米国防予算計画:地上戦力10万人削減 在日韓は維持

2012年1月27日 12時2分 更新:1月27日 14時14分

 【ワシントン白戸圭一】パネッタ米国防長官は26日、国防総省で記者会見し、13会計年度(12年10月~13年9月)から5年間の国防予算の削減計画を発表した。アフガニスタンとイラクの両戦争で膨らんでいた地上戦力を計10万人(陸軍8万人、海兵隊2万人)削減する一方、開発経費が高騰した最新鋭ステルス戦闘機F35の調達を先送りするなどして、5年間で計2590億ドル(約20兆円)を削減する。一方、在日米軍、在韓米軍の兵力は維持し、オーストラリアやシンガポールには海兵隊部隊や新型艦船を配備するなど、オバマ政権の「アジア太平洋重視」の方針を鮮明にした。

 01年の同時多発テロ以降、膨らみ続けてきた米軍の本格的な削減が公表されたのは初めてで、大規模な削減計画となった。

 地上戦力は、欧州駐留の陸軍の2旅団を撤収させるなどして経費を削減。陸軍は今後5年間で約8万人減って約49万人態勢に、海兵隊は約2万人減って約18万人態勢になる。海軍は巡洋艦の退役を前倒ししたり、新型潜水艦の導入を先送りし、空軍は戦闘機部隊の削減などで経費を減らす。空軍の大型無人偵察機「グローバルホーク」は、運用コストの高騰を理由に現在の調達計画を中止する。

 また、航空自衛隊の次期主力戦闘機に決定しているステルス戦闘機F35について、パネッタ長官は「大量に調達する前に、より多くの試験と開発を終わらせる」と述べ、今後5年間に調達を予定していた179機を先送りする方針を明らかにした。その結果、200億ドル以上の経費削減が見込まれるという。

 一方、パネッタ長官は、今月5日に発表した新国防戦略で名指しで批判した中国、イランを念頭に「アジアと中東への前方展開能力は極めて重要なので投資を増やす」と述べ、抑止力の中心とする空母は現行の11隻体制を維持することを明らかにした。

 オバマ政権は既に、財政赤字削減に向け10年間で国防予算を総額4870億ドル削減する計画を示しており、今回は前半5年間の具体的な見通し。

 初年度の13会計年度の海外戦費を除いた予算要求額は5250億ドルで、前年度より60億ドル減少。一方、海外戦費の要求額は、イラク戦争終結とアフガニスタンからの駐留米軍撤収の進展で大幅に減り、前年度より266億ドル減の884億ドルとした。

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