インド南部タミルナド州クダンクラムで23日、民生用原発の運転開始に反対する住民ら約500人が地元警察に逮捕された。PTI通信が伝えた。反対運動を力で抑えるインド当局の意向が鮮明になった。
クダンクラム原発は2004年末のインド洋津波で被災したインド最南端の沿岸部にロシアの支援でつくられ、昨年12月に商業運転を開始する予定だった。しかし、東京電力福島第一原発事故をきっかけに反対運動が激化。作業員らの原発への立ち入りを村人が阻み、原発内では稼働前の最終段階の作業ができない状態が続いていた。
警察権を持つ州政府は当初、原発を恐れる地元世論に同情的だったが、中央政府の再三の要請を受け、19日に運転開始を認める方針に転換。地元裁判所は原発周辺で5人以上による集会を禁じる命令を出した。反対運動の指導者らが当局を批判する集会を開き、デモ行進しようとしたところ、一斉に逮捕されたという。