2012年1月29日 10時3分 更新:1月29日 10時21分
インフルエンザの本格的な流行が国の求職者支援訓練を受ける失業者らに不安を広げている。訓練中は月10万円が給付されるが、発症や家族の看護でやむなく休んでも、出席率が8割を切った月は全額不支給となるためだ。無理に出席すれば感染が広がる恐れもあり、訓練を実施する学校側からも柔軟な対応を求める声が出ている。【石川隆宣】
求職者支援訓練は厚生労働省の制度で、非正規雇用や長期の失業などで雇用保険を受けられない求職者が生活費を受給しながら職業技術を身につけ、早く就職できるようにする。訓練は主に3~6カ月間で月20日程度。厚労省は給付金支給対象者を12年度に20万4000人見込んでいる。
昨年10月の法制化前も、受講者には8割以上の出席を条件に10万円が支給されたが、逆手に取りぎりぎりまで欠席する人もいたため省令で厳格化。正当な理由なく1回でも遅刻・欠席すればその月の支給は停止。病欠は医師の診断書があれば認められるが、それでも出席率が8割を切ると支給されない。
一方、雇用保険を受給する失業者向けの公共職業訓練は、病気などやむを得ない理由の欠席ならば基本手当は減額されない。公共職業訓練と求職者支援訓練の受講生が同じ教室で同じ訓練を受けることもあり、「不公平」との指摘もある。
大阪府内の専門学校で訓練を受ける男性(44)は小、中学生の子2人と3人暮らし。今月は子供がインフルエンザにかかり看病で2日休んだ。「もう一人の子が寝込んだり、交通機関の乱れでもあれば、家賃が払えない。資格を取る講習も受けたいのに、それも欠席扱いになる。不正には厳しく対処すべきだが、もう少し柔軟な対応をしてもらえないものか」と悩む。
ハローワークには受講生から「インフルエンザで休んでも欠席扱いになるのか」との問い合わせが目立ってきた。東京都内で訓練を実施する専門学校は「発症したら休んでほしいが、給付の有無に影響してしまう。感染しないよう体調管理を十分してほしいと念を押すくらいしかできない」と話す。
法制化前は新型インフルエンザによる欠席は5日間まで出席扱いできた。厚労省求職者支援室は「現行制度の運用を直ちに見直すことはないが、事態の推移をみて考えたい」としている。
国立感染症研究所によると、1月16~22日の1週間でインフルエンザ患者は前週の3倍に急増し、全国の患者数は推計111万人。厚労省は今後大きな流行になる可能性もあるとみている。
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