慰安旅行 遺族謝罪前に把握、刑事部長に伝えず
長崎県西海市のストーカー殺人事件を巡り、傷害事件の被害届受理を先延ばしにした千葉県警習志野署の担当課職員らが北海道へ慰安旅行をしていた問題で、県警の生活安全部長や刑事部参事官ら幹部が旅行の事実を知りながら、検証を指揮していた刑事部長には報告していなかったことが、県警への取材でわかった。警察庁は22日、旅行が捜査に与えた影響などを徹底的に追加調査するよう県警に指示した。
千葉県警による検証は、妻と母を刺殺された山下誠さん(58)が捜査の問題点を指摘した昨年12月から、結果を家族に報告した3月上旬まで行われた。
その過程で、ストーカー事件を担当する生活安全部の鵜沢憲一部長や刑事部ナンバー2の杉田義弘参事官は旅行の事実を把握。しかし、警察庁キャリアで、検証作業を指揮した森末治刑事部長へは報告されなかったという。
森末刑事部長は22日夜、報道陣に対し、「参事官は調査のいずれかの段階で旅行のことを把握していた。自分に説明しなかった理由はまだ聞いていない」と述べた。
杉田参事官は2月1日と3月5日、遺族に謝罪や検証結果の報告をした。しかし、遺族によると、この際には慰安旅行の話は出なかったという。
(2012年3月23日 読売新聞)