日記・コラム・つぶやき

どうこつぼつ

Dscf0003 去年の母の日に「いちもく」から届いたガクアジサイが、今年も見事に咲いた。去年と同じブルーで大輪の花をつけた。「いちもく」に感謝!

 今ではしっかりキャリアウーマンしてるけど、小さい頃はいろいろと、おもしろい子であった。その一つ、小学校5年の時の話。
 「母ちゃん 友達とナンバヘ遊びに行ってきてもいい?」と、聞いてきた。学校の規則では、友達同士で校区外へ遊びに行ってはいけない事になっている。ましてや、繁華街などもってのほかなのだが、そんな事、いちいち守っていては冒険などできやしない。
 「いいよ、行っておいで。」と、親もいいかげんなものである。

 「ナンバのどこへ行くの?
 「どうこつぼつ」
 「どこ?」
 「どうこつぼつ や」
 「どうこつぼつ?何それ、どこにあるの」
 「くいだおれ人形のあるとこやんか、母ちゃん知らんの?」

 一瞬の後、「アーッ ハッハッハッ。あんた、それ、道頓堀っていうんや。アーッ ハッハッハッ。あー おかし、涙出てくるわ。」と母ちゃん大笑い。
 「いちもく」平気な顔して、「ふーん、あそこ、どうとんぼりっていうのか、どうこつぼつって思ってたわ。知らんかったなぁー。」だって。あー 我が娘ながらなんという天然ぶり。ほんまかいなと思わせる、この語学力!
 かくして、「いちもく」の前途は、理科系に活路を求めるしかなかったのである。

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新車 買いました

Dscf0001 新車を購入した。宅配を始めて3台目になる、三代目ちゃんだ。今まで乗っていたのと同じスズキのエブリィ。二代目はタイヤがツルツル状態なのと、クーラーの効きが悪いのとで、車検まであと半年ばかり残して、思い切って買い換えた。

 三代目はキーレス・エントリーにしたので、マンションへの配達など、車から離れる時のロックが簡単でとても便利だ。
 FM放送が入るので、うれしいのだが、私の配達エリアの条件が悪く、常にザーザーと雨降り状態で、逆にストレスになっている。
 運転席と荷台にカーテンをつけて空調効率を良くした。これから夏に向けて運転席はクーラーがよく効いてルンルンだが、その分荷台は暑かろうなあ。生ものなど、なにか対策を考えないと、傷んじゃうよ。気が張るこっちゃ!

 それにしても、我が二代目には本当にお世話になった。思えばこの愛車と過ごした5年半、色々な出来事が私の身にふりかかってきた。
 長女「いちもく」の大学卒業、就職、そして結婚。次女②の養護学校卒業、就労訓練施設入所、寮生活の開始と、まあ、これまでは、子供の成長、巣立ちなんだけど、辛かった事は、「まるか」のおっちゃんの心臓病発症、1ヶ月にわたる入院生活。家の売却、2度の引越し、と数えあげればきりがない。

 こうした色んな出来事の間も、我が二代目はよく走ってくれた。まるで忠実な下僕のようについてきてくれた。
 しかし、もうお別れだね。ほんとにありがとう。
 思えばこの車は私の身に起きた喜怒哀楽をつぶさに見てきたのだ。この車は私が泣きながらハンドルを握って走ったことも知っている。
 ありがとう 二代目。ありがとう。

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次女はダウン症

Dscf0003  20才になる次女の②はダウン症である。今は、障害者のための職業訓練施設で、寮生活を送っている。帰宅するのは月に一度、土日にかけて帰ってくる。

 その②を連れてスーパーヘ買い物に行った時の事。買い物を終えレジヘ行った。するとレジの係りの若い店員が、私の横に立っている②をしげしげと見つめた。さらに品物を一点々入力する毎に、振り返って②を見るのだ。買い物の数は少なかったが、清算が終わってもレジ袋をカゴに入れるのを忘れる程の見つめようだった。ずいぶん失礼な店員だなと思ったが、話をするのもいやだったので、隣のレジから袋をもらった。

