中国共産党が、指導部への忠誠を求める6項目の内部通知を党内各部門に出したことが分かった。重慶市副市長の米総領事館駆け込み事件で同市書記の薄熙来(ポー・シーライ)氏を解任したことを受け、党内で広がる動揺や反発を抑え込むための異例の指示。検閲や盗聴などの監視活動を強めることも盛り込まれている。
通知は、薄氏が解任された15日付で、胡錦濤(フー・チンタオ)総書記直属の秘書室に相当する党中央弁公庁から、政府や軍、大学などの党組織に出された。薄氏は党のトップ25人から成る政治局のメンバーを兼ねる高官であり、その突然の書記解任には一部の幹部の間で反発の動きがある。この広がりを抑え込み、政権の不安定化を避けようとの狙いだ。胡指導部が事態を極めて深刻に受け止めていることの表れともいえる。
通知は、今回の事件を「新中国始まって以来の複雑かつ深刻な事件」と位置づけた。そのうえで、薄氏の解任について「安定した改革と発展を進め、党と政府の尊厳を守るのに有益」と正当性を強調。「個人が党の力を超える独断専行をしない」とし、薄氏が指導部の路線と一線を画した独自の政治運動を重慶で展開したことを暗に非難した。