増嶋　プロ初の２発　柏　今季リーグ初勝利

　今季リーグ戦初勝利が決まると、柏ＤＦ増嶋は両手を天に突き上げて喜んだ。「まさか自分が２点取るとは…」。ヒーローは驚いたが、独壇場での大活躍だった。

　１点を追う後半３６分。ＭＦレアンドロのＦＫに、ゴール前で競り合った増嶋は態勢を崩しながらも、目の前のこぼれ球を右足で押し込む同点弾。Ｊ１での得点は、甲府に在籍していた２００７年９月２２日の広島戦以来、実に１６４５日ぶり。その５分後に、今度は左サイドからのＭＦレアンドロのＦＫに合わせ、ニアに走り込んでヘッドでの逆転弾。増嶋はプロ初の２得点で、柏に大きな１勝を運び込んだ。

　「２得点は高校生（市船橋高）以来かな。１点目はよく覚えていない。２点目は練習通り。内容が良くない、難しい試合をセットプレーで勝つのは、強いチームにはあること。それができてよかった」。柏屈指のイケメンは、安堵（あんど）の笑みを浮かべた。

　実は背水の陣だった。昨季途中からセンターバックの定位置を獲得したが、今季はアテネ五輪代表ＤＦ那須が加入。故障欠場のＤＦ近藤に代わって出場機会を得た那須は、出場２戦目のＡＣＬ・全北現代戦（２１日）でゴールを決め、能力の高さを見せつけている。

　「近藤さんも帰ってくるし、那須さんもいいプレーしてるけど、昨年ポジションを取って、優勝した自信が僕にはある。簡単にポジションは渡さない」。端正な顔立ちの男は逆転勝利の喜びの中、定位置死守に強い決意を示した。　（相原俊之）