◇月±日
簡略して書くことにするが、今日はバンドを四人でやることが確定した。
と言う訳で一緒にバンドをやらないかと、学校で昼休みの昼食時になのちゃん達に言ったら「どうゆう訳よ」と、あーちゃんに突っ込まれてしまった。
俺は特に何も訳を言わないで、「と言う訳で」といきなり切り出したので、三人は当たり前様に言われても解らなかったみたいだ。
なのでバンドをしようと思った経緯を、転生者とかややこしくなる単語は抜きにして説明しておいた。
ぶっちゃけ、学園生活を楽しく過ごす為にやろうとおもってるんだぜ!といろいろ省略して説明したのだが、それが幸いしたのか三人とも興味を持ってくれた様だ。
取りあえずいろいろと詳しい説明を訊かれたので、楽器は俺の家に有る事とバンドの基本構成であるスリーピースの二通りの組合わせであるギタートリオとキーボドトリオについて、説明しておき各々の楽器選びは放課後に俺の家ですることになった。
そして放課後、みんな家に帰らずに俺の家に直行した。
母さんは買い物に出ていて家には居らず、楽器を取り出すのを手伝って貰う……と言うか、あの空間のうねった倉庫からモノを取り出す方法が分からなかったので出勤前に昼寝をしていた父さんを起こしたら、最初は不機嫌だったがあーちゃんとすずちゃんが来ていると知って三十秒で寝間着から普段着に着替え、「やぁ…美幼女の皆さん!」とか言って、なのちゃん達の前に推参したので、右ストレートを食らわせておいた。
だって、あーちゃんとすずちゃんが初対面のインパクトのせいか、父さんに対して怖がってたからな。
取り出す方法は秘密だから、リビングで待っていろと言われた。
何故、倉庫から取り出す方法が秘密かは、ツッコミを入れない方が良いのだろう。
そして、父さんが楽器を一式まとめて持ってきた。
総重量はかなりある筈なのに、なんでかまとめて持ってくるかなぁ…。
楽器を持って来たあと父さんが言ったのだが、楽器はあるのだが楽器を演奏するに適した場所が家にはないのだと。
なんでも、防音対策はしてあるが、楽器を置くのに適した場所はないのだと言う。
家は、普通の一軒家に比べればかなり大きいのだが、生活スペースはそんな多くない。
せいぜい客間を二部屋用意できるくらいで、後は殆どが開かずの間になっていたりするんだよな…。
父さんはおいてけぼりにする勢いで楽器の話に突入した。まずはバンドの形を決めることに、四人編成の基本はスリーピース+付け足す楽器orボーカルだ。
話し合った結果、編成はギタートリオ+キーボードで決定した。そして、担当楽器はこうなった、ギター:あーちゃん、ベース:なのちゃん、キーボード:すずちゃん、ドラム:俺。
理由としてはあーちゃんは、バイオリンやってるからギターだってきっと出来る筈だと言って選択。バイオリンとギターは楽器の形は僅かに似ているし同じ弦楽器だけど、持ち方から引き方に大きさまで違う上に擦弦楽器と撥弦楽器の違いがあるのだが、大丈夫だろうか…? ただ、そのポジティブな考えは年相応の子供らしくて良いんだがな。
なのちゃんは、ぶっちゃけすずちゃんと俺が決めてから消去法で選択した。本人が何でも良いと言っていたので特に問題はない筈だ。
すずちゃんは、ピアノを習っているからキーボードと極めてシンプルな理由。
そして、俺は太鼓を鼓笛で叩いたことがあったので打楽器のドラムにした。
決めたところで聞かれたのだが、ボーカルはどうするのかと。正直ボーカルはバンドをする上で必ずしも必要と言うわけではないが、曲の演奏ではなく曲も歌いたいのなら必要だ。
と言うわけどうするかを再び相談。そして結論だが取りあえずみんな楽器をちゃんと演奏を出来て、余裕が出てきたからの方が良くないかと言う意見で、ボーカルの件は保留になった。
父さんから許可を貰って、楽器は各自持ち帰っての練習をすることになったが、代わりに父さんから交換条件が出された。舞台衣装は、父さんに仕立てさせてくれとのこと。