 関西の中堅どころのスーパーである。大勢の買い物客の中には、障害児・者やその家族が多々いることだろう。その店員が、自分とは違うからといって、障害者を奇異な目で見るのは、あまりにも心無い態度だ。これからは、障害者もどんどん社会参加していく時代、どうぞ温かい目で見守ってください。

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まるか激怒の巻

Dscf0002  トルルル~、トルルル~、おっと、まるかから電話だよ。「もしも~し。」いけねぇ、トンネルに入っちゃう。「もしも~し。」「今、何時だと思ってんの・・・プッツン。」やばぁー。
 やっと、トンネルを抜けた。
 トルルル~、トルルル~、「はい、はい。」
 「今、何時だと思ってんの!何やってんだい。今、どこだよ!」関東生まれのまるかは、怒ると関東弁になる。ひとり言。『何やってんだって、釣りやってたんじゃ。メバルの夜釣りだから、遅くなるって言っといたやんか。』 ブツブツ・・・
 「12時過ぎて、電話もかけられないのかよ!」まるかのおっちゃん、えらい剣幕で怒っている。時計を見ると午前0時30分だ。
 「ごめんなさぁ~い。もう少しで家に着きます。」
 「酒、ないで。」(これは私のお酒、まるかは日本酒が飲めません。)
 「はぁ~い。買って帰りまぁ~す。」(怒ってても、やさしいやんか。)

 その日は最初からメバルをねらおうと思っていたので、遅くなると言って家をでたものの、午前様は、ちと遅すぎた。早めに電話一本入れとけば問題なかったのだが、釣ってる時は夢中になってるから、そこまで気が回らない。気がついた時は12時過ぎていた。もし寝てたら起こすのも悪いと思い、電話しなかったのだが、敵は、心配して、ずっと起きていたと見える。すまん。すまん。
 そのかわりと言っては何だが、いただきもののハネ(あ~ぁ、早く、自分で釣ったのを持って帰りたいなぁ。)と、こっちは正真正銘、自分で釣り上げたメバルを持ち帰るだよ。ハネは刺身とアラ煮。メバルは煮魚と干物にしよう。なっ なっ おっちゃん。

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ミディ胡蝶蘭

                     Dscf0006 母の日に「いちもく」からお花が届いた。ピンク色した『ミディ胡蝶蘭』だ。このお花、今年の流行らしく、私の配達荷物にもいくつかあった。それらの荷物より一回りも大きな花で、「いちもく」奮発したようだ。それはそれでわかるんだけど、じつは、前もって「いちもく」から、胡蝶蘭を贈ると知らされていたので、私は、てっきり、真っ白の超豪華な大輪の胡蝶蘭を想像してたもんで、正直なところ、ちょっと拍子抜けした。スンマセン。

 次からは、「お花を送るよ」だけの方がいいかもね。そうすればミディでも、「わぁ、胡蝶蘭だ。すごーい!」と言う事になって、株がグンと上がるのでは・・・・。
 「フン、来年は誰が送ってやるか、せっかく送ったのにケチつけられて。結構高かったんだぞー。」という「いちもく」の怒りの声が聞えてきそうだ。

 そうそう、ガクアジサイの蕾が、ますます大きくなってきた。いつ咲くのか、これも楽しみだ。

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メバルちゃん来週まで待ってろよ

 Dscf0003 職業訓練施設で寮生活をしているダウン症の次女②が、連休で帰宅中の日曜日、久しぶりに二人で浜へ行った。サビキでアジでもきてくれたらと期待しての浜行きである。
 道中、食堂の看板を見て②が、[和食さと」と言ったので、「へぇー、和食なんて読めるの、すごいなぁ。」とほめると、「ウン、読めるよ。」と、うれしそう。「それじゃ、和食の反対は何かわかる?」と聞いてみる。洋食っていうかな、それとも好きな中華かな。②すかさず、「ショクワ!」と返してきた。お見事!

