∀月@日
七月だぜ、ヒャッハー! リニスの寝床もようやく完成して、朝起きたら目の前に美女が居るかもしれないと心配せずとも良くなった。まぁ…人間形態になったのは、リニスを初めて拾って寝た次の日だけだったがな。ただし、今年の梅雨入りは遅かったため、ジメジメした気候が七月の中頃まで続きそうなので、俺の気分は憂鬱だ……。
今日は、前々から働きたいと言っていたリニスがアルバイトの面接に行った。
と言っても、リニスは人間の戸籍を持っていない上に帽子を取ると猫耳があらわれるのでもしもバレても問題のない、父さんと知り合いの店のアルバイトの面接に行ったらしい。父さんと知り合いの店と聞いて心配になったので、学校サボってこっそりスネークをしようかと思ったら、使い魔と主人の感情リンクと言うやつでリニスにバレてあっさり却下されてしまった。
一応俺も、今までに父さんや母さんも散々言ってきた見たいに家事や妹の世話もしているのに態々アルバイトまでする必要はないと、リニスに食い下がったが「それだけじゃ申し訳ないので」の一言で軽く流されてしまった。
帰ったらリニスが母さんと晩飯を作っており、その後ろ姿を見て幸せそうににへらぁ~と笑い、幸せだぁ~と呟いた父さんは滅茶苦茶気持ち悪かった。実際、俺と同じくソファーで妹の世話をしていた、ポコたんも身震いしていた。
P.S リニスはアルバイトに即刻採用されたらしい。何のアルバイトを紹介したのか父さんに訊いた所、睡眠時間を削ってでも毎日行きたい場所と父さんが即答した瞬間に、母さんにボコボコにされて食卓が一瞬で惨劇の現場になった。
母さんにボコボコにされるって一体どんなアルバイトをリニス紹介したんだ……。リニスは機会があるなら、今度遊びに来ると良いと言って、店の場所を書いた地図を渡してくれた。一体何の店のアルバイトなんだ…?
∀月∇日
プールで歓ぶのは、子供だけだと俺は思う。けれども俺は精神年齢大人なのに、プールを入れると歓んでヒャッハーした。今日は授業でプールがあった、普段ならプールなんて入らなくても良いよって~思うが、梅雨の雨で延期になって二週間。
そろそろ梅雨も明け始める頃だが、まだジメジメはなくならなかったのでプールと聞いてテンションが上がった。何しろ気持ち悪い汗とか流せられるのだから、テンションが上がらない筈がない。さて、どこの学校のプールにも必ず設置されているであろう、異常に冷たい地獄のシャワーの洗礼を抜ければ屋外プールだった。
授業の方と言えば、俺は泳ぎは全くの問題はないどころか、むしろ小学一年生ではあり得ない程泳げるため、泳げない人を教えてやって欲しいと先生に頼まれてしまった。
と言っても実際に俺に教えて貰おうと思ったのは、なのちゃんとあーちゃんとすずちゃんの何時も一緒に行動する三人だけだったがな。
すずちゃんは運動神経が良いので早速、クロールの泳ぎ方を知りたがってたのでコツを教えたら、みるみる泳げるようになって特に問題はなかった。
次はあーちゃんだったが、物に捕まってれば浮くことは出来るが一人で浮くことが出来ないと言うので、手で浮きを作らせて俺の手に乗せてから絶対に放さないと言って、浮く練習を開始する。だか、やはり直ぐに力が入りすぎてあーちゃんは沈んでしまう。あーちゃん曰く、水が怖くてどうしても力が入ってしまうとのこと。
絶対に放さないって言った俺のことが信じられないかと訊いたら、何故か急に怒り始めて、グーパンを食らわされたぜ……。その後、「ムキになってやってやろうじゃないの」と言ってからのあーちゃんは、凄かった。
一発で今度は浮かんで、ばた足まで出来たので手をそっと離したら、前に進んでいきプールの縁に激突して頭をぶつけて沈み始めたので慌てて引き上げたら、引き上げたあーちゃんからグーパンを食らい何で放したのよ!?とキレられた。
まぁ、キレるのはごもっともだが、次のステップに進まないことには泳げないんだし、もう少しグーパンの威力を抑えて欲しかった……。
最後になのちゃんの練習をしたが、去年の夏にプールに行った時のなのちゃんは子供プールから一歩も動かないで居たので心配していたら、歩いて俺の方に向かってきただけで転んで溺れかけるなど、俺が考えていた、なのちゃんに対しての心配よりも遥かに上だった。
他にも、水に顔が浸けられなかったので朝に洗面所で顔を洗う要領で行けば良いと言ったら、水を手で救って顔を洗った時は呆然としてしまった。俺の言い方が悪かったので、プールの水面を顔を洗うときに手で救った水だと思ってやってごらんと言ったら水に顔を浸けれるようになり、なのちゃんは滅茶苦茶嬉しそうにしていた。
自由時間中は特に遊んだりはせずに、プカプカ浮いてプールの波に揺られるまま流れていたが、途中で泳ぎの練習をしていてあーちゃんが俺に激突した。そしてあーちゃんに、「おっさん臭いことをするくらいなら何か遊んだりしなさいよ」と言われた。
俺がやってたことっておっさん臭い……? プールの自由時間中にプールの流れに、流されるまま流される生徒って学年に一人は必ず居ると思うんだが……。精神年齢的な意味で自分の歳がおっさんと呼ばれる歳であることを自覚して、結構凹んだ日でした……。
∀月α日
今日はバニングス家で、初めての合同練習した。ドラムセットを父さんの車に乗せて貰い、なのちゃんとポコたんと一緒にバニングス家にGOした。
道中、なのちゃんからポコたんが何故居るのか訊かれた。何故ポコたんが着いてきたかと言うと、ポコたんが俺のドラムの練習をするのを見てバンドに興味を持ったらしく、練習の見学をしたいので着いてきたらしいことを伝えておいた。
らしい、と言うのは狸語が分からないので状況判断で答えを出したからだ。
さて、バニングス家の離れに到着しまず出迎えたのは、執事兼運転手の鮫島さんで父さんと親しそうに幾つか言葉を交わした後、本館の方に向かっていった。
離れの中に入るとあーちゃんとすずちゃんが居て、あーちゃんがこの前言っていた通り、演奏の練習をするには持ってこいの広さをしており早速、演奏練習の準備に取りかかった。
演奏するために練習してきた曲は『猫ふんじゃった』……、一人で練習している時は気づかなかったが、この曲はバンドには向かないのだ。更にはバンドを演奏した筈なのに、異常なまでに場のテンションが駄々下がりと言うオマケ付き。
楽器の練習をするには丁度良いかも知れないが、演奏の練習をするには余りにもアレ過ぎる曲だった。ただ、父さんが場のテンションの低さにアレ~おかしいな?と、呟いてたので今度から練習する為の曲の選曲は、自分達で決めようと固く誓った……。
演奏は違う曲の楽譜が無いため練習が無理と言うことで各自、自分の楽器の練習に入る。なのちゃんとあーちゃんは速弾きの練習、すずちゃんも両手でペースの速い曲を弾ける様に練習し、俺も速くドラムを打てるように練習を始めた。ポコたんは練習が終わるまでずっと見ており、父さんはなのちゃん達を見て幸せそうな顔をしていた為帰ってから母さんに報告しておいた。毎回恒例の処刑が下され家では週に四、五回は聞くことのできる父さんの絶叫が、今日も元気に響き渡った。
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