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最新の医療ルネサンス・医療解説

最新の医療ルネサンス・医療解説

 読売新聞朝刊くらし家庭面の連載「医療ルネサンス」から最新記事や夕刊医療面に掲載の解説記事を紹介しています。

 連載は1992年に「心と体に優しい医療」の実現を願ってスタートし、すでに5000回を超えています。これまでに新聞協会賞(94年)、菊池寛賞(95年)、ファイザー医学記事賞(2007年)などを受賞しました。

 がついている記事には、専門記者が最新情報などを書き加えた「情報プラス」があります。

シリーズ

[感染症]肺炎(1)マイコプラズマ 耐性菌増加
 
「マイコプラズマ肺炎は、すりガラスのような陰影が特徴です」と話す田島さん

 かつては数年おきに流行していたマイコプラズマ肺炎の患者数が、2011年夏以降、過去最多のペースで推移している。

 東京都内に住む男子中学生(14)は11年7月のある日、軽いせきと体のだるさがあり、体温は38度を超えた。深夜まで試験勉強をする日が続き、寝不足による疲れのためかと思っていた。

 翌朝には40度まで熱が上がった。近くの診療所で処方された解熱剤を飲むと一時的に下がるが、しばらくするとまた上がる。

 翌日、別の診療所で出された抗菌薬などを飲んでも熱は下がらず、せきや喉の痛みもひどくなるばかり。食欲も徐々になくなっていった。母親(46)は「薬が全く効かず、原因が何か分からず不安でした」と振り返る。

 発症から1週間後、博慈会記念総合病院(東京・足立区)を受診。マイコプラズマ肺炎と診断された。

 肺炎マイコプラズマという細菌によって起こり、子どもの肺炎では肺炎球菌に次いで多い。乳幼児より年長児が感染しやすい。症状はおおむね軽いが、熱が下がった後も乾いたせきが3週間以上続くこともある。

 同病院小児科の田島(たけし)さんが診察したところ、男子生徒の胸のエックス線検査で、肺にすりガラス状の影が見られた。血液検査で炎症反応の数値(CRP)はあまり高くなく、白血球数も正常範囲であることも、この病気の特徴だ。

 日本小児呼吸器疾患学会と日本小児感染症学会が11年に作成した診療指針によると、治療はまずマクロライド系という種類の抗菌薬を用いる。

 だが近年、薬の効かない耐性菌が徐々に増加。北里生命科学研究所特任教授の生方公子(うぶかたきみこ)さんらの調査では、11年に検出した肺炎マイコプラズマ菌のうち耐性菌が86%に上った。

 耐性菌にはミノサイクリンという抗菌薬を使う。ただし、永久歯に生え替わっていない子どもは歯が黄色くなる副作用のおそれがあるため、使用は最小限にするとされている。

 男子生徒は診療所でマクロライド系の抗菌薬を処方されていた。ミノサイクリンの抗菌薬と炎症を抑えるステロイドの点滴を行ったところ、翌日には熱が36度台に下がった。その後は、抗菌薬の点滴注射を3日間続け、入院から4日後には退院した。

 田島さんは「耐性菌が増えており、抗菌薬の使い方を見直す必要がある」としている。

2012年3月26日 読売新聞)

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