Posted on 19:39
準決勝:成田 修平(埼玉) vs. 高橋 優太(東京)
By Yuuta Okauchi
先週行われたグランプリ神戸。高橋は1勝足りず、ベスト8を逃した。最愛のデッキであるフェアリーを使い、ローウィンブロックが使える最後のイベントで、ベスト8を逃した。
負けず嫌いで知られる高橋が、このままで終わるはずがない。今、高橋の中のマジック熱はかなり高まっていることだろう。だから、今日、高橋はこの会場に訪れた。
マジック史上最も強い青黒の土地、《Underground Sea》を携えて。
Game 1
成田は7枚の初手を前に熟考。成田にとっては3回戦のリベンジマッチとなるこの勝負、半端なキープハンドでは戦えない。
結局、ワンマリガンの後、1ターン目
《Taiga》から
《Chain Lightning》を本体に撃ちこむ。
一方の高橋の1ターン目、
《思案/Ponder》でじっくりと時間を使い、しっかりと吟味をしたうえで3枚を積み、カードを引き、ターンを返す。
成田、
《稲妻のらせん/Lightning Helix》をプレイヤーに。
高橋、
《暗黒の儀式/Dark Ritual》《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》《水蓮の花びら/Lotus Petal》から
《むかつき/Ad Nauseam》をキャストする。
ライフは6まで減るが、マナ関連のカードしかめくれない。計算したうえで、必要と判断し、次のカードをめくる。
「引かれた」という成田の心の叫びが聞こえるようだ。結局、高橋が慣れた手順を間違えるはずもなく、高橋がストームを数え始めたところで成田がカードを畳んで1本目は終了となった。
成田 0-1 高橋
ドローを愛し、ハンデスを愛する高橋。3年前、グランプリ静岡で初優勝を飾った時も、高橋は
《思考囲い/Thoughtseize》で相手のハンドを暴き、
《祖先の幻視/Ancestral Vision》でカードを引いていた。その時から、いや、それよりももっと前から青黒というデッキカラーを愛する高橋。レガシーでも青黒のデッキを使うのはもはや必然といえるだろう。
今の高橋のライフを減らすのは、
《苦花/Bitterblossom》ではなく
《むかつき/Ad Nauseam》だが。
Game 2
《野生のナカティル/Wild Nacatl》でスタートを切る成田。一方の高橋は
《思考囲い/Thoughtseize》。成田の虎の子の
《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》を奪い取る。
叩きつけるようにドローをする成田。それは望んでいた2枚目の土地で、
《野生のナカティル/Wild Nacatl》を3/3に出世させつつ、2体目の
《野生のナカティル/Wild Nacatl》と
《密林の猿人/Kird Ape》を場に送り、一気にクロックを増加させる。
高橋は
《思案/Ponder》を唱え、3枚のカードを確認、ストームを数えるような仕草をするが、一気に仕掛けるようなことはせず、もう1枚
《思案/Ponder》を重ね、ターンを終える。
全軍突撃の後、
《タルモゴイフ/Tarmogoyf》を追加する成田。高橋のライフは残り6。とても
《むかつき/Ad Nauseam》は撃てそうにない。
事実上の高橋の最後のターン。
《暗黒の儀式/Dark Ritual》《水蓮の花びら/Lotus Petal》《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》からマナを生み、
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》を置いたうえで
《冥府の教示者/Infernal Tutor》から
《不正利得/Ill-Gotten Gains》をサーチ。
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》でライブラリトップを確認した後、
《不正利得/Ill-Gotten Gains》をプレイし、浮きマナ無しで再びの
《暗黒の儀式/Dark Ritual》。
成田の手札には、
《不正利得/Ill-Gotten Gains》で戻った
《精神壊しの罠/Mindbreak Trap》が。
成田 1-1 高橋
マナが足りていれば、
《思考囲い/Thoughtseize》を挟んでコンボを決めに行くことができた高橋。しかし、成田の回りはドローも含めて完ぺきに近いものであり、一手足りずの敗北となった。
高橋は、常にストイックに理を求める。絶望的マッチアップと言われた、自身初の構築イベントトップ8の日本選手権。『タルモラック』対『ピクルス』というどうしようもないほどの相性差の中、高橋は細すぎる勝ち筋を探していた。
今の試合も、もし時間があったなら、きっと試合終了後、勝つ可能性を模索していたことだろう。もし隣に山本 賢太郎(埼玉)がいたら、時間が許す限り、いや、いつまででも、感想戦を行っていただろう。
それが高橋優太であり、それが高橋優太のプロとしての姿勢である。
Game 3
後手の成田がマリガン。ある程度のクオリティで回れるハンドで良い高橋に対し、デッキ相性の悪い成田はテンパイに近い初手が求められる。結果、マリガンも多くなってしまう。
1ターン目のアクションはレガシーフォーマットを象徴するようなアクション。それぞれ
《渦まく知識/Brainstorm》と
《野生のナカティル/Wild Nacatl》。
続くターン、高橋は
《強迫/Duress》で
《Chain Lightning》を抜き、
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》を置いてターンを終える。この時点で、成田の手札に2枚目の土地はない。
しかし、成田はまたも2枚目の土地をトップデッキ。
《野生のナカティル/Wild Nacatl》は3/3となり、2体目の
《野生のナカティル/Wild Nacatl》が追加される。
《紅蓮破/Pyroblast》のための赤マナを立たせてターン終了。
ターンの帰ってきた高橋、相手の手札に未確認のカードが1枚もないことを確認すると、
《冥府の教示者/Infernal Tutor》で
《暗黒の儀式/Dark Ritual》を増やし、
《むかつき/Ad Nauseam》。
ここで、ギリギリのタイミングで
《不正利得/Ill-Gotten Gains》をめくることができるのが、プロだ。
定められた手順を、絶対にミスせずにこなすのも、また、プロだ。
成田 1-2 高橋
高橋が初めてプロツアーシーンに名前を刻んだ、プロツアー・サンディエゴ。決勝ドラフトで高橋がドラフトしたデッキは何色だったかなと、そこまで回想したところで、この試合が終わってしまった。
だから、これからの高橋について語るのは、決勝戦に任せようと思う。
「レガシーイベント初タイトル」に向け、高橋が最後の戦いに臨む。
Final Result:高橋 優太 Win!