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小学生編(前期)
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Ψ月∫日

 宿題も終わり、夏休みは残り一ヶ月程となったが余裕のある俺は、窓を開けて風通しを良くしたリビングで昼飯を食べ終えて一時間程経ってからポコたんとゴロゴロしていたのだが、何時の間にか家に居たなのちゃんのボディブレスが直撃し危うく昼飯がリバース仕掛けた…。
 悶絶して起き上がったら、少し頬を膨らませたなのちゃんにより足を捕まれて外に引き摺られていった。

 引き摺られていく俺を全員スルー。我が家の最後の良心であるリニスは、マスターの喫茶店にアルバイトに行っていて不在。
 息子が拉致られてるのに何で我が家の皆さんは全員スルーなんでしょうか?と疑問に思い、母さんに救難信号を出したら必要品その他諸々は詰めといたからと、ワケのわからないことを言ったかと思うと父さんは口パクでリア充氏ねと言ったので、俺は口パクで父さんのエロゲの隠し場所を母さんにチクった。すぐに父さんの顔色が青くなり母さんの怒りの引き金が引かれ惨劇が始まる。
 ククッ……、良い気味だったな……。途中までしか父さんの悲鳴を聞くことが出来なかったのが残念ではあったが……。

 さて、なのちゃんに引き摺り出された先である我が家の門の前に停まっていたのはフェラーリの高級車であるフェラーリ・612スカリエッティだった。
 そして開けられたその後部座席にはあーちゃんとすずちゃんが座っていた。もうね、黒塗りリムジンとかが時々家の前に停まってたりするから慣れてしまって、見覚えのないフェラーリの高級車が家の前で停まってる程度じゃ驚かなくなってしまたよ。さようなら、俺の人としてのマトモな感性。

 車の運転手はファリンさんで、当たり前だが格好はメイド服だったので、運転席でバリバリ運転する姿はかなり違和感があった。
 だが、そんなことよりも俺が気になったのは、俺はコレから何処に連れ去られるのかであり、隣の席にいたなのちゃんに訊いてみたら、そりゃもう素晴らしく綺麗な俺の顔面直撃コースのグーパンをプレゼントされました。
 最近、なのちゃんのグーパンの腕が素晴らしくなっている気がする。いや……、食らう側の俺としてはたまったものじゃないからMに目覚めた訳ではないのだが……、むしろMっ気があるのはなのちゃんの方だし。

 なのちゃんは夏休みの最初の日に話した筈だとプンプン怒る。そんなこと話したっけ?と疑問に思ったがよくよく考えればその日、なのちゃんが話をしている最中にポコたんを抱いて、扇風機の前で宇宙人ごっこをしていた記憶があるので聞こえなかったのだろう。
 恐らくはその日、俺と一緒にいた父さんがリビングで訊いていて母さんに話を伝えたのだろう、父さんは珍しくナイスな事をしてくれたので家に帰ったら礼を言っておこうと思う。

 車に揺られて三時間程で目的の旅行場所である田舎町に着いた。
 ちなみに到着したら何故かきょーにいさんとすずちゃんのお姉さんだと紹介された巨乳ロングヘアーの忍さんと、その専属メイドでファリンさんのお姉さんであるノエルさんがいた。なのちゃんとすずちゃんの話ではなんでもきょーにいさんと忍さんは同級生なんだと。

 俺、呆然。でも俺以外はどうやら知っていたようだ。人の話をちゃんと聞くって大事な事ですよね~。今度から気を付けて置こう。ただ、それはともかく俺の中でのきょーにいさんはリア充からとうとうエロゲ主人公にまで昇格した。だって美人の同級生なんてエロゲでもない限りそうそう居ないだろうが!

 アレ…? 書いてから気づいたけど、そうだったらなのちゃん達がいる俺も…………。

 と、とにかく……着いたら夕方だったので、今日は宿泊先に向かい特に遊びには出掛けなかった。ちなみに部屋割りは俺となのちゃんとあーちゃんとすずちゃんが同室で、今現在なのちゃん達が露天風呂に入っている間に書いている為今日はこの辺りで切り上げる。今日から三泊四日の旅行が平和で終わります様に…。

P.S 何故かこの日記帳が母さんの用意した物の中に入っていた。狙い済ました様に二冊目だったがもしや内容が見られてしまったのだろうか? 少し不安に感じた。いろいろ本音をぶちまけているので、日記の内容が母さんに読まれていません様に……!



Ψ月★日

 朝起きたら、俺の首筋にすずちゃんが噛みついてチューチュー俺の血を吸っていた。俺が寝惚けているのかと思って頬をつねってみたが一向に目が覚める気配はなく、頬が痛かっただけなので現実だとようやく認識する。
 このままだと、この時はまだ寝ていたなのちゃんとあーちゃんにグーパンを食らわせられるかもしれないと思って、すずちゃんを揺すって起こしたら現状を見た瞬間、顔を一気に真っ青にして泣きそうな顔になったので戸惑ってしまった。

 何か若干俺に対して、怯えていたので俺の首筋に噛み付いたのを見なかったこと、体験しなかった事にしようかと訊いたら首を横に振ってから部屋の外に連れ出され、向かったのは宿の人すら居ない早朝の中庭だった。

 そこですずちゃんから何で俺の首筋に噛み付いて血を吸っていたのかを聞いた。
 夜の一族。詳しい説明を略すなら異能の様な能力や人間離れしたと力と再生能力に人間の数倍の寿命を持つ吸血鬼なんだと。
 それを聞いた時、前世で化学に専攻する前は生物学だったせいか恐怖なんかよりも瞬間的なモノだったが真っ先に俺はすずちゃんに対して研究対象としての興味を抱いてしまった。
 友達に対して研究対象としての興味を抱いたことに自己嫌悪し、少し自分の頬を叩いてからすずちゃんの方に向き直り俺の正直な気持ちを伝えてみた。

