2012年1月26日 21時43分 更新:1月26日 23時31分
厚生労働省は26日、労働時間が週20~30時間のパートら非正規の短時間労働者への厚生年金と健康保険の適用拡大方針を固めた。当面は年収80万円以上で、従業員300人超規模の大企業で働く人を対象とする。これにより新たに約100万人が新規加入することになる。同省は関係団体や民主党などと調整し、今国会に関連法案を提出する。その後は第2段階として従業員100人超の企業で働く人にも広げ、新たに約50万人を対象とする意向。最終的には年収や企業規模の要件を外し、約370万人に適用することを目指す。
労使で保険料を折半する厚生年金などへの現行の加入要件は「労働時間が正社員の4分の3(週30時間程度)以上」。非正規雇用労働者約1800万人のうち800万人が対象外で、配偶者らの扶養を受けていない人は、事業主の保険料負担がない国民年金や市町村の国民健康保険に加入している。非正規の人の処遇改善とともに、保険料を払わず基礎年金を受給できる「第3号被保険者」を減らすことを目指し、政府は税と社会保障の一体改革の素案に厚生年金などへの加入要件を「週20時間以上」に緩和する方針を盛り込んだ。
しかし、それだけでは一気に400万人近くが対象となり、企業の負担が大きくなる。このため段階的に適用を広げ、当面は従業員数が300人超の企業で働く人に限定することにした。また、週の労働時間が20~30時間の国民年金加入者は年収80万~90万円の層が最も多いことから、年収要件は「80万円以上」とした。実施時期や学生を対象に含めるかどうかは今後、詰める。
ただ、段階的に適用を広げる案にもパートを多く雇用する流通業界などは強く反発している。野党は民主党の掲げる新年金制度の具体案提示を迫って対決姿勢を強めており、法案成立の見通しは立っていない。【山田夢留】
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