 さて、浜では、師匠をはじめ、いつもの面々がたむろしている。「コンニチワ、今日はどうですか?」 「今日はあかんわ、朝から何も釣れてへんねん。せっかく②ちゃん来たのになぁ。」と、師匠も残念そう。それでも、師匠 ②のためにサオを用意してくれていた。のべ竿に棒浮きをつけただけのごく軽いものである。これなら②にも簡単に扱えるだろう。期待薄ながらも、エサのシラサエビをつけて、釣り始めた。案の定さっぱりアタリがない。
 しばらく続けたが、どうにもダメなので、ここで昼めし。途中のスーパーで買っておいた、冷やし中華と鉄火巻を②に食べさせる。
 その間も私は、ずっとハネねらいだがサッパリだ。エサを撒き散らしているだけ。食事を終えた②も再挑戦してくるが、あいかわらずシーン。その内二人とも集中力が切れて、ボンヤリしてくる。

 と、いつものギャラリーのおっちゃん「②ちゃん、②ちゃん、ひいてるで。はよサオあげなあかんがよ。」 よそ見をしていた②はあわててサオを上げた。やれやれ、ようやく一匹きました。例のタナゴちゃんです。なぁーんだタナゴか、とおもったけれど、「すんごーい!②やったね。大きいやん。」と、それはそれは大仰に驚いてやった。
 周りのギャラリーも「②ちゃん、上手やなぁ。」と同調してくれている。②さん鼻高々である。タナゴに続きメバルまで上がってきた。
 調子に乗った②は、アタリのないハネと格闘している私に向って、「かあちゃんなにしてんの。しっかりがんばりや。」と、ほざきやがる。こんちくしょう、こっちは60cmのハネをねらってんのじゃ、たかだか15センチのメバルとはチョットわけが違うのじゃ、と、ひそかに舌打ちするも、確かに釣れてないんだからしょうがない。「はぁーい、がんばりまぁーす。」

 こうなったら何か釣らないと格好つかないと思い、ハネをあきらめメバルにきりかえた。時刻も夜釣りに入って、頃は良しだ。まず、船の横方向にサオをなげる。しばらくおいて、アタリがないと、ゆっくり横に流してさそいをかける。すると、サオ先にゴンゴンとアタリがくる。そのままサオを正面まで持ってきてスッとあげると、ちゃんとメバルが針にくっついている。これはおもしろい。3回に2回はあげられる。

 夢中になり始めた頃、②が「かあちゃん、ティッシュ。ウンコ、ウンコ。」と、泣きそうな声。あわててトイレにはしった。下痢しているようだ。そういえば、さっきから何回もトイレに行くなぁと思っていた。お昼に食べた鉄火巻が悪くなっていたのかな、しばらく車の中にほおっておいたからなぁ。幸い、おなかは痛く無いと言っているが、下痢とあらばいたしかたない。今回はこれまでとしよう。
 海の中で釣り上げられるのを待っているメバルに、来週迄まってろよ、と脅しをかけておいて、早々にひきあげた。幕。

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タナゴちゃんゴメンナサイ

 Dscf0001 先日、背負って帰ったタナゴのその後。
 
 タナゴという魚は、なかなか興味深い魚である。
 浜の連中は、たった一人を除いて、全員が「なんや、タナゴか」と見向きもしないのであるが、ここに一人、『サビキの帝王』と呼ばれる、じっちゃまがいて、サビキ釣りをさせたら右に出る者はいないという名人なんだが、このじっちゃまが言うには、「タナゴは身がやわらかすぎると、皆嫌うけどな、いっぺん冷凍するとええんや。冷凍したら身が締まる。それから、たいたらええんや。けっこう、いけるで。」なんだそうだ。
 それじゃ、これだけ釣った事やし、やってみるかと、冷凍する前に、ワタを抜いた。すると中から1㎝程の小さな魚がウジャウジャ出てきた。目の所が黒く点になっていて、透明な小魚である。なんじゃ、これは。エサかな?どうも違うようだ。子供かな?まさかね、とマルカのおっちゃんも不思議がっている。何だかわからないけど、まあいいやとワタと一緒に捨ててしまった。

