数学の勉強をあきらめてしまった娘
中3の娘の相談です。中1から部活を熱心に取り組んできました。個人競技ですが、そこそこ成績を出し、県大会で2位だったこともあります。しかしその分、勉強にはまったく手がまわらず、中2の秋の定期テストは、さんざんな結果でした。さすがに本人もあせりはじめ、塾に通い出しました。そこで「公立高校の入試問題の数学は、とても難しい」と聞いてあきらめてしまったようで、数学を勉強しなくなりました。このまま数学の勉強を放棄させていいのか悩んでいます。娘に、どのようなアドバイスをすればよいのか教えてください。
(HN:わかめ)
方針を決めるために、早く動き出そう
●推薦を考えられることも
種目にもよりますが、県大会で個人2位となると、推薦の内部基準に達している学校があると思うので、まず、そこから調べてみましょう。推薦は、早い時期にしぼられますので、できるだけ早く担任や顧問の先生に確認するとよいでしょう。顧問の話は半分くらいで聞いておいてください。部活を続けさせるために、甘い見通しを話す先生もいますから。逆に、一定の学校にパイプを持つ顧問なら、かなり具体的な話を聞けるかもしれません。また、3年での結果待ちというケースも考えられます。その場合、推薦をあてにしてはダメなので、他の道も用意しなければなりません。
●他の教科の成績は?
そんなとき、数学を放棄してよいかどうかは、他の教科の成績次第です。一般に、公立高校の合否は入試での5教科の合計点と、中学の9教科の内申点で決まりますが、まず、自分の都道府県の入試システムを知る必要があります。その上で、評点の見込みを考えれば、数学を放棄できるのかがわかります。
●数学の習得には時間がかかる
数学は積み重ねの教科です。英語も同じですが、ただ、暗記で切り抜けられる比重は、英語の方がはるかに高い。ゆえに、数学の場合、学習が一定のレベルに達しなければ、点数につながりません。理社のように、習得知識と点数が比例する教科ではないんです。しかも、時間がかかります。ぼくならば、お預かりした段階で、まず、どこまでさかのぼる必要があるのか調べますが、塾ではそうした調査をやってくれましたか? それをやっていない場合、塾はあてになりません。以前の内容が理解できていなければ、新しい内容はまるで理解できない教科ですから、さかのぼって学習をしなければ、どうにもならないんです。しかも、時間がかかる。おまけに、特別扱いが必要です。習うべき所が、そもそも違うのですから。
そんなわけで、数学に時間をかけるべきかは、他の教科とのバランスで判断する必要があります。一般入試の合否は、あくまでも合計で判定されるわけですから(推薦の場合は、「数学が1でないこと」といった条件つきの場合もあります)。
●子どもには内緒で……
ぼくならば、娘さんには言わないで、推薦の可能性を聞き出します。娘さんに言えば、「推薦で行けるのなら」と、なまけることもあれば、「今度の中体連で3位以内に入らないと推薦が取れない」というプレッシャーをかける可能性もありますから。
●模試を受けさせよう
その上で、それとは別に、公立高校入試の出題形式に似たタイプの模試を受けさせ、5教科の見込み得点を把握します。そして、内申点とのからみで、どの高校までねらっていけるのかを調べ、さらに、数学以外の教科で、どこまでアップが見込めるのかをみます。
●数学は、短期集中で一気に!
数学は、先程述べたような教科の特性がありますので、やらせるのなら夏休みに短期集中で一気に仕上げます。つけ焼刃でどうにかなる教科ではありませんし、普段だと、インターバルが発生して、その間に以前学んだことを忘れてしまい、学習効率は望めないでしょうから。
●おすすめは職業科
裏技というほどではないですが、ひそかなオススメは職業科です。各地域の職業科のトップ校には、普通科顔負けの推薦枠がある所も多いのです。現段階で、学校の数学につまずくようであれば、英語などが極端に得意でない限り、普通科でさほどの進学先は望めないでしょう。ならば、該当する部活に力を入れている職業科は、ねらい目です。
●早く動き出そう!
とにかく、わかめさんにやってほしいのは、
1.部活の成績での推薦の有無の確認
2.受験システムを知る
3.模試を受験させること
4.今後の方針の決定
です。2以降は、娘さんと相談しながら決めるとよいでしょう。少しでも早く動き出してください。
したがって私のアドバイスが最善とは限りません。実践に関しては使える部分をアレンジして各自の責任でお願いします。
・・・後藤 武士
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