眼鏡フレームの生産量日本一を誇る福井県鯖江市の眼鏡会社社長、金谷広行さん(45)が、生まれつき耳が小さい疾患「小耳(しょうじ)症」の子どものために眼鏡の補助具の開発を進めている。近く商品化にこぎ着ける予定だ。
2年前、秋田県大館市で眼鏡店を経営する吉田敦子さん(52)のブログを見たのがきっかけだった。小耳症の子どものために、耳が小さくても着けられる眼鏡を作ろうと試行錯誤していることを知り、協力を申し出た。小耳症は耳の形成が生まれつき不完全な先天性の疾患で、6000~1万人に1人の割合で生まれるとされる。
金谷さんは、頭で固定できる眼鏡を作ろうとアイデアを練り、ヘアバンドの一種のカチューシャとの組み合わせを思いついた。妻に付き添ってもらって雑貨店に行き、自分でいくつものカチューシャを試着した。その結果、カチューシャの中にある針金の骨組みを利用すれば、圧迫感が少なく頭のサイズにも柔軟に対応できることが分かった。
素材は、金属アレルギーになりにくいようにニッケルを含まず、軽くてさびにくいステンレスに決め、ドイツの業者から輸入した。また、大阪市生野区の業者が独自の製法で弾力を持たせたカチューシャの骨組みを作っていることを知り、製造を依頼した。できあがったフレームを特殊な部品を使って市販の眼鏡と接合すると、見た目もスマートで、装着して頭を強く振っても全くずれない眼鏡が出来上がった。
金谷さんは今後さらに改良を加え、実際に小耳症の子どもに試験的に使ってもらうなどした上で商品化する予定。「眼鏡で困っている人がいるのなら、それに応えるのが眼鏡に携わる人間の義務。今後もニーズに合わせて開発を続けたい」と話している。問い合わせは金谷さん(happyglass2010@yahoo.co.jp)。【山衛守剛】
毎日新聞 2012年3月14日 12時41分(最終更新 3月14日 12時52分)
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