 翌日、インターネットで調べてみると、わかりました。やっぱり、あのウジャウジャは子供でした。胎生魚といって、お腹の中で孵化する種類の魚だったのだ。逆子でうまれてくる事もあることから、山陰地方の一部では、妊婦がタナゴを食べると逆子が生まれると、忌み嫌われたり、一方、東北地方では出産の縁起物として喜ばれているそうだ。(http://kensui.on.arena.ne.jp/index.htm)
 また、例の腹の中の子は、わざわざ取り出して、酢の物にして食べるという剛の者もいるという。(http://www.zukan-bouz.com/index.html)
そんな事知っていたら捨てずにおいとくんだった。チョット食べたい気がするもんね。それにしても、あっちでは嫌われ、こっちでは喜ばれて、なんやちゅうねんって言いたいだろうな、おまけに子供まで酢の物にされて、タナゴという魚はほんとに忙しいヤツだね。

 さて、実際に煮魚にして食べたタナゴのお味は、 ウーン・・・。釣れてくれたタナゴちゃんの悪口をいうわけではないけれど、これといって特徴の無い味。小骨が多くて、是非また食べたいとは思えませんでした。タナゴちゃんゴメンナサイ。

 

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綱引きはダメよ

Dscf0005 2時頃から釣り始めた。昼間は期待薄なのはわかっていたが、たまに釣れる時もあるというので、サオをおろした。案の定、全然あたりがなく、うんざりしていたら、ウキに小さなあたりがあった。合わせると、これがタナゴ。普通なら捨てられる運命にある魚だが、まるっきりボウズで帰るのもシャクだし、何でもいい釣った証拠に持って帰ろうと、網に入れて海に沈ませた。とりあえずボウズはまぬかれたし、ゆっくりハネをねらうとするかとサオを出すと、何と、次から次へタナゴのオンパレード。14~15匹も釣っただろうか、今度は小粒ながらメバルもいらっしゃった。メバルは大歓迎なので、タナゴはもういいや、と思ったらタナゴに聞えたらしく、ぱったりとあたりが止まってしまった。

 隣では、浜で知り合いになったおっちゃん二人が、サビキでアジを上げている。15cmぐらいの良い型のアジだ。いいなあ・・・だが待て待て、人のアジを羨ましがってはいけない。時刻もそろそろ夕まづめ、ハネがきても良い頃だ。がんばろう。人のアジを横目に見ながら約30分、そして、ついにきた!私のウキがポンと大きな輪をかいた。きたぞ。ウキがゆっくり沈み始めた。これは大きい。師匠に教わった通り、つーッと一呼吸して「エイッ!」。重い。思わず足がよろけた。後でギャラリーが叫ぶ。「あぶない!落ちるで」。おっとっと。私は踏ん張り、落水を免れた。
 先週の事があるから、サオを前に倒して糸をゆるめてはいけない、とそればっかり思いつめて、サオをしっかり握り締めた。魚は、外へ向って逃げようと、前へ走る。私はそうはさせじと、思いっきりサオを立てた。その瞬間、プツッ!・・・。糸が切れて、お魚とはバイバイ。あーあ・・・。
 「今のは何で切れたか、わかるか?」とさっき「あぶない」と叫んだおっちゃん。
 「いいえ」
 「わし、横で見てたけど、リールを巻いてサオを立てたやろ。それが悪かったんや。ええか、あんな時は、ガイドをゆるめておいて、魚の行く方向へ傾けて糸をだしてやるんや。そして魚が疲れるまでやりとりするんやで。魚と綱引きしたらあかん。」
 「そーなんやー。」勉強になりました。

 師匠もなぐさめのつもりか、このようにのたまわれた。「かえってバラしたから良かったんです。何回も失敗して上手くなっていくんです。いいですか、ハネ釣りは、バラしたりする事は熟練者でもしょっちゅうです。その方が多いんです。だから気にしなくて良いです。何回も失敗して、コツを掴んでいくんです。大丈夫、あんたはここへ来る度に上手くなっています。必ず釣れます。」
 「師匠、ありがとよ。だけど、オイラにはなぐさめはいらねえよ。そのうちに、きっと60㎝クラスお見せするぜ。それまで達者でな、アバヨ。」
 かくて、さすらいの釣り人は、タナゴを背負って淋しく去っていくのであった。完。

