所にどうぞどうぞと譲って決定した。
なのちゃんは「ひどいよっ!?」とか言ったが勝負(?)に卑怯も酷いも目潰しもないのだから恨まないで欲しい。
そう言えば最近、学園で怪談が流行り始めている。何でも始業式の次の日から誰かの名前を呼びながら泣いている声が学園の違う場所で、違う時間帯に聞こえると言う。
もしかしたら、もしかしたらかもしれないので明日から学園中を放課後に歩こうと思う。
#月☆日
今日、ようやく幽霊ちゃんを発見した……。
案の定、学園全体に広まっていた怪談の大元は幽霊ちゃんだった様だ。
今日もなのちゃん達には先に帰って貰い、初等部を重点的に探した。
中等部とか高等部に行った時はかなり奇異の目で見られたので、昨日からは初等部しか探していなかった。
そもそも、幽霊ちゃんは学園中をさ迷っているらしいので、あっちこち探したら入れ違いに成るかもしれないため一ヵ所に集中して探した方が良かったのだ。
三時間程探し、上級生も殆ど帰り静まり返った放課後の理科室でようやく泣いている幽霊ちゃんを見つけることが出来た。
幽霊ちゃんは俺を見た瞬間、俺の名前を叫びながらぎゅうぎゅうと抱きついてきたので、頭を撫でておいた。しかし、幽霊ちゃんを触ることは出来るのに人間の感触を感じないから不思議な感じだ……。
幽霊ちゃんは泣きながら、一人で知らない場所の探索には二度と行かないとわんわん泣きまくっていたので独りぼっちで相当寂しかったのだろう。
人が居るって言っても誰も見えないし、むしろ恐がられて避けられたんだから独りぼっちも同然だったんだろう。
成仏してなかったのなら、変態存在説も消えて家の居候も戻ってきたしでめでたしめでたしだ。
P.S ……いつの間にか幽霊ちゃんに取り憑かれていることに不満を感じていない、俺が居ることに気がついた。
慣れって怖いな……。もしも父さん以外の宇宙人が同居してもしばらくすると違和感を感じなくなってしまう気がする俺自身の適応力も怖い……。
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