野田佳彦首相は24日、消費増税法案の今国会成立に「政治生命を懸ける」と強い決意を示し、自ら退路を断った。しかし、民主党内の事前審査で小沢一郎元代表ら慎重派は抵抗を続けており、了承を取り付けるめどは立たない。法案の今国会成立にも野党の協力が必要で、二重のハードルが首相を待ち構えている。首相発言により民主党内の慎重派が反発を強めるのは必至で、遅くとも30日の閣議決定をにらみ、党内の攻防は緊迫してきた。
民主党の輿石東幹事長は24日夜、訪問中の中国・北京市内のホテルで、同行記者団に対し、首相発言について「政府も党も一日も早く法案を成立させたいという気持ちに変わりはない」と強調。年度内の法案提出についても「首相も不退転の決意だから、ぜひまとまってほしいし、まとめることができる」との見通しを示した。
輿石氏は増税法案に関する党内議論を慎重に進めるべきだとの立場。それでも、首相発言に沿った見解を示したのは、早期の衆院解散・総選挙だけは避けたいとの思いがあるからだ。自民、公明両党は増税法案に関し早期の衆院解散・総選挙を求めており、増税実現にこだわる首相が衆院解散に応じれば、政権を失いかねないとの懸念がある。
首相は核安全保障サミットから帰国後の27日夜に、社会保障と税の一体改革調査会などの合同会議に自ら出席し、了承を取り付けたい構えだ。しかし、国民新党の亀井静香代表も増税法案の閣議決定に反対姿勢で、月内の法案提出に向け首相に残された時間は少ない。
首相は24日の講演で「一番やりたいことは、先送りする政治との決別だ。一体改革は決断する政治の象徴的なテーマだ」と訴えた。景気悪化時に増税を停止する弾力条項を巡り、民主党執行部は修正案を26日に提示する。首相の決意表明を受け、執行部が強硬姿勢を迫られる可能性もある。【須藤孝、北京・高橋恵子】
毎日新聞 2012年3月24日 23時55分(最終更新 3月25日 7時30分)
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