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社会

東日本大震災がれき 県が市町に受け入れ要請へ 

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 兵庫県は22日、東日本大震災で発生したがれきの広域処理について、4月上旬に県内の市町に受け入れを要請することを明らかにした。がれき焼却後の埋め立て地は、県内34市町が参加する「大阪湾フェニックス計画」の神戸沖が有力視されているが、放射性セシウムが水に溶けやすいなどの課題が残る。県はまず、陸上の埋め立て地を持つ市町に要請する。

 国は3月16日、文書でこれまで受け入れを表明していない道府県と政令指定都市に要請。兵庫など2府5県でつくる関西広域連合は、がれきの放射性セシウム濃度を国よりも厳しく設定した受け入れ基準を取りまとめ中で、25日に正式決定する見込み。

 県はこの基準を基に4月上旬、市町の幹部を集め受け入れを要請する。陸上の埋め立て地は県内に35カ所あり、自治体や一部事務組合が管理している。県環境整備課は「各自治体とも埋め立て地に余力がなく、住民への説明も必要になると思うが、時間をかけて理解を得ていきたい」としている。

【県内市町二の足】

 東日本大震災の被災地で出たがれきの受け入れに向けた動きが全国で加速する中、兵庫県内の市町からは「同じ被災地として力になりたいが、住民に説明できる材料が乏しい」「受け入れる余力がない」などの本音や苦悩が漏れる。

 広域処理は、宮城県19年分、岩手県11年分のがれき計約2045万トンのうち約401万トンを、被災地と沖縄県を除く都道府県で分担処理する国の計画。放射性物質への懸念から東京都など一部でしか進んでいなかったが、野田佳彦首相が震災から1年を経て追加支援策を発表。文書で受け入れを要請したこともあり、静岡県島田市など各地で受け入れに向けた動きが広がりつつある。

 22日、県は市町の担当者を集めた協議会で、陸上埋め立て地を優先して要請する方針を伝えた。会議後、姫路市の担当者は「市内に陸上埋め立て地はあるが、受け入れについては住民との調整が必要」と慎重な姿勢。篠山市も同様に「がれきがどういう形状で、どのように運ばれてくるのかなど、市民に説明できる材料が少ない」と難色を示した。

 明石市は、市内の埋め立て地で受け入れた場合、「市の廃棄物処分計画に狂いが生じる」と指摘。一般廃棄物の焼却灰は市内の埋め立て地と神戸沖の2カ所で処分している。担当者は「海面埋め立てができず、陸上だけで受け入れた場合、計画より早く満杯になってしまう」と懸念する。

 阪神・淡路大震災では、兵庫県内のがれきの約1割を県外で処理した。広域処理について、神戸市にはこれまで「市民は震災を経験した。今こそ恩返しすべきだ」との賛成意見が58件、放射性物質の拡散を懸念する反対意見が129件寄せられている。可燃ごみの全量を神戸沖に埋め立てている同市は「被災地の力になりたいが、海面埋め立ての安全基準が示されない限り、動きようがない」と環境省に対し、対策を示すよう求めている。(上田勇紀)

(2012/03/23 10:43)

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