△月◇日
梅雨に入り雨がジトジト降りまくって、うっとおしい今日この頃。なのちゃんが国語の居残りを食らい、先に帰ってと言われたので久しぶりに一人で歩く学校から家の帰り道でにゃんこを拾った。
外傷は無かったのだが、かなり衰弱していて今にも死にそうだったので手を伸ばしたら、甘噛みされたのか威嚇で噛みついたのかは分からないが噛みつかれてちょこっと血が出たのだがそれだけだったのでスルー。
抱いてみたら雨で濡れて体温もかなり下がっていたので、付け焼き刃にしかならないがハンカチで体を拭いてからすこしでも体温が下がらないように制服の中に猫を入れて急いで家へと帰った。
家に帰ったら先ずは、猫をポコたんに暖かくするように頼んでから預けて、父さんを起こしに行った。
父さんの布団を剥いでから、「かわい子ちゃんが息絶え絶えで大変なんだ―」と棒読みで叫んだら、コンマ五秒で飛び起きた父さんが「美少女は何処だ―!」と叫んで辺りをキョロキョロしていた。
だが残念、かわい子ちゃんとは言ったが美少女とは一言も言っていないので、父さんのお目当ての美少女は探しても見付かる筈がない。
キョロキョロしていた父さんを捕まえて、スポイトか注射器の様な猫に上げるつもりの砂糖水を口の中に流し込むことが出来るようなモノがないか訊いてみたところ、「美少女は何処だ」と訊かれたので猫のところに案内して、かわい子ちゃんだと紹介しておいた。
父さん、呆然。
揺すって正気に戻してから猫に砂糖水を飲まされるモノがないかもう一度訊いてみたら、俺が赤子の頃に使っていた哺乳瓶があるからそれを取ってくると言った。
俺は水と砂糖を混ぜて砂糖水を作ってからリビングに持って行き、父さんが来るのをソファに座って猫を暖めていたポコたんの隣で、待機して待っていた。
しばらくすると父さんが哺乳瓶を捜して持ってきてくれたので、砂糖水を哺乳瓶の中に入れてから猫の口元に持っていき飲ませた。
チュパチュパチュパチュパ吸って、哺乳瓶に入っていた砂糖水の約三分の一を飲んでから砂糖水を飲まなくなったので、哺乳瓶を口から離してから死んでいないか胸部に耳を当ててから確認し終えて、バスタオルを敷いたダンボールの中に寝かせておいた。
猫を寝かせてからソファーに座ると、父さんがあの山猫を飼うのかと聞いてきた。父さんが言って始めて山猫だったのだと気付く俺。まぁ助けてから飼いたくないのでそこら辺で放すってのも拾っておいて無責任なので、拾った責任と言う奴から父さんの質問には頷く。
父さんはそうかと納得してから、だったら母さんを納得させなければなと珍しく父親らしいまともな事を言ったので、死亡フラグなのではないかと一瞬、思ってしまったではないか…。
だが、あっさり母さんも猫を飼うことを許可したし、何事もなく平和だった。さて、今日は温める為に猫を抱いて寝ることにしようと思う。
△月$日
朝起きたら猫耳と尻尾を生やした女性が俺の隣で寝ていたんだ……。何を言ってるか分からないと思うが、幻覚とか妄想とかちゃちなもんじゃねぇ! もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
と言う訳で、朝から元気に大絶叫。エロゲ主人公ならこういう時、紳士な対応が出来るのだろうが生憎と美人とは言え知らない女性が朝起きたら自分のベットで寝ていたなんて、現実的に考えればホラー以外の何でもない。
と言うか普通に恐いものだ。エロゲの主人公はこれに加えて、空から女の子が落っこちてきても警察に届けないで対応することが出来るのだから、頭のネジが数本吹き飛んでいるのか頭がイカれているとしか思えない。
ラピュタのパズーはマジで尊敬に値するよ…。自分が体験してみて初めて二次元の有り得なさを実感したな……。
さて、絶叫を聞いて真っ先に駆けつけたのは、同じく二階でゴロゴロしていたと言う父さんで、俺の現状を見た瞬間「エロゲ主人公死ねぇ―!」とヤクザキックを食らわせ様としてきたので、紙一重で避けてから全体重を掛けた踏みつけを父さんの鳩尾に食らわせて置く。
あと、「薄々勘づいては居たが、リア充を越えてエロゲ主人公になりやがって」って言うのはどういう意味だよ……、糞親父めぇ……。
そして猫耳美女が起床。どうやら、俺達同様状況がよくわっていなかったらしい。
