NHKスペシャルは、
1989年(平成元年)4月2日(日)「政治は改革できるか~リクルート事件の衝撃~」から、
2012年3月11日(日)の「"同日同時刻"生中継・被災地の夜」まで
23年間で2387本を放送してきました。
前身のNHK特集は、13年間で1378本ですから、すでに二倍近い規模になっています。
基本精神は、NHK特集から引き継いだ「実験性」と「スクープ性」。
今までにない手法や内容に大胆に挑戦し、真実を発掘していくことを目指しています。
そして、NHKスペシャルに衣替えした時に加えられたのが、
テーマを選ばない、どんな話題でもテレビでやれないことはないというチャレンジ精神です。
NHKのあらゆる部署や制作会社から寄せられる膨大な提案がNスペの志を支えています。
例えば・・・
誰もこの眼で見たことのない世界に誘う。
これはNHKスペシャルの目指してきた重要な役割の一つです。
南極、北極からエベレストまで、世界中の秘境へいち早くハイビジョンカメラを持ちこんで鮮明な映像を記録制作してきました。
この試みは、この20年の間に撮影制作技術の進化とともに大きく飛翔し、宇宙へ、海へ、人体の中へ、と留まることのない開拓を続けてきました。
「宇宙の渚」「深海の世界」「細胞ワールド」と今後も次々と旅を続けます。
NHKスペシャルが始まった1989年は、天安門事件が起こり、やがて冷戦終結へと向かう激動の時代でした。
その後も、湾岸戦争、中国の急成長、アジア経済危機、911テロ、イラク戦争、リーマンショックと目まぐるしく世界は変転、Nスペは、分厚い取材網と長い蓄積を武器にその実相と潮流を捉え、国際的スクープを含む数多くの番組を送り出してきました。
今後も、イスラム、中国、アメリカ、EU・・・世界の動向を素早く深く取材し、日本の立ち位置を探っていきます。
世界の変動の中で日本では、バブル崩壊、阪神淡路大震災、オウム真理教事件、少子高齢化の進行、経済低迷など次々と不安な兆候が現れ始めました。
私たちの身の回りで何が進行しているのか。NHKスペシャルでは、徹底調査を伴った独自取材や、一般市民が参加する徹底議論などから、その本質に迫り、解決策を提案してきました。
「ワーキング・プア」や「無縁社会」など社会の認識を変える一助となった番組もあります。
今もいくつものプロジェクトが皆さんの眼となり耳となって日本社会の底流を探っています。
世界一を競うスポーツ選手、姿すら見せない孤高の芸術家、あるいは市井の子どもたちの純真・・・。
NHKスペシャルは人間の持つ可能性と素晴らしさを、信頼関係に基づく密着ロケや様々な撮影技術の進化を取り入れて映像化し、小説や映画とはまた違ったテレビならではの感動を伝えてきました。
今も数多くの魅力的な人物の撮影が進行中、「ミラクルボディ」では世界のトップアスリートの秘密に迫ります。
何億年の地球の歴史、何万年の人類の歴史、そして古代文明から近現代の世界、そして未来社会へ。
世界最先端の研究成果と膨大な資料の独自発掘、CGなど最新技術を駆使して、Nスペは数々の地球史、人類史、近現代史の見えない世界を番組化してきました。
今年は「ヒューマン」に続いて、「知られざる大英博物館」と「中国古代史」。東西文明の秘められた歴史ロマンを完全映像化します。
NHKスペシャルの23年間は、巨大災害を記録し続ける年月でもありました。
雲仙普賢岳火砕流、奥尻島津波、阪神淡路大震災、三宅島噴火、新潟県中越地震、そして東日本大震災・・・。
なぜそれが起きたのか。Nスペは、被害の実態と被災者の実情を、緊急報道や科学分析、ヒューマンドキュメンタリーなどの多彩な切り口で伝えてきました。
未曾有の被害を出した東日本大震災は、年間100本中40本が震災関連Nスペとなりました。
原発問題も含め、新年度もこの問題の行方を重点編成していきます。
一方、この地震を予見したと話題になった「メガクエイク」の続編では、日本列島を襲う地震のメカニズムを世界の最新科学で徹底検証します。
この他にも、未解決事件、フローズンプラネットなどの大型シリーズ。
調査報道からアドベンチャードキュメンタリー、スペシャルドラマまで、
自然、医学、国際、政治、経済、科学、歴史、文化、スポーツなど様々なジャンルの
テレビの無限の可能性に挑戦する深くカラフルな番組をお送りします。
(2012年3月13日)