最近データセンターを利用する企業が急増しています。有名なリサーチ会社のIDCジャパンの発表によると、データセンター市場規模の伸び率は2006-2010で平均10%(14.6%)を超える成長が予測されています。また、野村総合研究所の発表では2010年には30万平米のデータセンターが不足するだろうとしています(日経コンピュータ記事より)。
これら市場の盛況の背景には、昨今の大規模停電や地震・台風等の災害があります。
海外大手保険会社の算定では、東京は他国の主要都市に比べて100倍以上の災害リスクを抱えていると言う話もあるほど(ドイツの損害保険二次受け会社)、災害対策は深刻な問題だと言えます。それに加えて、来る金融商品取引法対応における、事業継続性対策、要員問題やセキュリティ問題等が拍車をかけています。
これらの市場の盛況を受けて、各社がデータセンター事業を強化し、様々なデータセンターが建ち、事業展開を行っています。
そこで、本コラムではデータセンターをこれから利用しようとしている企業、既に利用しているが「他と比べてどうなんだろう?」と思われている企業の担当者様に向けて、プロの眼から見たデータセンターのチェックポイントを簡単に説明します。
プロの眼から、ですので、普通に言われている点は割愛しています。また、データセンターは本来利用目的別に選定するのが本筋ではありますが、今回は主にDR(災害対策)の見地でまとめていますので、ご容赦願います。
データセンターの選定ポイントについては、主に以下の7項目で検討すると良いでしょう。
ポイント1.建物設備(構造)
ポイント2.立地条件
ポイント3.災害対策設備
ポイント4.マシンルーム(電源・空調能力含む)
ポイント5.セキュリティ対策
ポイント6.監視と運用サービス(付加サービス)
ポイント7.ベンダーの財務状況
今回のコラムではポイント1と2について、ポイント3以降は次回のコラムで述べたいと思います。
耐震構造の種類と耐震性能に着目してください。
建物構造には、耐震構造、制震構造、免震構造とありますが、データセンターとしては免震構造が望ましいと言えます。サーバ等にはハードディスク等の機械的な部分があり、地震による急激な加速度を受けると障害を起こす恐れがあるからです。
免震構造には、建物免震、床免震、ラック免震があります。提供各社は建物構造と組み合わせて免震環境を提供しています。
耐震性能については、一般的にかなりチェックがすすんでいますが、耐震性能について、建物によっては、倒壊しない、というだけでその後の使用について制限を受けるケースがあります。
自社からの距離やアクセスについては、よく考慮されますが、地盤や環境についても考慮が必要です。ポイントは「災害を受けにくい立地か」、です。
近隣に活断層があると直下型地震による被災の確率が高くなります。
海岸線からの距離が十分にないと、地震時に津波被害の可能性があります。
台風や大雨等、水害の可能性があります。
災害時に液状化した場合、データセンターは無事でも、データセンター側の要員補充や自家発電用燃料補充が利かない恐れがあります。
航空機からの落下物による被害、墜落事故による災害の可能性があります。
繁華街近くは不審者等の発見遅れや思わぬ事件、事故に巻き込まれる可能性があります。
この話題はよく議論されますが、実際にはその利用目的と利用方法によって結論を導く事が重要です。また、一般的に都心のデータセンターはその地価から割高感は否めません。
自社のマシンルームの代替に設置場所として単純に利用するのであれば、近い方が良いケースもありますが、災害対策などで、エリア分けによるリスク分散を考えた場合には離れていた方が良いと言えます。
実際、データセンターには、導入移行期間はセットアップ等で出向く事があっても、実運用に入れば実際に出向いての作業はあまりありません。これは、ほとんどの作業が、ネットワークを介して行うことが可能だからです。但し、大型プロジェクト等で、半年~1年かけて移行等を行っていくケースは、その間はある程度の割合で出向く事がありえるので、アクセスに便利な都市近郊型のほうが使い易いと言えます。
お客様の多くはアウトソーシング戦略の一環でデータセンターを利用するケースが多いので、運用サービスが充実したデータセンターを選択する関係上、「遠い」と感じない程度のデータセンター(通常交通手段で1時間以内)であれば抵抗無く利用しているのが現状と言えます。
(次回に続く)