携帯端末がアクセスポイント替わり…ネット利用が広がる 「デザリング」
「デザリング」(Tethering) とは、無線アクセスによって ネット に接続したスマートフォン (スマホ) やタブレットなどの携帯端末を外部モデム (アクセスポイント) として利用し、それ以外の携帯端末、携帯ゲーム機、ノートパソコンや情報機器などを、電話回線を通じてネット (インターネット) に常時接続させることです。 つまりスマホを親機、他の端末を子機として、ネットにつなぐイメージです。
接続方法には 無線LAN (Wi-Fi) や Bluetooth (BT/ 短距離無線) によるコードレスな無線方式の他、USB によるケーブル接続方式などもあります。 なお Tethering は、範囲や繋ぎとめるといった意味の英語 Tether 動名詞形で、繋ぐ、拘束するといった意味になります。 テザリング、テザー機能とも呼びます (本来はこちらが正しい/ 後述します)。
「テザリング」 と 「デザリング」、「テ」 と 「デ」 で話題に
ところで英語の Tether を普通にカタカナにすると 「テザー」 に、Tethering も普通は 「テザリング」 となるはずです。 「テ」 と 「デ」 では似ているようでだいぶ違いますが、これは初期の頃から誤記されたデザリングとして紹介されるケースが多く広まっていたこともあるのですが、ネットの界隈では2011年からむしろ、デザリング表記の方で急拡大することとなっています。
これはひとつには、日本国内で最初の WiMAX 対応 Android スマートフォン、「htc EVO WiMAX ISW11HT」 を投入した au を持つ KDDI が、同年2月21日に 「デザリング」(他にも Wi-Fiデザリング、デザリングケータイ、デザリングスマフォン など) をまとめて商標登録していたとの話題があり、「デザじゃなくテザだろ」 とのツッコミが、端末の発売・サービスの開始と同時に一部で盛り上がったことが影響しています。
この時は、「デザリング」 関連用語を登録した後に、改めて 「テザリング」 という言葉も商標登録しており、「テとデを間違えたのかよ!」「念のため、似た名称もまるごと押さえる防衛目的の登録では?」 などと様々な憶測を呼び、一部では面白おかしく語られることとなったからなのでした。
ケータイ + モバイル Wi-Fi ルーター よりお得で便利に
似た接続方法に、モバイル Wi-Fi ルーターを使って外部端末のインターネット接続を行う方式もあります。 これに対しスマホ一台で全てが終わるデザリングは、携帯電話とモバイル Wi-Fi ルーターを2つ持つ方法よりも便利で、しかも経済的でもあります。 NTTドコモ、イー・モバイル、au などの各携帯キャリア企業がデザリングを行えるスマートフォンの機種とサービスプランを提供することにより、日本でも急速に普及しつつあります。
ところで日本でもっとも人気があり普及しているスマートフォンは iPhone シリーズですが、iPhone OS Version 3.0 で USB接続 および Bluetooth での接続、4.2.5 で無線LANによる接続がサポートされているものの、日本側でサービス提供を行なっているソフトバンクがデザリングサービスを行なっていないため、利用することができなくなっています。
こうした接続サービスによるデータ転送は、便利な一方、サービス提供する側からすると、電話をかける、DLしたアプリを楽しむなどに比べるとデータ転送量が多くなりがちで、通信を占有し帯域を圧迫したり、新たな設備投資が必要など、コストがかかる問題点があります。
他のサービスプランとの料金の兼ね合い、顧客囲い込み戦略などもあり、各キャリアによって対応はバラバラとなっていますが、利用する方としては、好きな携帯キャリアで、好きな機種で、自由に選べる選択肢が増えて欲しいと願いますね。
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