Gazopaは日立製作所が社内ベンチャー・プロジェクトとして開発した画像検索エンジンで、メタデータではなく画像そのものの類似を解析してウェブ上の画像を検索する機能が特長だ。昨年、TechCrunch50でデビューして以来、非公開でベータテストを行っていた。ユーザーはGazopaに検索したい画像をアップロードするか画像のURLを送る。あるいはプラグインを利用してウェブの画像上で右クリックする。写真でなく絵を描いてもよい。するとGaZoPaシステムが類似した画像を検索し、サムネールで一覧表示する。ビデオ・ファイルを検索するにはそのビデオのサムネール画像を入力すればよい。
検索は主として色と形状の解析によって行われる。たとえば、赤い車の写真をアップロードすると、なんらメタデータ(テキスト)を入力しなくても似たような赤い車の画像を探し出してくる。(検索にキーワードを付加することも可能)。
2008年の9月以来、4万以上のユーザーがこのサービスをテストしてきたが、今日、公開ベータをスタートした。Hitachi Americaはこの1年、ユーザーからのフィードバックを参考に、検索の精度を高め、サイトのデザインを改良し、機能を追加するなど努力を重ねてきた。
デビュー以後、最大の機能強化はGazopa iPhoneアプリ (iTunesリンク)のリリースだろう。ユーザーはiPhoneで写真を撮り、即座にGaZoPaにアップロードして類似写真を見つけ出すことができる。とてもクールなアプリだ。ウェブ版の機能のほとんどを備えていて、しかも無料だ。Facebook用のGaZopaドロー・アプリ〔実際はペイント・ソフト〕もある。
GazopaにはFlickrの写真からCreative Commonsでライセンスされている写真を選び出す機能も追加された。検索結果のサムネール画像の上にマウスを置くと、Gazopaは写真のサイズ、類似度、ライセンスの種類、FlickrページのURLなどが表示される。もう一つの新機能はNewsタブで、こちらは最新ニュースを対象に類似画像が検索される。時間(アップロードされたのが1月以内か、1年以内か、など)と形状、サイズなどで順位づけがされる。
いずれも驚天動地の新機能というわけではないが、GazoPaはすでに6千万の画像をクロールして索引化を済ませており、メタデータが間違っているか、あるいはそもそも存在しない画像の検索が大規模に可能になっている。ベータ版にはまだいくつかバグがあるものの、試用には十分な仕上がりだ。風景その他、特徴ある形状の無生物の画像の場合、良好な類似度の検索結果が得られるが、人物画像の場合は精度がかなり落ちる。このあたりは改良を要する点だろう。少なくともある程度の精度で男女の区別がつくとよい。
Google Labs’の類似画像検索サービスに対してGazopaの独自な点は何かという質問に対して、日立の小林秀幹氏は「Googleと違ってユーザーは類似画像を全部見ることができるし、自分でキー画像をアップロードすることもできる」と述べた。Gazopaのライバルには「画像の逆引き検索」のTinEyeなどがある。しかしTinEyeは必ずしも類似画像の検索に特化しているわけではなく、むしろ正確に一致する画像を検索しようとする。
以下はGazopaの公開ベータ版の紹介ビデオ〔字幕は英文〕
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(翻訳:滑川海彦/namekawa01)