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かに おうえり したさい

Dscf0012去年の母の日に、「いちもく」から届いたガクアジサイが、今年も一杯花芽をつけた。今から咲くのを楽しみにしている。うれしいなぁ。
 そういえば、「いちもく」、四月にアメリカへ、会社から研修旅行に行くとメールがあったが、もう行ってるのかなぁ。出発する時ぐらい連絡しろよな。

 その「いちもく」、今では研修旅行だの、なんちゃらいうプロジェクト・チームの一員に抜擢されたのと、結構ガンバッテるようだが、子供の頃は、おもしろい子だったんだよ。
 「いちもく」の小さい頃はお風呂の無い家に住んでいて、親子四人、夕方には近所の銭湯へ出かけたもんだ。20年前の銭湯には、今のような平べったいヘルスメーターなどはなく、台秤というもので体重をはかったものだ。台の上にドーンと乗ると、ガチャガチャと大きな音がして、メーターの針がビョンビョンと動き、自分の体重を表示するというもの。

 「いちもく」その秤に乗って何やらブツブツ言っている。よく聞くと、その秤の柱に貼ってある注意書きを読んでるようだ。
 「かに おうえり したさい。」なぬ?そこにはこう書いてあった。「静かにお上り下さい。」
 一年生だもんな。「静」はまだ習ってなかったんだよな。
 

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またしてもハネに逃げられた

Dscf0001 あー 私は何という事をしてしまったのだ。不覚にも、またお魚ちゃんに逃げられてしまった。あー。
 思えば苦節4ヶ月。雨にも負けず、風にも負けず、粉雪舞い散る雪の日にも寒さにガタガタ震えながら頑張ってきたというのに、・・・グヤジィーッ!

 夕方から釣り始めた。「今日は私のサオを使いなさい。」と師匠が用意してくれていたので、借りる事にした。しかし、いくら名人のサオでも釣れない時は釣れないものだ。2時間程浮きとにらめっこしていたが、浮きはピクリともしない。薄暗くなって、雲行きもあやしくなり、雨がポツポツとおちてきた。やっぱり今日もダメだったな、もう止めようと、残りのエサをポンポン撒き始めたら、それが良かったのか、アタリが来た!
 「おっ、入った。」師匠の声。「うわっ、どうしよう。」感激やらとまどいやらでオロオロしている私。「はい、合わせて。」師匠の声。「エイッ!」とサオをしゃくり上げた。
 さすがにハネの手応えは大きい、体長10cmのメバルの比ではない。「ウーン重い!」と思った瞬間、ハネは外に向って走り出した。ものすごい力である。サオはと見ると、グニューンと曲がっている。今にも折れそうなのだ。
 「ウワッ、たいへん!師匠のサオが折れてしまう。」思わず私はサオを魚の走る方向に水平に下げてしまった。その途端、サオはスッと軽くなった・・・・・。
 「バレたか。」師匠の声が、呆然自失の私の耳に虚ろにひびいた。「ぢぎじょうー。」
 「サオをたおすと糸がゆるんで、魚が逃げてしまうのです。初心者がよくやる事です。ドラグをゆるめてあるから、直角にでもしない限り、サオは折れません。」そうは言っても師匠のサオだよ。折れたら大変じゃない。気を取り直して、またサオを出す。5分もしない内にまたアタリがきた。「よし、今度こそ。エイッ。」スコーン!「ちょっと合わせが遅かったな。」
 ではもう一度挑戦だ。また浮きが沈んだ。「エイッ。」スコーン!「今度は早すぎたな。」 何だ、何だ、そこにいるのは判ってんだ。一匹ぐらい出てきやがれ。

 その頃には雨が本降りになり、服はボトボト。糸はサオにへばりついて出ていかない。周りはと見ると、真っ暗で誰もいない。それでもしつこくサオを出す。正に執念だね。そしてエサを変えようとリールを巻いたら、サオ先でボキッと音がした。「アッチャー。」巻きすぎて浮きがサオ先のガイドに当たり折れてしまった。師匠、ゴメン!最後の最後に師匠のサオ折っちゃった。
 こんな事だったら、折れてもいいから、魚が食いついている時に巻き上げるんだったよ。エーン。

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