陸上自衛隊の情報保全隊が、イラク派遣の反対集会などを監視していたのは憲法違反であり精神的苦痛を受けたとして、東北6県の住民107人が国に監視差し止めと計約1億円の賠償を求めた訴訟で、仙台地裁(畑一郎裁判長)は26日、「自己の個人情報をコントロールする人格権を侵害し違法」として原告の男女5人に計30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。監視差し止めの訴えは却下した。
原告側弁護団によると、情報保全隊の監視差し止めを巡る訴訟の判決は初めて。
判決は「各原告の氏名、職業に加え、所属政党などの思想信条に直結する個人情報を収集しており、違法とみるほかない」と指摘した。
原告側は、情報保全隊が03~04年、自衛隊のイラク戦争派遣に反対する集会やデモの参加者を撮影するなどの情報収集をしたと主張。こうした監視活動は表現の自由やプライバシー権の侵害に当たるなどと訴え、1人当たり100万円の国家賠償を求めていた。
同隊の活動を巡っては共産党が07年、同隊の内部資料だとして集会やデモ参加者の写真などが載った資料を公表していた。
一方、国側は内部文書の存在については認否を留保したうえで、情報収集は自衛隊法に基づいて行っており、違法性はないと主張していた。【竹田直人】
毎日新聞 2012年3月26日 13時36分(最終更新 3月26日 14時05分)
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