〆月≠日
月が替わった、殺意が湧く……。
朝帰りの父さんを捕まえて、何で日記帳を十五冊まとめてプレゼントしたのかを聞いてみた。
骨董屋でバナナの叩き売りならぬ日記帳の叩き売りをやっていたらしく、それで適当にこれで良いかって感じで決まったと言う。
プレゼントはモノではなく気持ちなんだと言うが、その気持ちすら籠ってないプレゼントがここまで腹立たしいとは思わなかった。
……別に、アレを殺ってしまってもかまわんのだろう?
母さんにそう言って、朝から壮大な親子喧嘩が始まった。
殴り合いが終わってから「お前やるな…」「ふっ…お前もな」と言う感じの青春ごっこを五歳児相手にやるダメ親父。本人は爽やかに終わったと思って安心しているだろうが、そうは問屋が卸しません! 俺の怒りがその程度で収まる筈がないだろ、バカ親父め!! 〇〇で☆☆で▽▽な一般人が見たら確実に引く、エグいエロゲを母さんの部屋に散乱して幼稚園にGOした。
帰ってきたら、庭に父さんがスケキヨばりに埋まっていた。勿論物理的に。
だが周りにシャベルが見当たらない……。もしや母さんの職業って……。
〆月⌒日
母さんにズバリ昨日考えた俺の予想が正しいか、聞いてみることにした。母さんの職業は女プロレスラーなのではないかと。
含み笑いをした後とうとう知ってしまったかと母さんが呟いた時は、ちょっぴりチビりそうになったのは俺だけの秘密だ。
ちなみにチビりそうになったのは、俺も父さんの様にパイルドライバーされる未来が見えたからだ。死ねる……地面にパイルドライバーして人間を打ち込めるんだぞ? 知ってるか……地面に人間くらいの大きさの杭を半分打ち付ける力を……、人の腕位でもコンクリートが割れるんだぞ。
人の体は杭より柔らかいし杭の様に力の集点が小さいくないから杭を打つ力よりも大きい力が必要だ。想像するだけで恐ろしい……、けどそんな力を受けてケロッとしていた父さんは本当に何者だよ?
俺の脅えとは裏腹に母さんは特に何かをするわけでもなく、ぽつりぽつりといろいろなことを語り始めた。
曰く初めて父さんと出会ったのは裏世界の闘技場で、初対面からパイルドライバーを食らわせたとか、結婚してこっちに引っ越してきた当初に士郎さんと殺り合って(誤字に非ず)負けてしまい替わりに父さんが殺り合って勝ったとかさ……、知・り・た・く・な・か・っ・た!
お隣さんの亭主と殺し逢った関係だったとか知・り・た・く・な・か・っ・た・よ!!
息子として複雑だし、しかも家の両親揃って裏の人間とか人外じゃないか!! そんなことより初対面からパイルドライバーを食らった父さんはどうして結婚する気になったんだ?
取りあえず今日は、この家族の謎が増えた。何より父さんと母さんが結婚した理由が謎過ぎる。
〆月〆日
今日は雛祭り。別名女の子の日……、間違っていない筈なのに何かが決定的に間違っている。素直に雛祭りとしておこう。
そう言えば、子供の日は元々男の子の成長を祝う日で、鯉のぼりもそれにあやかっていたし小さい兜を飾る習慣が逢ったのだ。まぁ今でも殆どの家はやってるけどね、俺が知らなかったから書いてみただけさ。
女の子を祝う日は在るのに男の子がないなんて理不尽だ~&桃子さんが家においでと言っていたので、なのちゃん家の雛あられを強襲だ~とお隣さんに突撃。
ウソを書きました。
なのちゃんの雛あられ貰おうとしたら、桃子さんがチョコレートパフェ作ってくれたので雛あられそっち除けでチョコレートパフェをパクついていた。俺は甘党ならぬチョコレイ党なのだ! カカオちゃん~愛してるぜ~! そう言えば今年のバレンタインの義理チョコもマジでスイートだったな~。
バレンタインで思い出したけどホワイトデーとなのちゃんの誕生日まで二週間もない。あとホワイトデーとなのちゃんの誕生日が一日差って何て罠だろう?
〆月〇日
ホワイトデーのお返しとなのちゃんの誕生日プレゼントは何が良いかと父さんに相談したら、「リア充モゲロ」と言われて朝から大乱闘。
しかし母さんのアイアンクローで乱闘は、即終了。
母親にアイアンクローされてプランプラン揺れている父と子が見える光景はさぞかしシュールだったであろう。
なのちゃんに何が欲しいか聞いたら、パソコンを作りたいのでパソコンのパーツが欲しいと言われた。 相変わらず機械関連は超ハイスペックのなのちゃんに、元科学者の俺、涙目…。本当に涙目になってしまいなのちゃんに心配されてしまったので、崖があったら飛び降りたくなってしまった。
幼稚園から帰ったら士郎さんが珍しくもう翠屋を閉めて帰って来ていた。
なんでも今日は卒業式の学校が多くて客の集まりが悪い為早めに閉めたそうだ。
何故か士郎さんが真剣な顔でなんたら流派をやらないかと言ってきた。
余りの気迫に俺は頷いてしまい、そして母さんがそれを聞いていた。
現在日記を記している最中だけど、高町家の道場の方から漫画とかの擬音にしか使われないようなバトル的な音がしている。
だが現実にはあり得ないので、多分気のせいだ。
父さんは母さんから俺がなんとか流派を倣う事になったと聞くと、鬼の様な形相で高町家に強襲を掛けに行った。そしてもうアレから五時間、強襲理由を母さんに訊いても「いずれ父さんの口から聞きなさい」と言うだけで答えてくれなかった。
我が家での父さんは秘密が多すぎる……。なんでキレたんだろう? そして俺の人外への道程は着実に周りの人間に敷かれていくことに成るんだな……。
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