2012年1月31日 12時15分 更新:1月31日 12時23分
日銀は31日、01年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公表した。01年3月に金融政策の目標を従来の金利から資金量(日銀当座預金残高)に切り替える「量的緩和政策」を導入したが、同年8月には残高の目標額を当初の5兆円程度から6兆円程度に増額。当時の速水優総裁が「効果は必ずしも確実ではない」と指摘するなど、増額による景気下支え効果の検証が不十分なまま、手探り状態で決断していた実態が明らかになった。【谷川貴史】
量的緩和はITバブルの崩壊などを受けて導入。金融機関が日銀に持つ当座預金口座に巨額の資金を供給することで短期金利を実質ゼロまで引き下げるとともに、金融機関に企業への貸し出し増加などを促す狙いがある。
8月の会合では「デフレ防止の効果をどれくらい発揮できるか、分からない」(山口泰副総裁)との声も出たが、「なにがしかの効果」(速水総裁)を期待し、目標増額を決めた。
9月の米同時多発テロや景気下振れ懸念もあり、同年12月には目標額を「10兆~15兆円程度」に拡大。背景には政府・与党から日銀への「緩和圧力」もあり、9月の会合では山口副総裁が「金融政策だけでデフレ圧力に対応するには、無理がある」と発言し、速水総裁も「世界の中央銀行の歴史で例のない金融緩和策を果敢に講じてきたことを理解してほしい」と政府に注文を付けた。
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