しきりに辺りをキョロキョロして、明らかに戸惑っていた。
そして、気付いたのだが、昨日一緒に抱いて寝た筈の猫が見当たらない。代わりに居るのは猫耳美女……。と言うわけで猫耳を指先でつついてみたらピコピコと反応して動いたので、有り得ない事だが確信した。
昨日拾った、猫なのだと。
これ、何てエロゲ? と真っ先に思ったね……。だって偶々拾った猫が猫耳美女になるなんて、砂漠でダイヤを見つけられる確率の方が何百億倍も高い筈だ。そもそも普通、猫が美女になどなるものか! だからきっとこのエロゲの主人公は、きょーにいさん辺りだなと本気で考える位には軽く俺もパニクっていた。
俺がパニックなっている最中に、父さんは復活したらしく「ぬこ耳美女確保ー!」と叫んでベットに飛びかかったのだが、俺と父さんを起こしに来た母さんが父さんの足を掴んで部屋の外に投げ飛ばし、惨劇タイムに突入~。
昨日、父さんが建てた死亡フラグに間違いなどはなく、かつてない程の絶叫が我が家に響き渡った。
父さん以外の、我が家の住民はリビングに集合。妹に母乳を上げてから、母さんも推参し少しずつ状況を整理した。父さんはきっと、お星さまになって俺達を見守っているからなんの問題もない筈だ。
死亡フラグを建てても死なない、それが父さんクオリティーだからな。明日に顔を見せると思う。
かいつまんで話をすると、猫耳美女の名前はリニスと言い魔術師が使役する使い魔とは違う、動物の死体を媒介に魔法と言う、他世界で科学技術が超発展して生まれた技術で作り出し、魔力で使い魔の肉体を維持する主人を手助けする使い魔と言う存在なんだと。
そんなことは置いておいて、魔法って何さ? 科学技術が発展すると何で魔法なんて名前になるんだよ。
あと、人間が魔法を使うために必要な、リンガーハットだっけ? とか言う器官はないが、魔力だけなら魔力ランクSはあるとか言っていたが、強さをアルファベットでランク付けしてSのアルファベットを三つ一番上に持ってくるって中二病なの? ねぇ中二病なのかよ? 世界単位で中二病とか、その世界終わってんぞ…。二次元ならともかく現実の世界でSのアルファベット三つ付けてランクって……。Sがスペシャルで、SSがスーパースペシャルって知っててやってるのか?
SSSってスイートスーパースペシャル……、もしくはシークレットスーパースペシャルとかスパークスーパースペシャル……書いててゲシュタルト崩壊を起こしそうになったので書くのを止めようと思う。
あとSランクの元ネタは確か俺の記憶が正しければゲームの筈なんだが……、Sは自信はないがSSはそうだった筈だ。まぁ、他の世界の事なんか関わる訳じゃないからどうでも良いか。
話はリニスの事になるが、どうやら前の主人と交わした契約が果たして、魔力を置くってもらうパイプみたいなものを自分で外して、消えかけて居たんだと。で死にかけたとこでよく覚えてないが、気が付いたら地球にいて、雨に打たれて意識がなくなったんだと言う。
俺に拾われたのは記憶にはなく、血を飲んで俺から魔力供給のパイプを繋いだのも、どうやら無意識下にある生存欲求から来た行動だった様だ。と言うか始めて魔力がリニスに流れ込んでるって知って、滅茶苦茶驚いたよ。
そして、話の最後に今後リニスは、どうするつもりか訊いてみた。「前の主人の子供を育ってていて、その子の事だけが気掛かりだが、もしも良かったら一度なくしかけた命を拾われたので、この家で生きてみようと思っている」と答えた。
俺も母さんもポコたんも、反対意見はなし。元々リニスを拾った以上は責任を果たすつもりだったし、母さんも昨日は賛成していたので、異論はなかった。ただし、リニスが此処で過ごす上での問題が一つだけあった。
父さんの変態行動の対応をどうするべきか、議論は三時間に渡り、問題の一番の当事者になり得るであろうリニスを差し置いて、俺と母さんで盛り上がっていた。
P.S リニスの寝る場所がないので、俺と同じベットで寝る事になった。
もちろん猫モードでだが。ポコたんが俺の部屋に作った寝床の様にリニスにも寝床を作らなければな。朝起きたらリニスが人間形態になってません様に……。
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