高浜原発事故想定 放射性物質拡散予測 府内9市町 屋内退避
京都府は23日、関西電力の高浜原子力発電所(福井県高浜町)で福島第1原発と同様の事故が起こった場合の放射性物質拡散予測を全国で初めて公表した。屋内退避が必要になる地域は9市町に上り、範囲は50キロ以上離れた亀岡市や京都市右京区にまで及ぶ。国が予定する30キロ圏の重点対策区域以遠でも対策が求められる。
府が文部科学省に緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を使った予測を依頼し、同省が運用を委託している財団法人が風向や地形を基にして月ごとに24時間の累計被ばく量を試算をした。
放射性ヨウ素の拡散により、府内では2、3、5、9月に府の避難基準(500ミリシーベルト超)や屋内退避基準(50~500ミリシーベルト)に達する区域が9市町に広がるとした。
特に、北風の強い冬季の影響が大きく、2月は舞鶴、綾部市の一部が避難区域となり、屋内退避区域は2市に加え、南丹、亀岡市と京丹波町が含まれる。3月は京都市右京区や亀岡、綾部、南丹市が屋内退避区域に入る。
ただ、原発中心に92キロ四方までしか予測できず、2、3月はデータに示されていない府南部でも屋内退避が必要になる区域が出るのは確実という。
また、南東の風が吹きやすい9月には舞鶴市の大浦半島で5千ミリシーベルトという高い被ばく量が想定された。他府県では1月には高島市、2月には兵庫県篠山市も屋内退避区域に入ると予測した。
セシウムの拡散は「ヨウ素よりも重く、ヨウ素に比べ拡散量が少なかった」(府危機管理・防災課)として、府の避難基準(50ミリシーベルト以上)、屋内退避基準(5ミリシーベルト以上)を超える地域はなかった。
予測結果は府のホームページで公表する。
【放射性ヨウ素】 原発事故で放出される物質で、体内に取り込まれると甲状腺に集まりやすく、がん発生のリスクが高まる。府は累計50~100ミリシーベルトで屋内退避、100~500ミリシーベルトでコンクリート屋内退避、500ミリシーベルト超で避難と定める。安定ヨウ素剤の服用で被ばくを減らせるとされる。
【 2012年03月23日 23時35分 】
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