露出が激しいのは却下なら、それを呑んでも良いと言う条件で承諾。
条件を提示した時、父さんが俺以外に聞こえないように小さく舌打ちしたのは気になったが、母さんの目もあるし恐らく大丈夫だろう。
ポップで、萌え萌えで、ゴシックで、キュートな衣装を作ってやるぜぇ…うは!!みなぎってキタ―!!と、父さんが部屋を退室したのを見て果てしなく不安になったのは書くまでもないと思う。
そういや、合同で練習する場所がないんだがどうしよう……。
◇月*日
腰が痛い、今日この頃。
ドラムセットを叩く姿勢に慣れずに、腰を痛めてしまったりして弊害はないのだが朝の鍛練が地味に辛くなってきている。士郎さんもその歳で腰痛は若年寄みたいだね、と言ってきたりしたので、危うく俺は若年寄じゃなくて、本当に精神年齢だけなら貴方より歳上なのですと良いかけてしまったが、何とか言葉は飲み込んだ。
学校で楽器の練習具合はどうなってるか昼飯時に報告した。なのちゃんは家が隣同士なので大体わかっていた。
なのちゃんとあーちゃんは、基礎である調律の方法とドレミの弾き方を覚えて。
すずちゃんは、ピアノと同じ様に普通にキーボードを弾けるとのこと。
俺は、叩く時の姿勢にまだ慣れないせいで腰痛になったと報告して置いた。
やはりPCとかで練習方法を調べて一人で練習してるせいか上達速度は遅かったが、一年もしないで全員で演奏出来る様にはなるだろうとは思う。
とにかく俺の場合は、奥に設置されているドラムを叩く時に距離感を掴めずに、つい身を乗り出してしまうのをどうにかしなきゃならない。
合同練習の場所については、あーちゃん家の離れならそれなりの広さが在って演奏しても問題はないそうなので合同練習の場所は、あーちゃん家と言うことで問題は解決した。
ボーカルの方はまだ余裕がないので、しばらくの間は話題には出ないだろう。
P.S 余りにもムカついたので、今日の分は書き終えたが追伸を書き足そうと思う。
水を飲みに一階に行ったら、珍しく休日で仕事が休みだった父さんが鼻歌混じりで居間で何かを描いているのを発見した。すかさず見に行くと、なのちゃん達の衣装デザインを書いていやがった。
何やっているんだと分かっていながらも否定したい一心で訊いたら、ポップで萌え萌えでゴシックでキュートな衣装をデザインしているのがわからないのか!?とキレられて、キモかったので右ストレートを決めてから左フックの追撃を食らわせて置いた。
それから、ふと家の倉庫(?)に何で楽器が入っていたのか理由が気になったので、理由を訊いたら父さんが演奏するからとのこと。
イラっと来てしまい、ついつい左ストレートを食らわせそうになったが、なんとか今回は踏み止まった。と言うか演奏出来るなら一言、「教えてやろうか」の言葉があっても良いんじゃないかと思ったが、俺が勝手にやりたいと言っておいてそれを言うのは、父さん相手でも流石に厚かましいと思ったのでその言葉は何とか飲み込んだ。
ただし、誰か教えてくれる人が居た方が早く上達出来て、早く舞台とかに出れる様に成るかもしれないんだけどな―、と棒読みで言ったら面白い様に引っかかり俺のドラムの練習を見てくれると言った。
そう言えばなのちゃん達の採寸は分かってないのに何で衣装作りに取り組んでいるのか気になったので訊いたら、衣装デザインだけで作るのは着ると分かってから作り始めるつもりだったらしい。確かにそうか、と思って納得したので二階に上がろうとしたら、「採寸は、三人が視界に入った時に目算して割り出したから、今から作っても問題はない」とか言いやがった。
思わず耳を疑ったが、「女性のスリーサイズの目算と服のサイズの割り出しは、紳士の礼儀作法だからな」と父さんが言ったので、聞き返すのは止めた。
そんな紳士の礼儀作法は、父さんの出身惑星だけだ。
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