党政権になって2年が経過して、なぜか、財務省の存在が異常な
ほど目立つようになっています。
夕刊フジに『鈴木棟一の風雲永田町』という政治コラムがあり
ます。鈴木棟一氏は毎日新聞の政治記者出身の政治評論家です。
このコラムの4328号(2011年11月10日付)に興味あ
る話が出ています。
11月8日(火)のことです。財務事務次官の勝栄二郎氏が自
民党の谷垣総裁を訪ねたというのです。勝事務次官は「呼びつけ
の勝」といわれるほど、誰でも呼び付けて命令する人として知ら
れており、本人がわざわざ出向くことは珍しいことです。
自民党の谷垣禎一氏は小泉内閣時代に財務相を経験しており、
勝事務次官とは旧知の間柄です。そのときの勝事務次官の用件は
次のような要請だったのです。
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野田首相が消費税引き上げを決断したので、自民党はぜひ協
力をお願いしたい。 ──勝財務事務次官
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勝事務次官は、そのとき自民党は2010年の参院選において
「消費税10%」を掲げて戦っており、消費税の引き上げには賛
成のはずだといって谷垣氏に協力を迫ったといいます。
これに対して谷垣総裁は「民主党は消費税増税をマニュフェス
トに掲げていない」といって反対したのです。谷垣氏は次のよう
に述べています。
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2年前の衆院選で民主は300議席、自民は100議席。ウソ
のマニュフェストで民主が圧勝し、自民は死屍累々だ。この怨
念が残っている。自民党の協力を求めるなら、改めて消費税増
税を看板にして選挙すべきだ。あなたは野田に選挙をさせてほ
しい。協力するのはそのあとだ。私を甘く見ないでほしい。
─「鈴木棟一の風雲永田町」
2011年11月11日付夕刊フジ
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勝事務次官が野党第一党の党首を訪ねて、それが増税の件であ
るとはいえ、民主党の政策の根回しに動くというのは、異例のこ
とであるといえます。野田政権がいかに財務省主導の政権である
かの証明でもあります。
財務省主導といえば、こんな話もあります。野田佳彦氏が首相
に指名された8月30日のことです。財務省主計局から各省の会
計課に次のような内々の指示が出されているのです。
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来年度予算の概算要求の作業を急ぐように
──財務省主計局
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いうまでもなく予算案は各省がどのような政策を行うかの基本
になるものです。しかし、この指示は本来とんでもないことなの
です。なぜなら、野田氏は首相に指名されたものの、各省の大臣
はまだ決まっていなかったからです。
勝事務次官は、大臣なんかどうでもいいから、役人だけで予算
を作ってしまえと命令したことになります。野田氏は財務副大臣
のときから何かと面倒をみてきているので、勝事務次官としては
自分が野田氏を総理にしてやったぐらいに考えていると思われま
す。彼にとって首相もひとつのコマに過ぎないのです。
財務省にとって「消費税増税」は悲願なのです。1989年に
竹下内閣で消費税が創設されたときも大変でしたが、1997年
に橋本内閣で税率が3%を5%に引き上げられたときも、直後の
経済低迷で経済失政との批判を受け、橋本内閣は参院選で大敗し
小渕内閣に代っているのです。
消費税率が5%になってから14年が経過しています。財務省
としてはどうしても税率を上げたいのです。そのためには「増税
やむなし」の環境を作る必要があります。そうしているうちに、
2011年3月に東日本大震災と福島原発事故が起きたのです。
財務省はこの震災ですら利用して、増税キャンペーンを展開して
います。キャンペーンの訴求ポイントは次の3つです。
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1.日本の財政は危機的状況にある
2.復興には増税以外の方法はない
3.社会保障の財源がピンチである
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こんな話があります。2011年3月13日のことです。菅直
人総理と自民党の谷垣総裁が復興増税について話し合っているの
です。大震災の2日後のことであり、多数の死者が出ると予想さ
れており、総理と野党第一党の自民党の党首が会って話すことと
いえば、超党派で被害者の救命・救援対策を練ることであり、直
ちに着手すべきことが多くあったはずです。
しかし、そのとき2人が話し合ったのは「震災増税」の話だっ
たというのです。ここにも財務省の影があります。肝心の復興構
想会議がスタートしたのはそれから1ヵ月以上経過した4月14
日のことだったからです。1923年9月1日に起こった関東大
震災のときは、その翌日に帝都復興院の設立が検討され、同じ月
の27日には帝都復興院は設置されていたのです。
さらに5月30日には、内閣府と財務省はある報告書を作成し
それを基にして、社会保障と税の一体改革を検討する政府の集中
検討会議の討議を本格化させています。震災対策、復興対策そっ
ちのけで増税に関しては、他の問題に優先して着実に討議を進め
ているのです。
けしからんのは、財務省の増税キャンペーンです。明日からは
そのキャンペーンのウソについて徹底的に検証していくことにし
ます。 ── [財務省の正体/07]
≪画像および関連情報≫
●財務省による「増税キャンペーン」
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日本は、1000兆円の負債を抱え、国民一人当たり800
万円の借金を抱えている――。財務省はメディアでしきりに
こう喧伝するが、「実際に財務省でその係」だった著者によ
れば、それは一面的な事実でしかない。「財務省がいうこと
は、発言の範囲では嘘はありません。ただし、全部はいわな
いのです。都合の悪いことはいわないでおくのですが、嘘は
ついていない。立派なものです。財務官僚たちが、あえてい
わない「都合の悪いこと」とは、特別会計の実像であり、そ
のさきにある特殊法人、つまり、天下り制度のカラクリであ
る。そのために彼らが使う強力な武器は、数字だ。したがっ
て著者もまた、類稀なる数字のセンスを駆使し、建国以来初
めて国家財政を「バランスシート」に載せるシステムを構築
した。結果、国民の前に浮かび上がったのが、計18種類も
ある特別会計の不可思議な実態と「埋蔵金」の存在である。
http://asahisyougun.iza.ne.jp/blog/entry/2167898/
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谷垣自民党総裁と勝財務事務次官