 ハッキリ言って俺はすずちゃんの事を化け物とは思わない、と言うか思えなかった。そう言ったらすずちゃんには否定されたが根拠はあった。

 マズは吸血に関してだが、コレは血を飲むことを欲したり好むようになる嗜血症の人が世に数万人規模で居ることを知っているので余り何とも思わなかった。それに吸血する理由である血中鉄分の不足が、夜の一族が人間の亜進化系もしくは突然変異で有ることを感じさせていた。
 むしろすずちゃんが説明してくれた異能の様な能力や人間離れした力と再生能力と長い寿命の代償が血中鉄分の不足と繁殖能力の低さで有るなら納得はいく。以上のことから考えると吸血鬼と言うよりは吸血種の方が正しい気がする。

 夜の一族は人間が亜進化、もしくは突然変異した種族なんだと自分で納得したのだから恐怖などない。と言うか抱いたら俺の家はどんだけ恐怖の魔窟になるんだって話だ。まぁ、ある程度の耐性が有ったから至った考えなのだろうが俺のすずちゃんに対する考えはこんな感じだった。
 すずちゃんは俺の友達で夜の一族だってことはその事に関係はない。知ったのは友達になった後だったが、夜の一族だからってすずちゃんと距離を置こうとは微塵も思わなかった。

 そう言ったらすずちゃんは少し泣きそうだけど嬉しそうな顔をしてから一族の掟にある誓いを立ててくれと言ったので、すずちゃんと生涯友達で有り続けることを誓ってから部屋に戻った。戻ったら俺がすずちゃんと二人して居なかった事を起きたあとに気付いたなのちゃんとあーちゃんに滅茶苦茶怒られてから朝食に向かった。

 今日の予定は森林浴だった。海鳴も自然がそれなりに多いが、この田舎町は海鳴よりも自然が多いしここの川は海鳴よりも上流に位置する川だった為、海鳴にある川よりも綺麗で水はとても澄んでいた。
 途中から森林浴は川遊びに変わりなのちゃん達が遊んでいる時、保護者組は河原で三人が遊んでいる様を微笑ましく見ていた。勿論、俺も保護者じゃないが保護者組の方に居た。と言うか川遊びは精神年齢おっさんの俺には辛いのだ、河原で涼んでいる方が余程充実している様に俺には思えていた。

 途中、きょーにいさんがトイレに行くために抜けた為、月村家の保護者組と相対する形になった。まぁ、当然の如くすずちゃんは忍さんに夜の一族の事がバレたのを話していた為、俺にその事に対してどう思っているのかを訊いてきた。

 すずちゃんに対して言ったのと変わらない事を言ってから、すずちゃんには言わなかった家が魔窟なのだから耐性が出来ていることを付け足すと、忍さんの顔が引きつっているのが見て取れた。すずちゃんから我が家ではスケキヨタワーがほぼ日常的に建築されるのを聞いていたのだろう。
 俺としても夜の一族より母さんによってスケキヨタワーにされて居るにも関わらず無傷でピンピンしている父さんの方が未知の存在の上に得体が知れなさすぎる。夜の一族の方がどんな存在かわかってる分、大分マシだ。

 ただ、今回の旅行を企画した忍さんに一つだけ気になった事が有ったので、その事を訊いてみた。何故俺達を誘ったかだ。何て言うか、女性経験があまりない俺でも泊まりの旅行に女性が男性を誘うのは恋愛的な好意がなければしようとなんて思わないと思う。
 ましてや忍さんはきょーにいさんが高校になってからの同級生で、幼少時からの付き合いがあった訳でもないので余計にそう思った。
 つうか高校で知り合った男女が他のクラスメイトも誘わないで泊まり掛けで旅行ってのは、もう普通は好意があるとしか考えられない。

 そんな訳で、俺達はオジャマ虫になっているんじゃないかと思って訊いた。忍さんは質問の中にある俺の疑問を察したようで、二人きりで行くのは無理だったからと答えた。
 その後逆に俺が忍さんに質問を訊かれ、きょーにいさんの好みのタイプを質問された。だが、まぁ……、きょーにいさんは本当に男なのか疑問に思うほど、女性に対してがっつかないので答えられなかった。そもそもタイプの女性自体が存在しないんじゃないかと思ったので、そう言ったら今度は忍さんは参考までにと俺の好みを訊いてきた。

 俺は当然ながらポニテ巨乳で清楚で可愛いくて家庭的な娘と即答。ただしそれは理想なので家庭的で平均的な容姿で俺の事を好いているならそれで良いと答えると、現実主義者過ぎだと苦笑されたてしまった。残念ながら忍さんの参考にはならなかった様だったが、ふときょーにいさんの好みのタイプについて、逆転の発想をしてみて気付いた。
 好みのタイプがないなら、自分色に染め上げれば良いんじゃね?

 そのことを忍さんに話すと「それだわ!」と叫んでから滅茶苦茶感謝された。そして、早速ノエルさんにきょーにいさんを自分色に染め上げる計画を相談し始めて、そのまま少し離れた木陰の影に向かっていった。
 その後、トイレから帰ってきたきょーにいさんから忍さんの居場所を訊かれたが、知らないと答えて置いた。せいぜいきょーにいさんは忍さんに自分色に染め上げられて恋人にでも成ってしまえば良い。

 ……チクショウ、美人から色々アプローチを掛けられ様としてるなんて…………、羨ましくなんてないんだからなっ!!


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