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長崎・西海の女性2人殺害:被害届先送り ストーカー増長を把握 千葉県警、旅行やめず

 長崎県西海市でストーカー被害に遭っていた女性の親族が殺害された事件を巡り、千葉県警習志野署が被害届提出の先送りを女性とその父親に求めた直後、同署捜査員らが北海道に慰安旅行に出かけていた問題で、同署が旅行中の昨年12月、筒井郷太容疑者(27)=殺人容疑で逮捕、鑑定留置中=のストーカー行為が激しくなっていることを把握しながら、慰安旅行を続けていたことが分かった。

 署に残った捜査員は立件を何度も検討しながら、結果的に断念していた。県警は慰安旅行が対応の遅れにつながったか再調査する方針。

 県警などによると、旅行2日目の12月9日未明、女性の父親から「筒井容疑者がマンションのインターホンを鳴らしたり、ベランダの窓をたたいている」と同署に通報があった。

 同署は筒井容疑者に出頭を求め、任意で事情聴取。刑事課長は女性への傷害容疑で逮捕を検討したが、女性の被害状況を聴取できていなかったため、逮捕は困難と判断した。

 その後、事情を聴いた生活安全課係長も、マンション周辺で徘徊(はいかい)した人物を筒井容疑者と確認できず、ストーカー規制法による検挙も断念。迎えに来た両親に引き渡し三重県の実家に帰らせたが、その事実を三重県警に連絡しなかった。

 この間、生活安全課長は旅行に参加していた。

 また、署に残っていた刑事課長は9日、別の署から「女性の知人から、筒井容疑者にメールで『殺すぞ』などと脅迫されたという被害相談を受けた」と聞いたが、メールの内容を確認できず、やはり立件を断念した。

 県警によると、旅行には署員12人が参加。ストーカー事件を扱う生活安全課長のほか、女性や父親に対し被害届提出の先送りを伝えたとされる刑事課係長も含まれていた。【小林祥晃】

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 ■慰安旅行(昨年12月8~10日)前後の習志野署の対応

 <6日(火)>

 〇女性の父親が傷害事件の被害届について相談

 ●刑事課係長が「刑事課が一人も空いていない。1週間待って」と説明し、8日から旅行へ

 <7日(水)>

 〇女性の知人が「女性は傷害被害を受けており、その男(筒井容疑者)から私の携帯に『殺すぞ。お前の家に行くからな』などのメールが来た」と県警に相談

 <9日(金)>

 ●署に残っていた刑事課長はこの時点での立件は困難と判断

 〇女性の父親が「(女性宅の)玄関前に男がいる」などと習志野署へ通報

 ●生活安全課係長が現場に行くが不審者を発見できず

 〇女性の自宅に筒井容疑者の両親が来て「(息子を)早く逮捕してほしい」と訴え、女性の父親が署に連絡

 ●刑事課員が「逮捕状が出ていない。現行犯でない限り困難」と説明した後、筒井容疑者らしき男を自宅前で発見。追跡するも見逃す

 ●刑事課長は筒井容疑者を電話で呼び出し署で事情を聴くが、暴行を否認。逮捕を検討したが、女性への事情聴取が始まっておらず不可能と判断。生安課へ引き継ぐ

 ●生安課係長は女性宅周辺を徘徊(はいかい)した人物を筒井容疑者と確認できず、ストーカー規制法による検挙も断念

 <12日(月)>

 ●刑事課長らが幹部会議で事件化の方針決定。女性への聴取開始

 注・〇は関係者からの相談・通報

   ●は習志野署の対応

毎日新聞 2012年3月23日 東京夕刊

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