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幼稚園編
4ページ目
〆月@日

 父さんがブツブツ呟いていて気味が悪い。話し掛けても下を向いて何やら考え込んでいて気づかないので、母さんに父さんに渡すつもりのトーストに山葵を塗って貰った。

 口にした瞬間に父さんは絶叫して床を転げ回り悶絶、だがしかし母さんから床が汚くなるから転げ回るなと言われて父さんは涙目で椅子に座った。多分だが山葵でツーンとなったからだと思う、「おまえ最近冷たいな……」とか言っている父さんの声は空耳だ。だって母さんも聞こえてない様に黙々と朝食を済ませたのだから。

 だけど離婚の危機にならないか、息子は滅茶苦茶心配になっている今日この頃です。



〆月+日

 今日は夕方から剣術を倣いに高町家に行く日だった。
 父さんは相変わらず何やら考え込んでいる様で様子がおかしかった。しかし母さんの言っていたその時が来るまでは、俺にはどうしようもすることが出来ないので無視することにした。

 俺が倣う剣術の正式名称は『永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術』と言うらしい(漢字はあっているだろうか?)。
 そしてその剣術の概要を聞いて久々に俺、呆然。
 飛針と言う殺傷力の低いクナイ擬きを投げたりとか、WA4のアクセラレイター擬きは神速と言って重ねがけも出来るとか、達人になれば模造刀でドラム缶を引きちぎれるとか……。いろいろ突っ込みたいが取りあえずドラム缶を引きちぎれるって何さ? 刀って切断系統の武器じゃなかったけ?

 概要を説明された後、士郎さんに木刀を持たされてから型を教えて貰い振れる限り木刀を振るようにと言われ、体力を測ってから今後のトレーニングプランを作るそうだ。
 木刀は五歳児の俺には重くて十回振れれば良いかな~と思っていたら、型通りに振ると予想以上に体力を消費した。
 夢中でやっていると型が崩れてくるので、崩れた所を指摘されてはすぐに型を直す作業を何回か繰り返した。

 もう体力が無くて振れませんとなってから、士郎さんに降った回数を聞いた時は目を向いた。
 二十七回だったそうだ。士郎さんも驚いていたがあの二人の息子だしなぁ…とか言っていた。
 だからさ、家の両親って何者? 結婚する前は裏の世界に居たって言ってたけど、何をしていた人なの?

 士郎さんは知っていそうだったが敢えて訊かなかった。だって訊いたら後悔することになる気がしたから。

 そのあと十五分の休憩を挟んで飛針の投擲方を指南して貰い、取りあえず一本飛針を的に向かって投擲してみた。
 当たり前だけど的には当たらなかった。
 だが結構的に近い所で外れて、壁に飛針が四分の三ほどめり込んでいた。両親から受け継いだスペックが怖くなった瞬間だった。

 一日目の指南が終わってから別れ際に、士郎さんに何で御神流を指南しようかと思ったか訊いてみた。
 理由は三つあるらしい。
 一つはきょー兄さんを川に突き落としたのを見たときに才能を感じた事、二つ目は父さんが隠しごとをなかなか俺にバラさないで父さんのやっている事を継がせる気があるかどうか分からなくて俺の才能が勿体無いと思ったから、そして最後に俺がなのちゃんを護ってくれると思ったかららしい。

 最後のに対して「当然じゃないですか、なのちゃんは友達ですから」そう言ったら士郎さんはそう言う意味で言ったんじゃないと言う。

じゃあどういう意味で言ったんですか、士郎さん?



〆月仝日

 今日は筋力トレーニングをしてから士郎さん相手に初めての打ち合いをしてみた。
 打ち合ったら初手で士郎さんの木刀がぶっ飛んで、きょー兄さんに直撃してきょー兄さん撃沈。

 どうやら体力だけではなく、筋力も年齢に不相応なものを持っている様だ。
 士郎さんが平均的な五歳児より上を想定した力しか使っていなかった為、打ち合った瞬間にすぽ抜けた様だ。

 取りあえず今日の訓練で思ったことだが、みゆ姉さんに膝枕されて横になっているリア充なきょー兄さんは氏ねば良いと思う。

 昼を少し過ぎた頃に本日の鍛錬は終了した。
 士郎さん達になのちゃんの誕生日プレゼントに付いて相談してみた。
 きょー兄さんは父さんに相談した方が良かったんじゃないかと言ってきたが、父さんと乱闘になった末に母さんに父子揃ってアイアンクローで吊るされた事を言うと黙ってしまった。
 そして家に一旦帰る前に、プレゼントはなのちゃんが欲しがっていたパソコンのパーツにしようと思っているんだけれども、どの部分のパーツが欲しいのか分からないと言って、誰か知らないか訊いてみた。
 だが誰も分からないので他のプレゼントにすることにした。
 あーでもないこーでもないと、四人でなのちゃんの誕生日プレゼントを画策する。
 実は全員悩んで居て困っていたと言うオチだった。

 そんなこんな感じでプレゼント相談をしていると遅いから心配したなのちゃんが道場に様子見に来たのでプレゼント相談会はお開きになった。
 昼食を食べ終えてからなのちゃんと遊んでいると、不意に何をしていたのか聞かれたので適当に誤魔化しておいた。

本当にプレゼント何にしよう…?


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