2012年1月31日 19時53分 更新:1月31日 20時22分
福島第1原発事故で警戒区域と緊急時避難準備区域(昨年9月解除)に指定された福島県川内村が31日、「帰村宣言」を行い、村民に帰還を呼び掛けた。避難自治体では初の試みで、村内の除染を進め、4月1日に役場、学校、保育園、村営診療所を再開する。
記者会見した遠藤雄幸村長は、1月中旬の村民との懇談会で「一定の理解を得られた」としたが、早期帰還に慎重意見もあるため、「戻れる人は戻る。心配な人はもう少し様子を見てから戻る」と、自主判断を尊重する方針も示した。
村民約3000人は事故直後に全員避難し、緊急時避難準備区域の解除後も村に戻ったのは約200人。残る村民は郡山市など県内や全国26都道府県で避難生活を続けている。
民家の除染は年末までかかる見込みだが、大部分が空間線量毎時1マイクロシーベルト未満で居住に問題はないという。子どものいる世帯は優先し3月末までに終える。警戒区域内は4月以降に国が除染するが、その住民も仮設住宅を設けて村内で生活できるようにする。
除染作業で1000人規模の就労を見込むほか、金型工場や野菜栽培施設を誘致し50~100人の雇用を確保する。小売店の再開を財政支援し、隣接市町とのバス路線も確保するなど生活基盤の再構築も図る。
遠藤村長は「不安はあるが、踏み出さないといけない。2年後、3年後にそれぞれ我が家に戻ってもらえればいいが、子どもはもっと先になるかもしれない」と述べ、徐々に村民の帰還を促す考えを示した。【乾達】
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